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私はそんな楓のことが

あんな風に送り出してくれた光くんのこと、私は一生忘れない。

もう言い訳なんかしない。


伝えなきゃ。


もう遅いかも知れないけど、それでもいい。

それでも、あの日の質問に答えたい。

私の気持ちを知って欲しい。




私の気持ちを知ったら、なんて言うかな?

いつもみたいにバカですねって笑うかな?

虫が良すぎるって言うかな?


それとも、無表情で何言ってるんですかって言うかな?

もし、今も私と同じ気持ちていてくれるなら嬉しいな。




ああ、そういえば前もこんな風に走って追いかけたなあ。

避けられてて、悲しくて。


初めて会った時は無愛想で変わった人だなーなんて思った。

失礼なこと平気で言うし、笑わないし、何考えてるか分からないし。


ああ、学校でボールぶつけてきた時、笑ってたな。

でも大丈夫ですかって手を差し伸べてくれて、『じゃあまた』って笑ってくれたっけ。

体育祭の時も、熱中症になった時も助けてもらったなあ。


私が困ってるとき、ヒーローなんじゃないかってくらいいつも傍にいて、いつも助けてくれて。

だけど大袈裟なことは言わなくて、何やってんだって笑われて。


私が笑ってるときは一緒に笑って、私が泣いてる時は助けてくれて。

友達と楽しそうに笑う顔が最高に素敵で、いつの間にか目で追ってた。


バイトが楽しくて、今日はいるかなって何回も確認したりして。

本当、不思議な人なんだよなあ。



私はそんな楓のことがーーーーーーーーー。




******




バイト先に着いて、時計を見た。

丁度20時を回ったばかりで、菜穂は顔を上げて付近を見渡した。


辺りを見渡し、少し走って角を曲がった時、前を歩く楓の姿があった。

菜穂は足を止め、「楓っ!」と名前を呼んだ。


楓はビクッととなり、おそるおそると言った表情で振り返った。 菜穂はそんな楓を見てクスっと笑い、息を吸ってから楓に聞こえる声量で言った。




「好き」




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