内緒だよ
菜穂は深呼吸をして、自分の両手で溢れる涙を拭いた。
拭いても拭いても流れてくる涙に、菜穂は拭うのをやめて顔を上げた。
「私も...私も光くんが大好きだった..!幸せだった...!絶対忘れない..!光くんの方が、生まれてきてくれて、私を好きになってくれてありがとうだよ...!!本当に...本当にありがとう...!」
菜穂はそう言って精一杯微笑んだ。
光は菜穂の顔を見て、嬉しそうに笑うと「やっと笑ってくれた」と言った。
「ちょっと...!また涙止まんなくなるよ~~~....!」
菜穂はそう言いながらまた涙を拭う。光は「ごめんごめん」と微笑んで続けた。
「...これからは1人の友達として、また1から仲良くしていこうね...!菜穂のこと、誰よりも見てきた俺だから、きっと良い親友になれるよ。今度はもう、何があっても絶対に信じるから」
光に言われ、菜穂は「うんっ...!」と頷いて、泣きながら言った。
「絶対だよ..!絶対これからも友達だよ..!親友だよ..!これから一生、ずっとだよ..!」
「うん...!菜穂の方こそ、約束だよ」
「..じゃあ、一緒に帰ろう」
光は立ち上がり、菜穂も「うんっ..!」と言って立ち上がった。
光は「菜穂」と言って、菜穂に右手を差し出した。
菜穂はニコっと微笑み、光の右手を、自分の左手で握り、2人は握手をした。
菜穂が嬉しそうに微笑んでいると、光はクスっと微笑み、菜穂の手を引っ張った。
菜穂は「うおあっ」とよろけ、光はそのまま菜穂を抱き寄せた。
「ごめん、最後に1回だけ」
光は菜穂を抱きしめながら呟いた。菜穂は驚いた顔をしていたが、すぐに「うん」と微笑み光に腕を回した。
「楓に泣かされたらいつでも言ってね。ちゃんと叱ってあげるから」
「ふはっ、うん」
菜穂は笑いながら頷いた。
「楓に飽きたら俺、いつでも待ってるからね」
「えっそれは私やばくない...?」
「はは、ちょっとだけ?」
光はそう言って笑うと、力を緩めて菜穂を顔を見た。
菜穂も笑顔で光を見上げている。
光はフッと微笑み、菜穂の額にキスをした。
光が離れて菜穂の顔を見ると、菜穂は恥ずかしそうに光を見ていた。
光は態勢を戻し、「今のはーーーーーーー」と人差し指を鼻の前に立てて言った。
「楓には内緒だよ」
光はそう言って微笑み、振り返ってカバンを背負った。




