表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Truth Of Legend  作者: 座敷猫
第三章:アミナス教国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/56

48話:大戦の幕開け

〜前回のあらすじ〜


アミナス教国一年に一度の祭事"降臨祭"

それはエルフ達の美しき舞踏の後、巫女の身に女神が降臨し人々に希望を与える神々しい儀式だった。


その光景にアルスは思わず目を奪われるも……儀式を終えた直後、突如として上空が眩い光に包まれる。

それは────敵からの魔法による攻撃。


混乱に陥りかける人々を巫女は落ち着かせ、自分達と共に戦ってくれるよう呼びかける。

今……近年最大規模の戦いが始まろうとしていた。

 聖ヤーラ歴715年、12の月……

 神秘の森"エリュシオン"の最北端にて二つの軍勢が向かい合っていた。



 一つはエルフ達が(ひき)いる"人類連合軍"

 スーヤ騎士団を筆頭(ひっとう)にアミナス兵団や各国の上〜中級魔導士、そしてアルス達含めた魔王討伐隊の面々……

 地上に並ぶ部隊だけでも錚々(そうそう)たる顔ぶれだが、上空にスーヤ騎士団が(ほこ)神獣(グリフォンナイト)部隊や熟練(じゅくれん)の風魔法使い達が()う光景は圧巻(あっかん)の一言だ。


 対するは魔族の王────ハイル率いる"魔王軍"

 空を(おお)()くさんばかりの魔龍族(ドラゴン)()れ、前方に広がる多種多様な容貌(ようぼう)の怪物達……

 何千何万という数え切れない(ほど)の魔族の大群(たいぐん)此方(こちら)に向け進軍してきていた。


 ────その両軍の規模たるや、正しく"総力戦"といった雰囲気だ。




「す、すごい数です……」

「この戦い……近年では(るい)を見ないレベルで大規模なものになりそうね」


 周囲から伝わる緊迫(きんぱく)した空気……隣で待機するフィルビーは少しばかり(おび)えた様子を見せ、これまで共に(いく)つもの修羅場(しゅらば)(くぐ)ってきた幼馴染(シオン)も流石に息を()む様子を見せる。


 彼女の言う通り、人類と魔族の戦いはこれまでにも何度も起こったが……双方共にこれ程の大軍を率いての戦いは近年では記録にない。

 それこそ文献(ぶんけん)によれば、以前起こったのは歴史書に()せられるくらいに昔のことだ。



「────皆様、どうかご武運(ぶうん)を……啓示(けいじ)の通り、私達には女神の加護(かご)が付いています……それを信じ共に、精一杯(せいいっぱい)戦いましょう……!!」


 両軍の距離が少しずつ、着実に(ちぢ)まり緊張が高まってきた時……不意に空から()き通るように(ひび)いたのは(うるわ)しき巫女(みこ)────レイアの声。


 見上げた先にあったその姿は、普段の聖装(せいそう)とも女神降臨の儀の際の衣装(いしょう)とも違う……身体の至る所に甲冑(かっちゅう)を身に付けた美しくも(いさ)ましい姿。

 何よりも特筆(とくひつ)すべきは背中から純白(じゅんぱく)の翼を広げていることだ。

 その姿は(さなが)ら……彼女達エルフ族のもう一つの呼称(こしょう)である天使そのもの。



「……いつもと雰囲気ちげぇな」

「アレは羽……か?」

「聞いたことあるわ……"エルフ族の中でも優れた者は翼を生やすことが出来る"って」


 普段の(はかな)げな印象(イメージ)とは異なる巫女の姿にウォルフと共に軽く驚いていると、不意に説明をするようにレヴィンが会話に入ってきた。


「そうなのか……レヴィンは物知りだな」

「う、うん……まぁね」

「……」

「……」


 ────直後、場に気まずい沈黙(ちんもく)が流れる。



 降臨祭(こうりんさい)の後、戦闘準備のために宿へと戻ったアルスを待っていたのは()()()()で自身が泣かせてしまった彼女との再会。

 彼女は目元を少し()らしてはいたものの、「もう大丈夫!」と改めてスッキリとした表情を見せ、取り乱してしまったことをアルスへ謝罪してきた。

 それを見て、アルスも自身の今の正直な気持ちを改めて伝えようかと迷ったが……


 "それにさ……振ったアナタにそんな事する資格があると思ってるの?"


