ごめん、これ以外思いつかなかった
言われた楓はその場で固まり、「…え?」と呟いた。
菜穂は微笑み、小走りで数メートル先にいる楓の元へ。
楓の前で立ち止まり、菜穂は楓の顔を見て言った。
「私、楓のことが好き。ずっと…ずっと前から好き」
菜穂がそう言うと、楓は目を見開いたまま菜穂の顔を見下ろした。
菜穂はそんな楓を見て、「やっと言えた」と、わざとらしく微笑んだ。
そんな菜穂を見て、楓は未だ固まったまま菜穂を見下ろしていた。 菜穂はまた、わざとらしくフッと笑った。
「何か言ってよ。人がせっかく勇気出して告白してるのにそんなアホヅラして。失礼じゃない?」
わざとらしくそう言う菜穂を見て、楓は「え...いや、すいません状況が読めないんですけど」と瞬きをした。
「そのままの意味だよ。好き」
菜穂がまたわざとらしくそう言って笑ったのを見て、楓は「いや....さっきからそれ、俺が言ったセリフじゃないですか。そのネタしつこいんですけど」と動揺した様子で笑った。
「ごめん、これ以外思いつかなかった」
菜穂はそう言って苦笑した。
「...え、いや、え?俺2週間前に告白して振られましたよね...?俺の記憶が間違ってます...?」
楓がそう言い、菜穂は恥ずかしそうに笑いながら言った。
「間違ってないよ、合ってる。でもやっぱり、楓がしてくれた質問の答え、言わないとって思って」
「...教えてくれるんですか?」
楓が言うと、菜穂は少し微笑んでから口を開いた。
「....楓のこと大事って、好きって言ったのも、楓の前で泣いたのも、ぎゅってしてくれた時、何も言えなかったのも.......全部、楓が好きだからだって、気づいた」
言われ、楓は「え.....」と唖然としている様子で菜穂を見た。
「だから...やっぱり伝えたかった。楓がもう、私のこと好きじゃなくても、今更って思われても、うざいと思われても、それでも....私は楓のことが好き。好きです」
菜穂はそう言って楓を見上げた。
楓は菜穂を見つめ、「...本当に?」と微笑んだ。
「えっ?うん、本当に」と菜穂。
「菜穂先輩が?俺のこと好きなの?」
「いやっだからそうだって言ってーーーーーーー」
菜穂が恥ずかしそうに言いかけると、楓は勢いよく菜穂を抱き寄せた。




