生まれてきてくれてありがとう
「菜穂」
声を掛けられ菜穂が振り返ると、そこにはいつもの優しい笑顔の光。
「じゃあ、行こっか」
光は微笑み、菜穂も「うん」と行って2人は学校を後にした。
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公園まではいつも通り、他愛もない話をした。
今日の出来事、最近の流行り、食べた物、行きたい場所。
笑いながら話して、結局2時間が経った。
ここまではいつも通りだった。
でも、話さなきゃいけないことがある。
菜穂が「あ、あの光くん…」と話し出すと、光は微笑んだ。
「うん。聞かせて、菜穂の話」
光がそう言うと、菜穂は「うん…」と苦笑した。
菜穂は小さく深呼吸をしてから口を開いた。
「…私、楓のことが好き」
真剣な眼差しで光を見た。
光は分かっていた、と口には出さないが、その優しい笑顔がそう言っていた。
「うん」
光が相槌を打つと、菜穂は「だから…」と一度俯いて顔を上げた。
「光くん、私と別れてください」
言われ、光は優しい微笑みを浮かべたまま「はい」と頷いた。
瞬間、涙が溢れた。
私のせいなのに。泣きたいのは光くんの方なのに。
さんざん振り回して、挙句私が泣いて。
こんなに優しい顔で見てくれてるのに。
決めたはずなのに。
光くんとの思い出が蘇ってきて、消えてくれない。
光はそんな菜穂を見て、指で菜穂の頬の涙を拭った。
「泣かないで。いいんだよ、自分を責めなくていい。菜穂は何も悪くないよ」
そう言われ、菜穂の目から余計に涙が溢れてきた。
光はクスっと笑い、また指で拭った。
「はは、余計泣いちゃった。大丈夫だよ。大丈夫、俺は、菜穂が決めたことならそれが嬉しいんだよ。菜穂が決めていいんだよ」
光がそう言い、菜穂は泣きながら「ごめんなさいっ...!」と呟いた。
光は「謝らなくていいって」と微笑んだ。
「謝らなきゃいけないのは俺の方。菜穂がつらい時、信じてあげられなくてごめんね。あんなの、彼氏として失格だった。信じてあげなきゃいけなかったのに、俺は自分のことばっかりだった。それだけじゃない。嫉妬もいっぱいして、菜穂のこと縛ってた。ごめんね..!」
光の言葉を聞き、菜穂は泣いているせいで声が出ず、ただ首を横に振った。
光は目を赤くさせながらも涙堪えた。
「菜穂と出会ってから、楽しいことばっかりだった。会えたとき、話せたとき、付き合えたとき、ものすごく嬉しかった。俺と出会ってくれて、仲良くなってくれて、好きになってくれて、本当にありがとう。生まれてきてくれてありがとう。本当に幸せな時間だった...!本当に大好きだった...!って、それは今もだけど...隣で見れないのは残念だけど、でも、菜穂がこれからもたくさん笑ってるとこが見れるなら、俺は喜んで別れるよ...!ちゃんと話してくれて、ありがとう菜穂」
そう言った時、光の目から涙が零れた。




