意識してるの私だけ?
あれから1週間。
絵里奈はあの日以来、また学校に来なくなった。
誰もいない絵里奈の席を見つめ、菜穂は少し息を吐いた。
「なーほっ!学食行こっ」
昼休みになり、遥に言われて「うん!」と微笑み2人で学食へ。
階段を下り、角を曲がったところで1年生のフロアが視界に入った。
ぼんやりと見つめている菜穂を見て、遥は「…飲み物!買ってからでもい??」と微笑み、自販機へ。
「どれにしよっかな〜〜〜」
遥が自販機を見上げて、菜穂が隣で見ていた時、後ろから声を掛けられた。
「あ、同じ小っちゃいのが2人〜」
声を聞いた瞬間、心臓の音が聞こえた。
胸に何かが突き刺さったような感覚。
振り返ると、思った通り楓がいた。隣には和葉が。
「…楓」
菜穂は小さく呟き、和葉は少し不思議そうに菜穂を見た。
「先輩たち背格好一緒っすね」
楓はそう言って菜穂と遥を見て微笑んだ。
いつもみたいに上手く反応できない。
「あ、かわいいってこと???」
遥が隣で笑って楓と和葉を見た。
「さすが自己肯定感おばけ」と楓が笑った。
"俺は忘れません"
そう言っていたあの日が遠い昔のように感じた。
「あれ、お姉さん??おーい」
和葉そう言いながらぼーっとしている菜穂の顔の前で手を振った。
菜穂は「えっ、ああっ!うん??」と微笑んだ。
「ぼーっとしてますよっ?」と和葉。
「ま、菜穂先輩はいつもぼーっとしてますけどね。またボールでもぶつけたんじゃないですか」
楓は菜穂を見て笑った。
菜穂は一生懸命笑いながら「いやいや!超げんきげんき☆」と2人を見た。
「ふは、うっざ」と楓。
あれ、意識してるのってなんか私だけ....????
楓めちゃくちゃ普通じゃない?
すると、「楓~~~」と教室の方から知らない男の子が来た。
楓が「ん?」と言うと、彼が言った。
「お前~~今日飛鳥ちゃんとデートなんだって~?俺付き合ってるのも知らなかったわっ。和葉知ってた???」
言われ、和葉は一瞬菜穂の方をちらっと見てから「え、ああ..まあ」と苦笑した。
楓は口元に笑みを作ると、彼の方を見て答えた。
「まーね。羨ましいでしょ」
「羨ましい!俺も彼女欲しいなあ~~~なあいつから??」
そんな会話を聞いて、菜穂は1人目を泳がせ、「じゃ、じゃあ私はこれでっ!」と微笑み学食の方へ歩き出した。
「あっ菜穂!あ、じゃまたね!」
遥はそう言って楓と和葉に手を振り、菜穂の後を追った。
和葉は菜穂の方を見てから、楓に視線を戻した。
楓もまた、菜穂の背中を見つめていた。
和葉は静かに息を吐き、後から来た男の子の頭を叩いた。
「えっ!?急になに!?」と言われ、和葉は「んー?叩きやすそーな頭だったからっ」と笑った。




