第38話 土くれ討伐戦 前編
「あの入り口を閉じる方法は何か考えてあるのか?」
「まだ何も思いついていないわよ!」
目の前の魔物をただひたすらに倒しダンジョンの入り口に近づくノアとリアン、だがしかしリアンは入り口を塞ぐことまでは考えていたが塞ぐ方法までは思いついていなかった。
ダンジョンの入り口は感覚で高さ5m幅4mと大分でかい構造である。さらにそこまでの道のりには大量の魔物、たどりついても目の前にはゴーレム、かなり絶望的な状況である。
「そもそもあんなでかい入り口どうやって閉じればいいのよ...!」
「え!?考えてなかったの!?」
「うっさい!だから今考えてんでしょ!」
普通ならそのような大きな入り口を閉じるだけでも時間がかかる作業である。それを大量の魔物の前で行うとしたらなおさらだ。だがしかしこの場には世界にただ1人の「魔法使い」が存在する。
「俺がなんとかするっていったら?」
「答えるまでもないわ!何をすればいいの!?」
「俺を入り口まで連れてってくれればいい!」
「わかったわ!」
「くらえやオラァ!!!」
姉妹が策を話す一方でただひたすらにゴーレムを殴り倒すダイ、ローズ、ノアの3人。しかしゴーレムには傷一つついていなかった。
「あいつ核とかないの!?」
「さっきからそれを探ってんだろうがぁ!」
「でもかたすぎてなにもきいてないよー...」
3人でそれぞれ頭、目、胸や腹など心臓や核がありそうなところを探る。だがゴーレムの体が硬すぎて殴っても殴っても効いているのかが全くわかっていない。
「ゴオォォォォォォォ!!!!!!」
「またぁ!?」
さらには唐突に踏み潰しや薙ぎ払いの攻撃を行ってくる。避けられはするものの攻撃後の衝撃で飛ばされそうになるのを耐えなければならない。そして耐えている間に魔物が近づいてきて倒しながらゴーレムに近づく。その繰り返しをひたすらに行っている。まるで機械のように同じパターンを繰り返す内に3人のフラストレーションは限界に達していた。
「おいチビ共...もうチマチマ攻撃すんのはもうやめだ...」
「じゃあどうすんのよ!」
「全員で同じ箇所に思いっきり一撃ぶち込むぞ!!!」
「さんせい!!!」
「やっぱり効いてない」
すでにゴーレムに5発は撃ち込んでいるがダメージが入っている様子がない、せめてひび割れでも見えてくれればいいもののそんな様子はない。
「こうなったら...」
これ以上撃ってもあまり意味がないと感じたミランは別の弾をライフルに込め、ゴーレムの足に1発ずつ弾を撃ち込む。
「完璧、後はタイミングを合わせるだけ。それまではひたすら同じ場所に当てる」
そうしてポケットから自作のサイコロを取り出してその場に転がす。出目は...
「心臓」
「なんとか入り口に辿りついたわね...!」
「かなり時間かかっちまったけどな!」
ダンジョンの入り口についたノアとリアン、しかしゴーレムの後ろに回り込むために大回りできたため時間がかかってしまった。
「くらえやオラァ!!!」
「あの様子だと大回りする必要なかったかもな...」
「念には念を入れた方がいいでしょ!」
さっきまで入り口を塞ぐ方法を考えていなかった人とは思えない発言が聞こえた気がするが確かにその通りではある。ダイ達とは倍以上は離れているのに薙ぎ払いによる衝撃波がここまで飛んできていることを考えると大回りしたのは正解だったかも知れない。
「それでどうやって閉じるの!?」
「5秒...いや3秒でいい!俺のこと守っといて!」
「わかったわ!」
そうしてノアは地面に落ちていたできるだけ大きな瓦礫を拾う。もちろん7歳の子どもが持てるほどの瓦礫だ、2階建の家ぐらいの大きさはある入り口は塞ぐことはできないだろう。だがしかしないものがあるなら創ればいい。彼女の魔法がそれを可能にする。
「創造 巨大化!」
魔法を使い、手にしていた瓦礫がどんどんと大きくなり入り口を閉じ始めやがて完全に入り口を塞いだ。
「これで魔物は増えないわね!」
「いやまだだ!」
巨大化して入り口を塞いだはずの瓦礫が徐々に手前に押し出されていく。どうやらダンジョン内の魔物が徐々に瓦礫を押し除けているようだ。
「ちょっと!?どうするのよ!?」
「予想の範囲内だよ!創造 「スタック」!」
「巨大化」は名前の通り物を大きくする魔法、そして「スタック」は物をその場に固定させることができる魔法である。これで入り口を完全に塞ぐことができた。
だがそれは壊されさえしなければの話である。
「ゴオォォォォォォォ!!!」
「なんだ!?」
突如としてゴーレムがノア達に、正確には入り口を閉ざした瓦礫に対して顔を向ける。その瞬間に口を開けてパワーを溜めるような音を出し始めた。
「おいおい!口からビームとか聞いてねえぞ!?」
このままではせっかく閉じた入り口がまた破壊されてしまう!魔物を倒しながらゴーレムの攻撃を止められるような手段はない!何か止める方法は...!
「いくぞチビ共!!!合わせろ!!!」
「言われなくてもわかってるわよ!」
「せーの!」
ビームが放たれようとした瞬間、3人の同時攻撃が下から顎を打ち抜く。アッパーのような攻撃を食らったゴーレムは勢いのまま口を閉じる。
「バカが!!!自爆しとけや!!!」
次の瞬間、ゴーレムの口の中で爆発が起き首から上が砕け散る。そしてその巨体は魔物達を押し潰しながら地面に倒れた。
「もしかして倒せたの!?」
「バカ!それフラグ...」
頭が無くなったら死ぬ、常識である。それは人間に限ればの話だ。
倒れたはずのゴーレムが首なしの状態で起き上がり、さらには胸から頭が生え始めた。ゴーレムは完全に再生された頭を胸からちぎりまるでヘルメットでも被るかのように頭を装着する。
「ゴオォォォォォォォォォォォォ!!!!」
魔物の供給が絶たれ、ゴーレムの体に押し潰されたことによってこの場の半数以上の魔物が消え去った。
「ランク!私達も行くよ!」
「はい!」
本格的なゴーレム戦が今、始まる。
ミランのサイコロでは今回「心臓」が出ましたが心臓のない(もしくはあるかどうかわからない)相手の場合通常心臓がある所、つまり左胸を狙うようにしています
巨大化 魔力消費10 大きさによって消費量増加
スタック 魔力消費10 物をその場に固定できる、ただし固定されるものは何かに挟まれてないといけない。




