距離感
「ーーーーーーそれで、結局仲直りはできたんだけど、光くんに嫌な思いさせちゃって...」
昼休み、菜穂は光とのことを絵里奈に話した。
「そんなことがあったんだね。まあ、正直桐山が不安になるのも分かるよ。あたしが見てても菜穂、あの弟といる頻度高すぎだし」
絵里奈に言われ、菜穂は「えっそう見えるの...!?」と目を見開いた。
「うん。だってバイトはずっと一緒で、学校でも話してて、それでいてそういう出来事があるとね。なんていうか、弟の方が彼氏くらいの時間過ごしてる気がするよ。弟といる時の菜穂、すっごい楽しそうだし」
「そうだったんだ....私、そんな風に思われてるだなんてちっとも気づかなかった....」
菜穂はそう言って俯いた。
「ちょっと距離置いた方がいいんじゃない?何も話すなって言われたわけでもないんだし」
「うん...分かった。気を付ける」
そんな会話をしたあと、菜穂が自販機に行くと早速楓の姿が。
菜穂は「あ...」と呟き、咄嗟に壁に隠れてしまった。
どうしよう...光くんにあの日のこと話しちゃったって言った方がいいのかなあ。
でも、言ってどうするの..?
だけど、楓が隠しておきたかったのに私が勝手に話しちゃって...謝らなきゃいけないよね。
わあ、でも距離置くってどのくらい...?
別にやましいことがあるわけでもないのに、距離置こうなんて言うのは変だよね!?
楓は私のこと何とも思ってないのに、私と光くんの問題なのに勝手に巻き込まれてキモッ!ってなるよね....
菜穂がそんなことを考えていると、横から「なにしてんすか」と楓の声が聞こえた。
「うわっ!!!」
突然聞こえた声に、驚いて菜穂は目を見開いた。
楓は不思議そうに首を傾げた。横には和葉がいた。
「どうしたんですか、いつも以上に変ですけど」
楓に言われ、菜穂は「い、いやっ!?」と明らかに挙動不審。
「まだ熱中症治ってないんじゃないですか?」
「いや治ったわっ」
「病気としか考えられないくらい変な顔してますよ」
「失礼なっ!」
菜穂がそう言うと、楓はクスっと微笑んだ。
「ま、本調子じゃないみたいですけど元気そうで何よりです。てかこの間言ってた飲み物奢ってください」
楓はそう言ってカフェオレを指さした。菜穂は「え、あ、うん!もちろん!」と言ってカフェオレのボタンを押し、スマホをかざした。
楓はカフェオレを手に取りながら「ありがとうございます」と菜穂を見た。
「い、いえいえ...!」
菜穂はそう言いながら辺りをキョロキョロ。
楓はそんな菜穂を見て、自分も一度辺りを見渡すと菜穂に視線を戻し、「え、なんかあるんですか」と言った。
「えっ!?別に!?何も!??」
菜穂が言うと、「お姉さん今日いつも以上に挙動がでかいっすね!」と和葉が笑った。
「えっ!?そう!?」と菜穂。
「まじでなんですか」と楓。
「い、いや!じゃ、じゃあ私そろそろ行こうかな!うん!!!じゃあ!!」
菜穂はそう言って2人に軽く手を振り、ぎこちない動きで去って行った。
「なんだあれ」
楓は不思議そうに首を傾げた。




