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「お前を、この異世界から排除《ドレイン》する……」 ー内閣府裏デジタル庁異世界転生救済課活動記録簿ー  作者: ねず ただひま
螻蟻潰堤(ろうぎかいてい)の章

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敢行

九鬼くき



 九鬼くき班、えんじゅ班合同作戦二日前……



「この作戦を、同時展開する」


 九鬼くきがタブレットの画面に示したのは、先ほどの九鬼くき班、えんじゅ班合同迷子ロストチルドレン救出作戦とは矛盾する『えんじゅ捕縛作戦』であった。


「班長、これはどういう事ですか? えんじゅ班は俺たちと共同で任務に就くのでは?」


 その内容に驚嘆きょうたんした南天なんてんが怪訝な顔で九鬼くきに説明を求める。


えんじゅ班に造反の動きあり……課長からその報せと、ある作戦の提案を受けた」


「造反……」


 千代草ちよぐさが呟く。


「前回、甲西ダム公園にて私達は二度襲撃を受けている。あれはえんじゅが行った可能性が高い。課長の考えはこうだ……『千代草ちよぐさをわざとえんじゅに攫わせる。そして私達が追跡し、潜伏先の異世界で迷子ロストチルドレンを救助しつつ奴らを捕まえる』……」


 九鬼くきはまっすぐに千代草ちよぐさを見据えて言った。


 自分を直視する九鬼くきの瞳から目を逸らせない千代草ちよぐさは閉口し、固唾を飲む。


「だが私はこの考えに反対だ。えんじゅと合流した時点ですぐに捕える」


「待ってください班長、えんじゅ迷子ロストチルドレンは繋がった事件なのですか?」


 動揺する南天なんてんをよそに、九鬼くきは頷く。


「課長はそう見ている。えんじゅ迷子ロストチルドレン千代草ちよぐさを使って何かを企んでいるとな……だが、囮作戦には従わない。えんじゅを捕まえて全て吐かせる。迷子ロストチルドレンの救助には、私から万年青おもとさんに頼んで苧環おだまき芙蓉ふように向かわせるようにしてある。少し遅れるかもしれないがな。

もし、交戦することになれば、えんじゅのそばに居るであろう合歓ねむは私が抑える。その間に南天なんてんとシロでえんじゅを捕えろ。千代草ちよぐさ南天なんてんのサポートだ。異存があれば挙手を……」


 千代草ちよぐさはそっと手を挙げた。


「……千代草ちよぐさ。さっきの囮の事が気になるか? やらなくていい……お前が進んで危ない橋を渡る必要はないんだぞ」


 九鬼くきは少し顔の緊張を解かして、柔らかな口調で千代草ちよぐさに話かける


 千代草ちよぐさはかぶりを振った。


「私は、ずっと後悔していたんです。一人目の迷子ロストチルドレン、宮田カケルくんを助けられなかった事を……もっと早く異世界から助け出せていたなら……と。二人目の迷子ロストチルドレンも、重い病気を患ったまま何日も異世界に閉じ込められています。もしあっちの世界で健康状態が悪化していれば……そうなる前に私が囮になり、いち早く迷子ロストチルドレンに接触して保護魔法と回復魔法をかけてあげたいんです!」


 千代草ちよぐさの目からは揺るぎない決意が見て取れる。九鬼くきは尋ねる。


「どんな目に遭うのか、何をやらされるかわからんぞ……」


えんじゅさんを捕まえるより、私は子どもを助ける事を優先したいです……もし、私の主張を飲んでもらえないなら私はチームから外れて単独で動きます」


 それは千代草ちよぐさ九鬼くきに初めて反発した瞬間だった。二人の視線が交錯する。


 ゆっくりと瞳を閉じて、諦めのため息をついたのは九鬼くきのほうだった。


「わかった……ただ、万一に備える。苧環おだまき芙蓉ふようにはなるべく早くこちらに合流してお前の座標を調べるよう呼びかける。それでいいな?」


「はい!」


 千代草ちよぐさは力強く返事をした。

*次回、『海と鉄艦』

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