何も考えたくない
キスしたら、飛鳥ちゃんで頭がいっぱいになる?
もっと触れたいって思うようになる?
もう二度と、他の人を思い出さなくなる?
キスしたら気持ちよくて、きっと他のことなんか考えない。
飛鳥ちゃんがそれを望むなら、そうした方が早く忘れられるかも知れない。
別に俺って元々好きじゃなくてもキスくらいできるし、飛鳥ちゃんが嫌なわけでもないし。
断る理由なんかなくね?考える理由なんかなくね?
「...じゃあ、いっぱいしよ」
楓はそう言って飛鳥を抱き寄せ、唇を重ねた。
飛鳥は目を瞑り、それを受け入れた。
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それから数分間、夢中でキスをした。
その間は他のことなんかきっと考えてなかった、と思う。
これでいい。
こうやって徐々に忘れていけばいい。
1分でも1秒でも、考える時間が短くなっていけばいい。
だって付き合ってるんだから、キスくらいするよ。
菜穂先輩だって俺にあんなこと言ってたけど、兄ちゃんとそういうことしてたじゃないか。
今だってどこかでしてるかも知れない。
じゃあいいじゃん、それで。
あれ、結局考えてんじゃん........
もう何も考えたくない。
楓はそんなことを思うと唇を離し、飛鳥の首にキスをした。
ビクッと跳ね上がる飛鳥ちゃんを可愛いと思うし、愛おしいとも思う。
また口にキスをして、楓は飛鳥のシャツのボタンを2つ開けた。
そうして飛鳥の鎖骨に手を触れた時、手に冷たい感触があった。
手の甲が濡れている。
ハッとして飛鳥の顔を見ると、飛鳥の目から静かに涙が流れていた。




