嫌々だったの?!
楓がそう言ったところで、菜穂は「あ、そだ」と思い出したように楓を見た。
「てかさ、さっき何か言いかけてたよね??ごめん何だった??」
菜穂に言われ、楓は「ああ」と呟き、表情を整えた。
「なんていうか、要約すると俺とあんまり親しくしない方がいいと思いますって話です」
言われ、菜穂は「いや、要約され過ぎてて分かんない」と怪訝な表情。
「んー、とにかく先輩、俺と話したくて話してるわけじゃないだろうし、バイト以外でそんなに優しくしてくれなくて大丈夫ですってこと」
淡々とそう言う楓に、菜穂は顔をしかめた。
「え?楓はバイトだから嫌々私と話してたの!?」
菜穂にそう言われ、楓は「いやっ」と眉をひそめた。
「俺はそうじゃないですけど...!だから、はあ、語彙力がなくて伝わらないわ...」
楓が軽くため息をつくと、菜穂はどこか安堵したように微笑んだ。
「なーんだ、良かった」
「はい?」
「いや、だって嫌々じゃないんでしょ??だから良かったなって。あ、私も嫌々じゃないよ?楓と話すのが楽しいから話してるんだよ~?」
菜穂がヘラヘラがそう言い、楓はそんな菜穂を、目をぱちくりとして少し見つめた。
「だから親しくなりたくない的な?あれ何て言ってたっけ?まあ、よく分かんないけど、そんなこと言われたら悲しいじゃん」
菜穂はそう言って微笑んだ。
楓は少しだけ驚いたように菜穂を見つめた。
「え、ちょっと何か言ってよ」
黙り込んだ楓に菜穂が言うと、楓は「ああ...」と呟いて表情を整えた。
「そりゃ、どうも..?素直に嬉しいです。俺が兄ちゃんの弟だから媚び売ってるのかと」
「え、そんなの冗談に決まってるじゃん!」
「あんたの場合冗談に見えないんだよ...まあとにかく、先輩の気持ちは分かりました。えっと、じゃあ..兄ちゃんとお幸せに」
「え、うん♡♡」
そう言ってニヤニヤと笑う菜穂を見て、楓はクスっと微笑んだ。




