帰宅
俺はその後……信じられないと思うが、俺も本当に信じられないのだが、今まで通り右原さとみと同棲することになった。まさか、あれだけ暴露してこんな未来が待っているとは思わなかった。
さとみ「結婚の発表をして2週間で破局みたいなニュースが流れたら困るでしょ?」
彼女はそう言っているが、きっと……もう死んでしまっている俺に気を遣ってくれている。俺が成仏して片繁が戻ってくるまでのあいだ大好きだった女優と暮らす。もしそれが理由なのだとしたら、彼女は優しすぎる。
さとみ「なんだか年の離れた弟が出来たみたい」
俺「さとみさん、俺……あぁ、福崎ソウのことは本当に気にしなくていいですから……」
結婚式を中止して参加者や関係者にとことん頭を下げた後、片繁の自宅に戻りながら話しかける。
俺「俺、バレないようにどっか別の場所に住みます。別にあなたの側にいなくても、片繁がこの身体に戻ったらまたあなたの所に来ます」
さとみ「あなたが、俺の顔と声を愛せって言ったのよ? 私はハジメさんと一緒にいたい」
俺「それは……それが本当に本心ならいいんですけど……」
さとみ「ほら、弟って てい なんだから敬語も無し」
俺「いや、それは」
さとみ「なんならお姉ちゃんって呼んでもいいよ?」
いや正気か鼻血が出るかと思った。
俺「いやさとみさんそれは」
さとみ「え?」
俺「さとみさ……」
さとみ「んー?」
俺「さ、さとみ……姉ちゃん……」
さとみ「何、ソウ? ふふっ」
俺「いやいやいや恥ずかしいそれは無理! 勘弁して! さとみさんで! 敬語は外すから!」
さとみ「仕方ないなぁー」
こんな調子で、今度は福崎ソウとしてさとみさんとの暮らしが始まった。会社は体調が悪いということで期間未定で休暇を取った。そう、次の彼女のドラマの撮影が始まるまで、ほぼほぼ何にも邪魔されない2週間が始まってしまったのだ。




