36. パンツ
◆英◆
『吾亦紅を探し当てろ』
『探せ』ではなく『探し当てろ』
この短い文章から察するに、おそらく蒲公英課長は吾亦紅を見つけている。
そして、俺もすでに吾亦紅と接触しているだろう。
紙をカウンターの上に置いて椅子に座り、どこを見つめるでもなくただ思案する。
最近俺が出会った人物……そいつの登場で課全体にこの慌ただしい展開をもたらした者。
吾亦紅は松代である可能性が高い。
紫雲英班長の部下のはずだが……なぜネペンテスを使えた? あれの製造方法は不明のはずだ。
わからない……痛めつけてでも松代本人に聞くのが早い。だが、あの蒲公英課長の特命とあれば、力づくというわけにはいかないだろう。きっと本人の口から『俺が吾亦紅だ』と言わせなければならないだろうな。
「面倒くせぇ」
そう呟いた俺の視線は、いつの間にか天井へと移っていた。
まずは確かめたい事がある。俺はスマホを取り出すと施覆花さんへ電話をかけた。
『おう、英どないした?』
「お疲れ様です、施覆花さん。突然ですが松代の事でお願いがあります」
『急やな、なんや? 言うてみ』
「松代が履いていたパンツをください」
『…………』
電話のむこうで施覆花さんが押し黙る。
『英……このことは千代ちゃんには内緒に……「うるさいですね、とにかく用意しておいてください」』
俺は一方的に通話を終了した。
*次回、『作戦』




