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約束したでしょ?

「でもね、俺気づいちゃってさ。ううん、気づかないふりしてただけなんだけど、俺がこんなに大好きな菜穂が、幸せじゃなきゃ意味がないんだよなって。菜穂が苦しんでたら、ちゃんと聞いてあげなきゃいけない。それが、本当に好きってことなんだろうなって」


光はそう言って菜穂を見た。

菜穂の目がみるみる赤くなっていった。


「ずっと...ずっと菜穂を見てたから分かるんだ。菜穂が何を思って、菜穂が何に悩んで、菜穂が何に苦しんでいるのか。菜穂を失いたくなくて、認めたくなかった。だから菜穂が見てるものを見せたくなかった。菜穂の視線の先を見ないようにしてた。でも、俺が菜穂に抱いてる気持ちは、単純な恋心だけじゃない。まだ子供なのに、大袈裟って思うかも知れないけど、俺は心から菜穂を愛してる。愛情って、縛るもの為のものじゃなくて....相手を幸せにする為のものだから..だから..俺は菜穂が心から笑顔になれる選択をして欲しい」


そう言った光の目から、涙が零れた。

同時に、菜穂の目から涙が零れた。


「つらいことがあった時、話したくなるのは誰?嫌なことがあったとき、理由も聞かずに信じてくれるのは誰?楽しいことがあった時、一緒に笑いたいのは誰?いつも菜穂が見てる人は、誰?菜穂が今、1番会いたい人は誰?」


光はそう言って苦笑した。

菜穂はただ、泣きながら目を見開いて光の目を見つめていた。


「もう素直になっていい。嘘なんかつかなくていい...ほら、俺にもう嘘つかないって、前に約束したでしょ?ちゃんと守ってよ。俺はもう大丈夫だから」


そう言った光の笑顔を見つめ、菜穂の目からはボロボロと涙が溢れている。


「...行って。今日、バイトだーって朝から萎えてたよ。もう終わる頃じゃないかな」


光の言葉を聞き、菜穂は泣きながら目をこすると静かに立ち上がった。


「光くん...ありがとう」


菜穂はそう言うと振り返り、走り出した。

菜穂の後ろ姿を見た光は涙を拭い、1人で頬を緩めた。



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