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「お前を、この異世界から排除《ドレイン》する……」 ー内閣府裏デジタル庁異世界転生救済課活動記録簿ー  作者: ねず ただひま
勇往邁進(ゆうおうまいしん)の章

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ダムに浮かぶ

鉄線てっせん


 ダムの水底で身を隠していた俺は、脅威は去ったと判断して水中から身を出した。たぶん一時間は潜っていたと思う。いつのまにか空全体が明るくなっていた。


 全身が痛む。特に切り落とされた耳がズキズキと脈を打つ。熱を持っている様子からすると、おそらく頭蓋骨まで影響があるだろうと判断する。


 俺の一族は代々忍びの家系だ。幼少の頃より隠遁いんとんの類には長けている。追っ手を出し抜くのは得意だが、さっきのアイツは手強かった。


 はなぶさからの情報が遅れていたら、俺はアウトだっただろう。


 まさか三人目の迷子ロストチルドレンの情報がガセだったとは、俺達が実際会って話しをした両親は偽者、その周りの関係者も偽者とは随分と手の込んだ事をしやがる。


 俺ははなぶさとシロを異世界へ送ったあと、すぐに車を走らせて通信可能な場所まで撤退を計ったが、一台のバイクに追いつかれ襲撃を受けた。


 車をダムに落とされ、辛うじて脱出した俺の耳を、ソイツは初手で攻撃してきた。イヤホンマイクの破壊を優先したのだ。耳を斬られながらも交戦したが、勝てないと判断して俺はダムにわざと落ちて身を隠した。


 ソイツは顔面を包帯でぐるぐる巻きにしていたので正体はわからないが、対者てきは課をよく知る人間の可能性がある。


 それにしても、異世界にいる二人と連絡が取れなくなったのは困った。


 シロが千代草ちよぐさの匂いを追ったから座標は割れたが、通信の手段がない。一旦、本部か班のオフィスに戻らなければならないが、車も破壊された。

さて……これは相当困った状況だぞ。


 相棒の施覆花おぐるまが、虫の知らせでも察知してくれたりはしないだろうかと、馬鹿なことを考えて俺はダムに浮かぶ。

*次回、『狭霧』

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