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何も考えたくない

キスしたら、飛鳥ちゃんで頭がいっぱいになる?

もっと触れたいって思うようになる?


もう二度と、他の人を思い出さなくなる?


キスしたら気持ちよくて、きっと他のことなんか考えない。


飛鳥ちゃんがそれを望むなら、そうした方が早く忘れられるかも知れない。

別に俺って元々好きじゃなくてもキスくらいできるし、飛鳥ちゃんが嫌なわけでもないし。


断る理由なんかなくね?考える理由なんかなくね?




「...じゃあ、いっぱいしよ」



楓はそう言って飛鳥を抱き寄せ、唇を重ねた。

飛鳥は目を瞑り、それを受け入れた。



******



それから数分間、夢中でキスをした。

その間は他のことなんかきっと考えてなかった、と思う。


これでいい。


こうやって徐々に忘れていけばいい。

1分でも1秒でも、考える時間が短くなっていけばいい。

だって付き合ってるんだから、キスくらいするよ。


菜穂先輩だって俺にあんなこと言ってたけど、兄ちゃんとそういうことしてたじゃないか。

今だってどこかでしてるかも知れない。

じゃあいいじゃん、それで。


あれ、結局考えてんじゃん........





もう何も考えたくない。

楓はそんなことを思うと唇を離し、飛鳥の首にキスをした。


ビクッと跳ね上がる飛鳥ちゃんを可愛いと思うし、愛おしいとも思う。

また口にキスをして、楓は飛鳥のシャツのボタンを2つ開けた。


そうして飛鳥の鎖骨に手を触れた時、手に冷たい感触があった。


手の甲が濡れている。



ハッとして飛鳥の顔を見ると、飛鳥の目から静かに涙が流れていた。




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