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1ミリだけ不安

「あ、噂の桐山弟じゃん」


廊下を歩いていた光に、クラスメイトが茶化すように言った。

視線を向けると、学食で楓と菜穂が話していた。


「ええ、噂って?」


光はクスッと笑ってクラスメイトに視線を戻した。


「いやほら、体育祭の時のっ。汐崎にボールぶつかった時さあ、光の弟が汐崎のこと運んでくれたじゃん?だから桐山兄弟王子様だね〜〜〜〜って女子が言ってた」


クラスメイトはニヤニヤしながらそう言い、光は「…楓が?」と苦笑して聞き返した。


「え、あ、なに、知らなかった系?超噂になってたよ2年の間で〜〜。だからさあーーーー」


それから何か話していたが、光の耳には入らなかった。

光は学食で話す菜穂と楓にまた視線を向けた。




その日、光が家に帰ると玄関にはローファが1つ。

光は家に帰るなりすぐに階段を上がり、楓の部屋をノックした。


「あい」と声が聞こえ、光がドアを開けると楓はベッドでスマホをいじっていた。


「ん、なにー?」


楓は不思議そうに起き上がり光を見た。

光は苦笑し、「あ、ううん」と言って椅子に腰を下ろした。


「その…聞いたよ。先週、菜穂がボールぶつけられた時運んでくれたの…楓なんだってね」


言われ、楓は「…ああ、うん」とだけ呟いて光を見た。


「…その、ありがとね。菜穂のこと運んでくれて」


「別に。たまたま俺が体育館にいたから」


「はは、そうだよね。まあ…それだけなんだけどね!」


光はそう言って立ち上がった。

楓はふと先日絵里奈に"このことは桐山に言ってないから"と言われたことを思い出し、光を見上げた。


「…菜穂先輩、兄ちゃんが来て喜んでたでしょ?あの人いつもウザイくらい惚気けてくるんだよね」


楓がそう言うと、光は「はは、そうなの?」と苦笑した。


「うん。だからその、まあこれからも仲良くね」


「うん、ありがとう。じゃ、じゃあ」


光はそう言って楓の部屋を出て自分の部屋に戻った。

スマホを開き、ロック画面の菜穂を見つめると【今からちょっと会えない?】と菜穂にメッセージを送った。





「光くん!」


光が菜穂の家の近くの公園へ行くと、菜穂は笑顔でそう言いながら光に駆け寄って来た。

光は一度立ち上がり、菜穂は光が座っていたベンチに座り、光も腰を下ろした。


「ごめんね、急に会いたいとか言って」


光がそう言うと、菜穂は「えっううん!!むしろ幸せって言うか...♡♡」とニヤニヤ。

そんな菜穂を見て、光はクスっと笑った。


「でもどうしたの?」


菜穂が不思議そうに光を見上げると、光は「ううん」と微笑んで続けた。


「無性に菜穂に会いたくなっただけ。明日も学校で会えるのにね」


「きゅーーーん♡♡なにそれ♡嬉しすぎる♡ラブ♡♡」


菜穂はそう言って嬉しそうな表情で光を見上げた。

光は安堵したように微笑み、菜穂にキスをした。


突然のことに菜穂は目を見開き、恥ずかしそうに目を瞑る。

何度かキスをしてから、光の舌が口に入り、菜穂はビクッとして目を開けた。


「...嫌?」


光がそう言うと、菜穂は「ああ、いや、その、な、慣れてなくて.....!てか初めてでちょっとびっくりしちゃったって言うか...!嫌じゃない!嫌なわけない!!!!」と恥ずかしそうに言った。


光はクスっと微笑み、「菜穂、好きだよ」と言ってまたキスをした。



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