私はそんな楓のことが
あんな風に送り出してくれた光くんのこと、私は一生忘れない。
もう言い訳なんかしない。
伝えなきゃ。
もう遅いかも知れないけど、それでもいい。
それでも、あの日の質問に答えたい。
私の気持ちを知って欲しい。
私の気持ちを知ったら、なんて言うかな?
いつもみたいにバカですねって笑うかな?
虫が良すぎるって言うかな?
それとも、無表情で何言ってるんですかって言うかな?
もし、今も私と同じ気持ちていてくれるなら嬉しいな。
ああ、そういえば前もこんな風に走って追いかけたなあ。
避けられてて、悲しくて。
初めて会った時は無愛想で変わった人だなーなんて思った。
失礼なこと平気で言うし、笑わないし、何考えてるか分からないし。
ああ、学校でボールぶつけてきた時、笑ってたな。
でも大丈夫ですかって手を差し伸べてくれて、『じゃあまた』って笑ってくれたっけ。
体育祭の時も、熱中症になった時も助けてもらったなあ。
私が困ってるとき、ヒーローなんじゃないかってくらいいつも傍にいて、いつも助けてくれて。
だけど大袈裟なことは言わなくて、何やってんだって笑われて。
私が笑ってるときは一緒に笑って、私が泣いてる時は助けてくれて。
友達と楽しそうに笑う顔が最高に素敵で、いつの間にか目で追ってた。
バイトが楽しくて、今日はいるかなって何回も確認したりして。
本当、不思議な人なんだよなあ。
私はそんな楓のことがーーーーーーーーー。
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バイト先に着いて、時計を見た。
丁度20時を回ったばかりで、菜穂は顔を上げて付近を見渡した。
辺りを見渡し、少し走って角を曲がった時、前を歩く楓の姿があった。
菜穂は足を止め、「楓っ!」と名前を呼んだ。
楓はビクッととなり、おそるおそると言った表情で振り返った。 菜穂はそんな楓を見てクスっと笑い、息を吸ってから楓に聞こえる声量で言った。
「好き」




