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俺はそんな菜穂先輩のことが

「お疲れ様〜…」


今日も今日とてそそくさと逃げるように事務所を出て行った菜穂を見て、楓は「またかよ…」と呟き急いで準備をして菜穂の後を追った。



******



走りながら、前にもこんなことがあったなーなんて思った。

俺が菜穂先輩と距離を置こうと思って避けたり、菜穂先輩が俺を避けたり。

あの後、先輩が「こんなの嫌だ」って俺を走って追いかけて来てくれたっけ。


ほんの数ヶ月前の話なのに、数年前のように感じる。

出会った時の菜穂先輩は、ぼんやりしてて何も考えてなさそうな人だなーって思った。

ぼーっとしたり、ニヤニヤしてたりしてレジもまともに教えてくれなくて。


でもいつの間にかよく話すようになったなあ。

何でだっけ。


ああ、学校で友達を庇ってボールにぶつかってたな。

あれで学校でも話すようになった。


その後も傷だらけで下手くそなバスケして、そんな姿がおかしくて。

イベント事があるとバカみたいにはしゃいで、派手な髪型をしてみたり、派手な服着たり。

そんなに仲良くない時でも写真撮ろうとか言ってテンション高くて。


またボールがぶつかって怪我したり、プールさぼって草むしりさせられて熱中症になったり。

でも治ったらいつもみたいにヘラヘラ笑ってて、くだらないことで話しかけてきて、いちいちリアクションがでかくて。


何言っても笑って聞いてくれて、いじりがいがあって、誰とでも仲が良くて、なのに意外とメンタルが弱くてすぐ泣くし。


本当、忙しい人なんだよなあ。


だからいつの間にか目が離せなくなって。




俺は、そんな菜穂先輩のことがーーーーーー。




******



そんなことを考えながら走ると、前方に菜穂の姿が見えた。

楓は足を止め、「菜穂先輩」と名前を呼んだ。


菜穂はビクッととなり、おそるおそると言った表情で振り返った。


楓はそんな菜穂を見てクスっと笑い、息を吸ってから菜穂に聞こえる声量で言った。





「好きです」






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