良いことあったんですかって聞いた方がいいですか
それから3日後。
土曜日のバイトは平日と変わらず暇すぎる。
雑巾で観葉植物を拭きながら鼻歌を歌っている菜穂を見て、楓はふと、一昨日の夜に光が家を空けていたことを思い出した。
まあ、聞いてあげてもいいかーーーーー。
そんなことを思いながら、楓は葉っぱを拭きながら言った。
「あの、何か良い事でもあったんですか?って聞いた方がいいですか」
楓がそう言うと、待ってましたと言わんばかりに菜穂は顔を上げ「聞いてくれるの!?♡」と微笑んだ。
「やっぱいいです。どうせ兄ちゃんでしょ」
「ええーちょっとくらい聞いてよっ♡」
「なんですか。1個だけ聞いてあげます」
楓が呆れたように言うと、菜穂はいつものドヤ顔で口を開いた。
「一昨日ね、夜にメッセージが来て、会ったら『無性に菜穂に会いたくなった』って言われて~~~♡♡♡」
言われ、楓はあの日、光が部屋に来て話していたことを思い出した。
「なるほど。良かったですね。てかそんなことで未だにいちいち喜んでるんですか」
「当たり前じゃんっ♡1つ1つが宝物だよ....♡あ、しかもね!!それで会ったらーーーーー」
菜穂が何か言いかけ、楓は「1個だけって言いましたよね。もう勘弁してください」と遮った。
「えーけちー」と菜穂は口を尖らせた。
「何度も言いますけど兄弟の生々しい話とか聞いてらんないですから」と楓。
「えーでも、前は楓の方からチューしてたでしょとか言ってきたじゃん?だからいいかなーって♡」
「あれは不可抗力で俺の視界に入って不愉快だったから注意してくださいって話です」
「不愉快って...」
「兄ちゃんのキスシーンなんて見たいわけないじゃないですか」
「えー私は礼実のキスシーン見たら興奮するけど♡」
「きっしょ」




