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「お前を、この異世界から排除《ドレイン》する……」 ー内閣府裏デジタル庁異世界転生救済課活動記録簿ー  作者: ねず ただひま
螻蟻潰堤(ろうぎかいてい)の章

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捜索

はなぶさ



「……その後、通信障害ジャミングが解消され、俺は救助を求めた」


 南天なんてんから作戦当日の話を聞かされた俺は、自然と歯軋りをしていた。今すぐベッドから起きあがり、二人の捜索に向かいたかった。


 「南天なんてん……すまん。俺がもっと早く動いていれば、こうはならなかったかもしれない」


 俺は謝罪の言葉を口にする。


「バカやろう……謝るのは俺の方だ、二人を守れなかった」


 南天なんてんは俺達に見せない様に顔を反対側に向ける。俺は南天なんてんの怪我の状態を確認するために全身を観察すると、右足の膝から下は無くなっていた。


桔梗ききょう、あの足は治せるのか?」


 桔梗ききょうは眉根を寄せて、首を小さく横に振った。


「無くなった足が見つかっていないのよ。それに、ひっつけて治せる時間はとうに過ぎているわ。傷口には異世界の異物が大量に付着していて、今はこれ以上の治療は無理ね……」


 そう聞かされ、拳を握ったのを察した芙蓉ふようが、心配そうな表情で俺の胸に手を添え、落ち着かせてくれた。


「ハナブー……」


 俺は大きく息を吸い込み、全身を脱力させながらゆっくりと息を、怒りの感情と共に吐き出した。


「俺たちの後は、鉄線てっせんさんと施覆花おぐるまさんが引き継いでくれた。はなぶさ、俺たちの出番はここまでだ。今は静養こそ最大の任務だと思う様にしよう……」


 南天なんてんにしては、()()()()()ものの言い方だと思ったが、俺は「そうだな……」とだけ返事をした。


 三人を襲った戦国時代の兵達。その異世界を創造した救出対象者ドリーマーを調べるように俺は芙蓉ふように頼んだ。


 やはりえんじゅ黒鉄くろがねの他にも、救出対象者ドリーマーを味方に付けてたのだろう。敵は予想より多い。


 はやる気持ちを抑え、俺は瞼を閉じて、もう一度眠りについた……




……


………様にみせかけた。


 桔梗ききょう芙蓉ふようの二人が医務室から退出して体感で四十分くらい経過しただろうか。


 俺はベッドから起き上がった。そして仕切られているカーテンを開けると、南天なんてんも起き上がり、()()をしていた。


 「考えてることは一緒だな……」


 俺はニッと笑い、拳を突き出すと、南天なんてんもやや口角を上げ、軽く拳を当ててきた。



施覆花おぐるま鉄線てっせん



 夕暮れ時、九鬼くき達が襲撃された現場の山には、黒いスーツ姿の男たちがいた。

彼らは車から機材を取り出し、いつでも異世界へ向かえるよう、すでに準備を終えていた。


 「班長と千代ちゃんが消えたんがこの辺りや……なんか分かった事はないか?鉄線てっせん?」


 鉄線てっせんは、地面に散らばる大量の棘の球を拾いあげてじっと見つめる。


「これは、えんじゅ武器はなびで間違いない。過去にコイツを使って派手に追跡者トラッカーを吹き飛ばしたのを見たことがある」


 施覆花おぐるまは電子タバコから煙を吸い込み、ため息ほどの大きさでそれを空に向けて吐き出す。


「まさか身内からこないな事する奴が出てくるとは……」


 「それで、貴方達はまだ捜索に向かわないのですか?」


 二人の後ろから声を掛けたのは、芙蓉ふようの兄、苧環おだまきだ。諜報員である彼も学生の身であり、ブレザーの学生服を着ている。


 常に明るい性格の妹とは正反対で、大人しいイメージの少年だが、分析能力と通信などの機材の扱いには長けている。


 「そう、だな……俺たちだけで行ってもいいんだか……」 


「ウチには、置いて行ったら後でピーピーとやかましい奴がおる……」


 施覆花おぐるま鉄線てっせんは互いに顔を見合わせてニヤける。


「誰か他に応援を頼んだのですか?」


 一体誰の事なのかと、まるで思い付かない苧環おだまきは小首をかしげた。


「頼んだわけやない……せやけどソイツは仲間のピンチに必ず駆けつけるんや」


「かなり生意気な奴だけどな……お、噂をすれば」


 二人は苧環おだまきの肩越しに二つの人影を見た。


 苧環おだまきは振り返り、驚嘆した。


「正気か……?」


「誰よりも九鬼くき班長を愛する男と、寡黙なタフガイの到着や」


 三人の目線の先には、重症のはなぶさと、もっと重症の松葉杖を持った南天の姿があった。


はなぶさ南天なんてん現着しました」


*次回、『桔梗ききょうさんは怒りたい』

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