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桐山B

「おはようございまーす」


菜穂がエプロンを着け、事務所を出ると店長の高坂がすぐに歩み寄って来た。


「あ、菜穂ちゃんおはよう。あのさ、今日から入った新しいバイトの子、紹介するね」


高坂に言われ、菜穂が「あ、はーい」と微笑むと、高坂は菜穂の前に奥にいた男の子を連れてきた。


「桐山楓くん。彼、今日からだから色々教えてあげてね。あと、楓くんは菜穂ちゃんとも歳近いし、2人とも仲良くしてね」


高坂がそう言うと、桐山楓は「どうも初めまして。よろしくお願いしまーす」と緩い挨拶。

菜穂も「あ、初めまして!汐崎菜穂です、よろしくね!」と微笑んだ。


「じゃあ、あとよろしくね」


高坂は菜穂にそう言うと2人の元から去って行った。


「よろしくお願いします、先輩」


楓はそう言ってまた軽く会釈をした。



桐山、と聞いて真っ先に光くんが思い浮かんだ。

桐山楓...桐山...桐山光♡♡♡

とか思いながらレジを教える。


「で、次はそこのボタン押してーーーー」


菜穂がそう言うと、楓は「あの先輩」と言って菜穂の顔を見た。


顔、近っっ!!!

この人すっごい顔整ってるなァ。

さすが苗字が桐山なだけある。

まあ、光くんほどではないけど♡♡♡♡♡

あ、違う違う。


「はい?」


菜穂が答えると、楓は「その説明、さっきも聞きました」と淡々と言った。


「え、あ、本当?!ごめん!」


「ずっとぼーっとしてますけど俺ちゃんと教育してもらえるんですか」


「大丈夫大丈夫!!ごめん真面目にやります!!!!」


「真面目にやってなかったんですか」


「え、いや!?ずっと大真面目ですが!?」


「いや、別に先輩がぼーっとしてて俺が何も習得できなくても怒られるの先輩なんでどうでもいいですけど」


「うわあ、嫌な言い方する~~」


「あ、それはすみません。初日から嫌わないでくださいね」


楓は表情1つ変えずに言った。


「あ、いやいや。嫌わないですよ??嫌わないけど桐山くん変わってますね?」


菜穂がそう言うと、楓は少し沈黙したあとに口を開いた。


「あの」


「え、はい」と菜穂。


「先輩何歳ですか」


「え、何でですか」


「いや、タメだったらタメ口でもいいですかって聞こうとしてました。すいません敬語慣れてなくて」


「あ、なるほど。17です、高3」


「敬語続行ですね」


「え、桐山くん1年?2年?」


「2年です」


「よし、じゃレジやろっか」


「うわ、年下だって分かった瞬間タメ口になった」


楓はそう言ってメモ帳を出した。


「1日ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」


バイトが終わると帰り際、事務所を出ながら楓が言った。

菜穂も楓の後に続く。


「いえいえ。明日もよろしくね~~」


「後半はちゃんと教えてもらえて安心しました」


歩きながら楓はまた無表情で淡々と言った。


「前半はすみませんでした」


菜穂は軽く頭を下げる。


「あれ、敬語使えるんですね」


「最初は敬語だったもん」


菜穂もそう言いながら一緒に歩く。

そんな菜穂を楓は少しじっと見つめてから言った。


「先輩、ちょっと面白いですね」


楓はそう言って少し微笑んだ。

菜穂は驚いた表情を浮かべ立ち止まり、楓の顔を見た。

楓は不思議そうに菜穂を見る。


「何ですか」


楓は無表情に戻る。


「桐山くんの笑顔、初めて見た...!」


菜穂が驚いた顔でそう言うと、楓は首を傾げた。


「初めてって、今日会ったばっかりじゃないですか」


「いやいや!初対面でも普通愛想笑いの1つくらいするでしょ???桐山くん一切なかったからびっくして!」


「だからそんなマヌケな顔してるんですか。てか俺的には愛想振りまいてたつもりなんですけど」


「いや全然振りまけてなかったよ!!??てか失礼だし!」


菜穂はそう言って再び歩き出した。


「あれ、そうでしたか。難しいですね。先輩はなんか、ずっとニヤニヤしてましたけどあれは愛想よくしてたつもりですか?」


楓もまた歩き出す。


「え、私ニヤニヤしてた!?」


「はい、とても」


「いやいや、してないしてない」


「いや、してましたよ。まあ、どっちでもいいですけど」


「おいっ、それ悲しいからやめろォ。桐山くんって変わってるね...」


「はい、よく言われます。あ、じゃあ俺ブックオフ寄ってから帰るのでここで」


楓はそう言って立ち止まり、目の前のブックオフを指さした。


菜穂は「あ、うん。お疲れ~~」と手を振った。


「はい、お疲れ様でした」


楓はそう言ってくるりと振り返り、ブックオフに入って行った。


なんか不思議な子~~~~~

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