パンツ
◆英
『吾亦紅を探し当てろ』
『探せ』ではなく『探し当てろ』
この短い文章から察するに、おそらく蒲公英課長は吾亦紅を見つけていてる。
そして、俺もすでに吾亦紅と接触しているだろう。
紙をカウンターの上に置いて椅子に座り、何処を見つめるでもなくただ思案する。
最近俺が出会った人物……そいつの登場で課全体にこの慌ただしい展開をもたらした者。
吾亦紅は松代である可能性が高い。
紫雲英班長の部下のはずだが……なぜネペンテスを使えた? あれの製造方法は不明のはずだ。
わからない……痛めつけてでも松代本人に聞くのが早い。だが、あの蒲公英課長の特命とあれば、力づくというわけにはいかないだろう。きっと本人の口から『俺が吾亦紅だ』と言わせなければならないだろうな。
「面倒くせぇ」
そう呟いた俺の視線は、いつの間にか天井へと移っていた。
まずは確かめたい事がある。俺はスマホを取り出すと施覆花さんへ電話をかけた。
『おう、英どないした?』
「お疲れ様です、施覆花さん。突然ですが松代の事でお願いがあります」
『急やな、なんや? 言うてみ』
「松代が履いていたパンツをください」
『…………』
電話のむこうで施覆花さんが押し黙る。
『英……このことは千代ちゃんには内緒に……「うるさいですね、とにかく用意しておいてください」』
俺は一方的に通話を終了した。
◇九鬼班
九鬼班専用のオフィスに集まったのは、九鬼、南天、千代草の三名。
施覆花は引き続き松代の取り調べ。鉄線は療養中。英は別任務に就いている。
「本日、諜報員の芙蓉が二人目の迷子の座標を発見した。蒲公英課長からの直接の使命により、二日後に奪還作戦を敢行する。質問は?」
南天が眉根を寄せて九鬼に訊ねる。
「班長、偽の三人目の情報の件がありましたが、今回は間違いないのでしょうか? 俺達をまた誘き出すための罠という可能性はありませんか?」
「あるかもしれない……だが、二人目の迷子が放つ生態波長を捉えたのは間違いない。千代草と鉄線を襲った奴がそこに張り込んでいる可能性もある。警戒は必要だ。それについては後で説明する」
「班長」
次いで千代草が挙手をした。
「迷子奪還後、すぐに医師に診てもらう為、ポイントRに緊急車両の配備をしたいのですが」
「あぁ、そうだな、許可しよう」
「それと……今回は私と南天さんと九鬼班長の三人ですか?」
千代草は少しだけ心配そうに九鬼に訊ねた。
「本当は、前回狙われた千代草を連れて行きたくはないのだが、残すより安全だと判断した。
お前の事は私が必ず守る。それと、今回は槐班が私達をサポートしてくれる手筈になっている。そして……」
九鬼は一度言葉を留めると、タブレットの画面をスクロールする。
「この作戦を同時展開する…」
「これは!?」
南天と千代草はその内容を読んで同時に一驚した。
*次回、『プリプリ魔法少女 アイラちゃん⭐︎』




