陥落
◆英
槐が発した号令で、伴天連の騎士達が俺達に襲いかかる。
「英ッ! 千代草を守れッ!」
九鬼班長は俺にそう命じると、戦斧を振りかぶり、一人目の騎士の頭に振り下ろした。その瞬間だった。
カッ!
ドォォォォーーーーン!
強烈な光と音を立て、斬られた騎士が、班長の前で爆発したのだ。その衝撃で班長は、戦斧を手放して吹き飛び、受け身を取ることも出来ずに地面に転がった。
辺りを静寂が包む。唖然とした俺達は身動きを取れずにいる。
信じられない……あの九鬼班長が、吹き飛ばされて倒れた?
「しゃあぁぁぁーーッ!殺ったあぁぁーー!」
槐は大袈裟にガッツポーズを決め、歓声を上げた。
「九鬼ちゃんと紫雲英とは、いずれ戦うと予想して備えてあった爆弾花火兵じゃ! 中には金属片も入っとるぞ! まんまとかかってくれたのぅ!! 最強、討ち取ったどぉぉーー!!」
班長はうつ伏せに倒れたままピクリとも動かない。
「嘘だろ!? 九鬼班長!」
心配する俺と千代草が駆け寄ろうとすると、騎士達に囲まれてしまった。
「さぁさぁ、どうする英? ソイツらは、触れたら爆発するかも知れんぞぉ〜?」
槐は勝ち誇った顔で扇子を煽いだ。
槐の言葉を間に受けるつもりはないが、コイツら全員に爆弾が仕掛けられているのか? 爆発の条件は衝撃を与える事か? 絶命した瞬間か? それとも一定の距離に近づく事か? いずれにしろ逃げ場は無くなった。
「千代草、好き避けは使えるのか?」
小声で訊いた。
「魔力消費の大きい蘇生魔法を使ったから、ほとんど魔力はありません。今は回復魔法すら使えません……」
マズイ状況だ。今使えそうな穢悪が思い浮かばない。爆発に直結する技しか思いつかない。
「英。詰みじゃ……千代草をこっちへ寄越せ、ほしたら命までは取らんど」
考えろ! 何か手はないか!?
「私がそっちに行けば、本当に英さんは助けて貰えますか?」
は? 千代草の突然の言葉に困惑する。
「安心せぇ、約束しちゃる」
「おい、ふざけんな! アイツが約束なんて守るわけないだろ!」
俺は千代草の肩を掴む。しかし、千代草はその手をそっと振り払い、俺を安心させるかのように微笑んだ。
「私はいつも英さんに助けてもらってばかりです。今度は私に、貴方を助けさせてください……」
「ぐ……!」
情けない……情けない!
俺は二人を助けに来た筈なのに、九鬼班長を守る事も、千代草を守る事も出来ない。
俺はまた失うのか? 大切な人を……また
……嫌だ……
なら、死んで守ろう……終極の穢悪を使って……
生命力を魔力に変換し、自身を魔王に変…
「おらぁぁぁぁーーーーッ!!槐ぅぅーー!!」
! 突然の怒声が町に響いた。思い詰めていた俺は我に帰ると、道の先から馬に乗った兵達が押し寄せて来るのが見える。その先頭にいる男には見覚えがあった。
「あぁん!? 誰じゃあ?」
槐がサングラスを上に外して目を細めた。
「覚悟せぇぇーー!!」
俺達の方へ向かってくるのは、山賊の頭領、源八だ。
*次回、『源八大爆発!』




