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drain ードレインー 内閣府デジタル庁異世界転生救済課  作者: ねず ただひま
嚆矢濫觴(こうしらんしょう)の章

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蔓と隠れ蓑

施覆花おぐるま


 エルフがつると化した長い両腕をムチのように振り回す。シュパンッ!パシンッ!と空気を切り裂く音が連続で響く。


 施覆花おぐるまはその攻撃を何度も掻い潜って避け、距離を取るとベースボールキャップを前後反対にして被った。


「あっぶないなぁ〜、そない怖い顔せんでや、べっぴんさんが台無しやで!」


 施覆花おぐるまは軽口を叩きながら手に刀を顕在化けんざいかさせると、両手で柄を握って野球選手のバッターのようにスイングした。


「そ〜らよっ!」


 振られた刀からは鞘が発射され、真っ直ぐエルフへ向かって飛んでゆく。


 鞘はエルフのつるの腕で弾かれたが、その間に施覆花おぐるまが距離を詰めて刀を振った。

エルフは後ろへ大きく跳んで避ける。難を逃れたかに見えたが片腕を無くしていた。


 それを見たエルフは近接戦闘を避けるため、さらに施覆花おぐるまから距離を取り、斬り落とされた腕の切断面を見て施覆花おぐるまに訊が《き》く。


「ナンダ、ソノ刀ハ?ドウヤッテキッタ?」


「ああコレ?これは、天狗の隠れ蓑(コンシール)っちゅーヤツや。オモロイやろ?」


 施覆花おぐるまが手にしている刀には刀身が無いように見える。ただ柄を握っているだけにしか見えない。


 それを時代劇のチャンバラのようにブンブンと振り回す。


「見よやこの剣捌き!オレんちに先祖代々伝わる伝統の剣技や!隙があったらかかってこんかいッ!」


 殺陣っぽい動きをした後、バッチリ決めポーズまで終えると、施覆花おぐるまはエルフに向けて存在しない刀身を突きつける仕草をした。


しかし、その瞬間、勝負はついた。


ドスッ!


エルフが口と喉元から血を流して膝をつく。


「ガッ!?…オマエ…ナニヲ!?」


「せやから、隠れかくれみのや。俺のこの刀は目に見えへん特別な代物シロモン。しかも刀身のサイズは伸縮自在。長さも幅も、ある程度俺の自由に変えられるんや」


エルフの喉に突き刺さった施覆花おぐるまの刀身が、返り血でそのシルエットを浮かび上がらせた。


 箸ほどの細長い刀身がエルフの喉を貫通している。


「ねーちゃんは遠間とおまから戦うのが好きそうやったからな、ちょいと騙してらくさせてもろたわ」


「ク、ソガッ!」


 エルフは施覆花おぐるまに両手を向けて鋭い先端のつるを伸ばす。


 だが、それが届く前に、施覆花おぐるまは刀を握った腕を振り上げる。


 エルフの顔面は縦に切り裂かれた。そして生命活動が維持できなくなたった体はバラバラと崩壊し、炭と化して風に散っていった。


「ほな、さいなら」


 施覆花おぐるまは落ちていた鞘に刀をカチンと納めてニヤッと笑った。


*次回、『銃と包丁』

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