↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
6/13

生活

寝坊とかそういう心配をする前にまず一睡も出来なかった。右原さとみの寝息がかかるような状況で寝れるわけがないだろう。心臓のBPMが永遠に上がり続けるからじっとしていられなくなって、午前四時くらいにリビングに逃げてコーヒーを飲んでいた。


七時過ぎにはBPMも80くらいに落ち着いたが、起きてきたさとみの一言で落ち着くどころが完全に停止した。ほんの少しだけ機嫌が悪そうに見えたのは俺が本当に日課のキスをしなかったからだろうか。


さとみ「今日あれだね、式場の最終打ち合わせだね」




その日1日はもう頭が回らなくて、言われるがまま為すがまま動いた。どうやらさとみは一ヶ月後にドラマの撮影が始まるまではあまり忙しくないらしく、その中盤、つまり今から2週間後くらいに式を挙げようというスケジュールだったらしい。


決まっているものはどうしようもない。もしこのまま片繁が戻ってこなければ俺がさとみと式を挙げるのだ。とにかく今は、式までの2週間何事もなく過ごさなければならない。


さとみとの生活で一番困ったのがお互いに何もしていない時だ(仕事の話はしないでほしい、取り敢えず社長の座から降ろされるようなことにはなっていないしさとみには俺の仕事での失態はバレていない)。元々そんなに女の子と交流があったわけでもない20歳陰キャ大学生が右原さとみとまともに雑談なんて出来るわけがない。ものの2日くらいで話題の尽きた俺は、IT社長の財力をもって売り切れ続出のニンテンドースイッチを導入した。


これは大成功だった。ゲームを導入したおかげで気まずい時間なんてものはほとんどなく、本当に自分がさとみの夫なんじゃないかと勘違いするくらいには仲睦まじく2週間を過ごせたと思う。


さとみ「あれ、ゲームとかするんだ?」


俺「あーーーー……、そうだね」


ジョイコンを片方渡して座る。さとみが、俺に肩を寄せて座る。


さとみがどんなゲームならハマってくれるのか分からなくて色々買ってみたが、対戦系以外はほとんど楽しんでくれた。対戦系は……俺に全く勝てなくて早々にやめてしまった。


一番さとみがハマったのはどうぶつの森だった。可愛い。右原さとみが俺の横で楽しそうにどうぶつの森をしているというだけで本当に涙が出そうだ。


さとみ「見て見て!」


キッチンで洗い物をしていた俺の所にスイッチを持ったさとみが嬉しそうにやってくる。


さとみ「サバンナ来てくれた! ネットで前見た時可愛くて移住してこないかなって思ってたからすごい嬉しい……え、どうしたの?」


本当に涙が出てしまった。




さとみ「今朝、見てくれた?」


俺「もちろん」


さとみが朝のワイドショーに出た日にはそんな会話をしながら食事をした。自分の妻がテレビで活躍している、そんな誇らしいことがあるだろうか。


俺「日本中の人が俺と一緒にさとみをテレビで見ていて、でもさとみは俺のいる家に帰ってきてくれる。俺は本当に幸せだよ」


さとみ「何それ」


さとみが少し恥ずかしそうに笑う。笑った顔が本当に可愛い。ご飯を食べている姿も本当に可愛い。そりゃあすき家の広告にも抜擢されるわけだ。


本当に幸せだ。この上なく幸せな生活が、2週間経った。


人間の適応能力は恐ろしくて2人で寝るのにも慣れたが、流石に結婚式の前の晩は一睡も出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。