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てんぷらとだいふく

16時頃にバイトが終わり、2人は帰路についた。

流れで一緒に帰りながら、楓は不意に先日の光の表情を思い出した。


「あの先輩」


楓が立ち止まると、菜穂は「ん?」と振り返った。


「...兄ちゃんとデートとかしないんですか?今日とか」


「今日?バイトの日は予定ないけど。光くん勉強してるし。てか何で?」


菜穂は少し不思議そうに言った。


「そうですか。なんていうか、一緒に帰ってるのも変かなって」


「ええ、何が?ていうか何の話?」


「いや、だから、彼氏の弟と土曜日ずっと一緒にいるの変でしょって」


楓が顔をしかめて言い、楓が顔を上げると菜穂は「ねえあれなんだろう??」と河川敷の方を見ていた。


「話聞けよ...!」


楓はそう呟きながらも「なんですか」と呆れた表情で菜穂の方へ。

河川敷には大きな段ボールがぽつんと置かれていた。


「さあ、ゴミか何かじゃないですか」


楓がそう言うと、菜穂は「行ってみよう」と言って斜面をゆっくり降り始めた。


「だから人の話聞けよ..どんだけ暇なんだよ」


楓はそう言って菜穂に続いた。


段ボールの前に行くと、菜穂は「え、中に死体とか入ってたらどうする...!?」と言って楓の方を見た。


「あほか」


楓はそう言って段ボールに歩み寄り、蓋を開けた。


「えっちょっと!!」


菜穂はそう言って目を瞑り、楓が先に中を覗いた。


「え....」


楓の声を聞き、菜穂は「え、なに!?」と目を見開いて楓を見た。

楓は一度菜穂を見て、菜穂は頷き恐る恐る中を覗いた。

中には、子猫が2匹。


「わ、ネコ!」


菜穂は安堵したように微笑むも、すぐに顔をしかめた。


「え、動かないけどこの子たち大丈夫かな...?」


言われ、楓もネコを見ながら「息はしてるみたいですけど...」と言ってネコを見た。

子猫はぐったりした様子で、僅かに呼吸は確認できるが目を閉じたまま動かない。


「...病院!病院連れて行こう!」


菜穂がそう言い、楓は「ですね」と言ってゆっくりと段ボールを持ち上げた。






ミャー!と鳴く子猫を見て、2人は顔を見合わせて微笑んだ。


動物病院へ行き、処置してもらってから1時間が経過し、子猫はだんだん元気に鳴くようになってきた。

公園で子猫の様子を見ていた2人は安堵の表情を浮かべた。


「良かったあ元気になって」


菜穂は嬉しそうにそう言って箱の中の子猫を見た。


「ですね。って言っても、どうします?この子猫」


楓はそう言いながらもネコの頭を優しく撫でた。


「私が連れて帰りたいけど..ママがアレルギーなんだよねえ。楓の家は?」


菜穂が言うと、楓は「んー」と考える素振りをしてから「ちょっと聞いてみないと分かんないですけど、とりあえず連れて帰ります」と言ってネコを撫でた。


「既に我が子みたいにしてるし大丈夫そうだね!」と菜穂。


菜穂は猫を触りながら「良かったねえ~~~!てんぷら♡だいふく♡」と微笑んだ。


「ちょ、人ん家の猫に勝手に変な名前つけないでもらっていいですか」と楓。


「まだ楓ん家の猫じゃないし~~。てかいいじゃん、可愛いでしょ???」


「いやまじでださい」


「可愛いよねえ~~てんぷら~~だいふく~~♡♡」


「この人まじで人の話聞かねえな」


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