 あの時シオンから言われたこびり付くような言葉が頭の中で引っ掛かり、何も言う事が出来なかった。


 こうして今回の一件は表向き何事もなく幕を閉じた……が、残ったのは"このまま終わらせてしまっていいのか"というモヤモヤとした想いばかり。


 ────だが今は、目の前の戦いに集中するべきだ。




「それでは皆様……準備はいいですか?」


 勇者アルスが雑念をなんとか振り払った時、再び巫女の声が場に響く。

 その声に応えるように、アルスは自身の剣の(つか)を握り締める。


 戦いの準備も、覚悟もとっくに出来ている。

 アルス含め一行はこれまでの戦いで損傷(そんしょう)してしまった武具を修理し……アルスは剣を、ウォルフは大斧と双剣を新たに用意した。

 そして前回の戦いで仲間に加わったシオンもまた、自身の兄である勇者カリヴァの盾を身に付けていた。



手筈(てはず)通り、先ずは()()先陣(せんじん)を切ります」


 武器を、杖を構え出す人々に向かって続けて掛けられる巫女の言葉……それにあわせて二人の人物が人類連合軍(アルス達)の先頭へと出ていく。


 一角獣(ユニコーン)()り、巨大な騎槍(ランス)(たずさ)えるグラシアと騎士団長ペルデール……スーヤ騎士団の中でも指折りの実力者達。

 その二人の前に宣言通り舞い降りる巫女(レイア)────決戦前、彼女は人々を集めて話をした。


 ・斥候(せっこう)により魔族の大群が此方に向かっているのが判明した

 ・それらの軍勢を率いているのはあの魔王

 ・この戦いは魔王の手駒(てごま)如何(いか)に減らすかが重要

 ・それを成すため、開戦の際は自分達が先陣を切る


 ────どうやら今が、その時であるようだ。



「「「グオオオオオオオォォォッッッ!!!」」」


 咆哮(ほうこう)を上げ、一斉に突撃し魔法を放ってくる魔族の軍勢。

 それらを前に巫女は静かに(さや)から剣を抜き、その場で構える。


「〜♪」


 そして、透き通るような歌声と共に横に一閃(いっせん)──────()ぎ払った瞬間、前方の大群は放ってきた魔法ごと真っ二つになった。


 威力(いりょく)・範囲共に恐ろしい神の御業(みわざ)(ごと)き必殺の一撃……その光景にアルスは目を見開き、周囲の味方は小さく歓声(かんせい)を上げる。





『ザッ…ザッ…』


 ……しかしその中で、何事もなかったかのように此方へ向かってくる個体が一体。

 他の魔物が距離を取ったり回避行動を取る中……その魔物だけが悠然(ゆうぜん)と、仲間達の血や臓物(ぞうもつ)()かれた絨毯(じゅうたん)の上を歩いていた。



「……来ましたか」


 遠くからでもビリビリと感じる途轍(とてつ)もなく強大で、それ以上に禍々(まがまが)しい滅紫色(めっししょく)の魔力……

 この広大な戦場の中、一際(ひときわ)異質な存在感を放つその魔物を前に、巫女(レイア)は改めて剣を構え直す。


 大地から生えた樹木(じゅもく)(おお)われたような身体……その(くぼ)みの深淵(しんえん)からは、瞳孔(どうこう)を表すかのように(あや)しい光が放たれている。

 まるで、かつてこの大陸に生きる人々を大勢殺した厄災(やくさい)たる瘴気(しょうき)そのものが生き物の形を成したかのような姿。



「……ッ」


 血が、骨が、全身の細胞が()げてくる────あの魔物は危険だと。

 この世界に他に比肩(ひけん)する存在はいないと断言出来る程の魔力、そして威圧感(プレッシャー)……

 初めて姿を見たが、最早その正体は疑いようがない。

 そんなアルスの直感が正しいものであると告げるよう、巫女がその名を口にする。



「魔王……ハイル……!!」



 それは人類と魔族────二つの種族の頂点が遂に相対(そうたい)した……歴史的な瞬間だった。


挿絵(By みてみん)

お疲れ様です。今回が今年最後に投稿するお話となります。

ここまでお読み頂きありがとうございました!

来年もまた頑張っていきますので、どうか共に付き合って頂けると幸いですm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