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「お前を、この異世界から排除《ドレイン》する……」 ー内閣府裏デジタル庁異世界転生救済課活動記録簿ー  作者: ねず ただひま
勇往邁進(ゆうおうまいしん)の章

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蠢動

はなぶさ


 甲西こうせいダムから少し離れた場所にある廃墟のホテルの駐車場に俺達の乗った車は止まっている。


 蒲公英たんぽぽ課長に、今回の件での違和感について聞かれた俺は、鉄線てっせんさん達と合流する前にすれ違った車のナンバーを、蒲公英たんぽぽ課長に教えた。すれ違ったのは一瞬だったが、深夜に禁足地のダム周辺ですれ違うにはあまりに不釣り合いな高級セダンだ。無意識にナンバーを覚えていた。


 仮にキャンプに来たのだとしても、あんな車で山にくるだろうか?


 俺が見た高級セダンのナンバーを黒百合くろゆりがノートで照会したところ、すぐに特定できた。その車は四十雀しじゅうからが院長を務める病院の所有する車だった。


 俺と千代草ちよぐさ蒲公英たんぽぽ課長の車から降ろされた。


「もうすぐここに迎えのヘリが来る。桔梗ききょうも乗せてあるから千代草ちよぐさはすぐに診てもらえ」


 課長は助手席に座ったままそう言った。


「待ってください課長、あのダムで起きた事を、教えてくれませんか?」


 俺がそう言うと、蒲公英たんぽぽ課長は、俺から視線を外して、グローブボックスからサングラスを取って装着した。


「焦らなくても、いずれ分かるさ……そうだ、お前にコレを渡しておこう」

 

 課長は車の窓から手を出して小型の通信機を俺に向かって投げた。俺はそれをキャッチする。


「これは?」


「今回の件、俺の中ではもう繋がっている。プランを練る。お前にはソレを使って連絡するから大事に待ってろ。それとお前ら、今日俺と会ったことは誰にも言うな」


 そう言うとガラスを閉じ、課長を乗せたSUVは俺達を残して走り去った。


 蒲公英たんぽぽ課長と黒百合くろゆりの姿が見えなくなって、隣の千代草ちよぐさが口を開いた。


はなぶささん、過去にあのダム付近で何かあったんですか?」


「ああ、万年青おもと先生のところで昔の写真を見せて貰ったんだ。そこには十五年前の先生と紫雲英げんげ班長と、こどもの頃の九鬼くき班長が写っていた。先生から聞いた話だと、九鬼くき班長は、救出対象者ドリーマーとして紫雲英げんげ班長に助け出されたそうだ。その時のポイントRが、甲西こうせいダム横の公園だった。」


「あの九鬼くき班長が、救出対象者ドリーマー?」


 千代草ちよぐさは驚きを隠せない。


「その後、何故かあの公園は禁足地に指定された。そして九鬼くき班長のあの強さ……もしかしたら、あの人はお土産の能力(スーベニア)持ちかもしれないな」


「私たちと同じ、希少種レアケース……」


 遠くからプロペラの音が聞こえてくた。朝日が差し込む山間からヘリの姿が見えると、少しだけ安堵した。だが今回の事件は身内が関わっている。まだ気は抜けないと、俺は拳を固めた。



えんじゅ



「ほぅじゃ……また邪魔されたわい。おそらく、全部筒抜けなんじゃろう……ほじゃが必要な道具は届いたんじゃ、もうちょい待ってくれや、四十雀しじゅうから先生」


*次回、『坂口 ハジメ』

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