ここに居ること《アメリア・ベイリー》
短めです。
次回から、第2話に入ります。
これからもどうかよろしくお願いします。
「うおおおおなんでだぁ!」
「なんで何も言わずにいなくなっちゃうんだあぁあ!!
「な、泣けるであります!!この手紙!」
あー、もう
皆どんだけ泣いてんのよ…!
うるさいったらありゃしないわ!
それに…みんな生暖かい視線が妙に突き刺さるわ…。
…………私ってそんなに、リュートのこと好きな風に見えたのかな?
「お、おい…大丈夫なのか?アメリア?
リュートも一緒に居なくなったんだぞ?」
「まずは…その汚い鼻水を拭いてよ、お父さん。」
はい、ハンカチと鼻紙。
「おぉ…すまんな…フッヂーン!」
きたな!
汚いよ!!
汚すぎるよお父さん!!!
「…アメリアちゃん、本当に大丈夫なの?」
「そうそう、いつでも相談のるよ?」
もう…!みんなまで!
「さっきから大丈夫だって言ってるでしょ!?ほらみんな!!早く仕事に戻りなよ!」
「だ、だってよ…ロゼちゃんとリュートが…」
ウォーン
と男どもの鳴く声が村中で響いている。
…ほんと、男ってアホなんだから。
「今生の別れって訳じゃないでしょ?
手紙にもまた来るって書いてあったんだし、私達がクヨクヨしてる方がロゼに申し訳ないわよ!!」
「でも…」
「でもじゃない!!ていうか、あんた達、昼酒飲みたいだけでしょ!!」
私は近くの中サイズのジョッキグラスを乱暴だと思いつつ村のみんなに向かって投げつけた。
パリーンと小気味の良い音が鳴り響く。
「う、うわぁ!ごめんよ!!アメリアちゃん!」
「よ、よーしお前ら仕事にいっくぞー!」
お、おぉー!!
そう言って村のみんなは店から出て行った。
「…全くもう。」
「にしても…意外だな。アメリアはもっと悲しむと思ってたぞ。」
「もちろん…悲しいよ。けどね…」
ニヤーっと笑い、お父さんに向かって手紙を突き出す。
「あ!おま、自分だけ個人的に手紙もらったのか?」
「そうでーす。悪いねー。」
「どれ、お父さんにも見せて…」
「ダメに決まってるでしょ。」
スッと私はロゼからもらった手紙を隠した。
「くそぉー!見せてくれてもいいだろ!」
「ダメダメ、ほら早く片付けやっちゃうよ!みんなが来たせいでいきなり汚れちゃったんだから。」
ブスッと拗ねるお父さんを落ち着かせ、二人で店の掃除を始める。
数年前までは私とお父さん。
二人でいるのが当たり前だった
それなのに
今は二人だけっていうのがすごく変な感じがした。
…分かってたけど
リュートもいなくなっちゃったんだよね…
ほんと別に…
リュートのことは…
スキトカジャナイケド…。
ほんの少しだけ…悔しいし
悲しいな…。
「あ、そうだアメリア、リュートの寝床片付けておけよ。」
「え、あぁ…うん。」
そう言ってお父さんはキッチンの奥に引っ込んでしまった。
…さっきまで、この辺にいたんだから
ついでに片付けてくれたら良いのに。
私はリュートが床にしてた毛布を片付ける。
あれ…?
なんだろ?これ?
毛布に何か挟まっているのに私は気づき、それを手に取った。
…これ、確か…カナンからもらったってリュートが言ってた…
それは表は黒、裏は白で装飾され、ゴムのような素材で出来た細いリストバンドだった。
リュートは毎日このリストバンドを欠かさずに付けていた。
「…大事なものなのに、なんで忘れてんのよ」
形見なんじゃないの?
今から行って間に合うかな
届けた方が良い…よね…。
ふと…私はリュートのリストバンドの異変に気付く。
…アレ?
なんか…書いて……?
〈アメリアへ!なくすなよ!〉
リストバンドの裏地には黒いインクの汚い文字でそう書いてあった。
…なくすなって。
それだけ…?
「ほんと…バカなんだから…」
ほんとにバカ。
バカよリュート。
バカバカバカバカ。
「…もっと、他に言うことあるんじゃないの?」
あぁ…
もう…
こんなアホくさい一言なのに…
なんで泣けてくるだろ。
どうして、今なんだろ。
全然、涙止まんないよ…。
私は泣いていた。
ボロボロと熱い雫が頬を伝っている。
…よかった。
「なくすな」ってことは
また…取りに来るってことだよね
私、待ってて大丈夫なんだよね…
リュートのこと…
カナンが死んでしまったあの日から、ずっとずっと私は…
リュートの新しい居場所になってあげたいって…
でも、リュートの心の穴を私は埋めることが出来なかった。
そう思ってた。
けど…
リュートがどういうつもりか知らないけど…
きっと、私はアナタの居場所になれなたんじゃないかなって…
このリストバンドのおかげで、そう思えるよ…。
リュート待ってるからね。
何年でも
何十年でも
私だけは
あなたの居場所でいつづけるから…
だから…いつか…
「…終わったか?」
「な!、何が?終わるってどういう意味?」
…いつから見てたのよ。
眼が赤くならないように優しく目元をこする。
「ははっ!そうか!悪かったな!」
「…もう。」
お父さんはガッハハと笑っている。
…全部知ってたのかな?
恥ずかしい…。
「なぁーアメリアー、やっぱり、おとーさんにもロゼちゃんからの手紙みせてくれよー。」
項垂れながらお父さんが訪ねてきた。
私はなるべく笑顔で
振り向きざまに思いっきり言ってやった。
「ナイショよ。」
そして、リュートのリストバンドにそっと手を通した。
読んでいただきありがとうございました
感想お待ちしております。




