↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
130/133

生まれてきてくれてありがとう

「菜穂」


声を掛けられ菜穂が振り返ると、そこにはいつもの優しい笑顔の光。


「じゃあ、行こっか」


光は微笑み、菜穂も「うん」と行って2人は学校を後にした。



******



公園まではいつも通り、他愛もない話をした。

今日の出来事、最近の流行り、食べた物、行きたい場所。

笑いながら話して、結局2時間が経った。


ここまではいつも通りだった。

でも、話さなきゃいけないことがある。


菜穂が「あ、あの光くん…」と話し出すと、光は微笑んだ。


「うん。聞かせて、菜穂の話」


光がそう言うと、菜穂は「うん…」と苦笑した。

菜穂は小さく深呼吸をしてから口を開いた。



「…私、楓のことが好き」



真剣な眼差しで光を見た。

光は分かっていた、と口には出さないが、その優しい笑顔がそう言っていた。


「うん」


光が相槌を打つと、菜穂は「だから…」と一度俯いて顔を上げた。



「光くん、私と別れてください」



言われ、光は優しい微笑みを浮かべたまま「はい」と頷いた。


瞬間、涙が溢れた。

私のせいなのに。泣きたいのは光くんの方なのに。

さんざん振り回して、挙句私が泣いて。

こんなに優しい顔で見てくれてるのに。

決めたはずなのに。

光くんとの思い出が蘇ってきて、消えてくれない。


光はそんな菜穂を見て、指で菜穂の頬の涙を拭った。


「泣かないで。いいんだよ、自分を責めなくていい。菜穂は何も悪くないよ」


そう言われ、菜穂の目から余計に涙が溢れてきた。

光はクスっと笑い、また指で拭った。


「はは、余計泣いちゃった。大丈夫だよ。大丈夫、俺は、菜穂が決めたことならそれが嬉しいんだよ。菜穂が決めていいんだよ」


光がそう言い、菜穂は泣きながら「ごめんなさいっ...!」と呟いた。

光は「謝らなくていいって」と微笑んだ。


「謝らなきゃいけないのは俺の方。菜穂がつらい時、信じてあげられなくてごめんね。あんなの、彼氏として失格だった。信じてあげなきゃいけなかったのに、俺は自分のことばっかりだった。それだけじゃない。嫉妬もいっぱいして、菜穂のこと縛ってた。ごめんね..!」


光の言葉を聞き、菜穂は泣いているせいで声が出ず、ただ首を横に振った。

光は目を赤くさせながらも涙堪えた。


「菜穂と出会ってから、楽しいことばっかりだった。会えたとき、話せたとき、付き合えたとき、ものすごく嬉しかった。俺と出会ってくれて、仲良くなってくれて、好きになってくれて、本当にありがとう。生まれてきてくれてありがとう。本当に幸せな時間だった...!本当に大好きだった...!って、それは今もだけど...隣で見れないのは残念だけど、でも、菜穂がこれからもたくさん笑ってるとこが見れるなら、俺は喜んで別れるよ...!ちゃんと話してくれて、ありがとう菜穂」


そう言った時、光の目から涙が零れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。