ユーリの理由
体中の筋肉や節々の痛みに耐えながら、ユーリは夢を見ていた。
ジュレイテに来るようになってから、何度も見るようになった夢を。
ーーーー真っ白な地面。
あたりに広がる静寂に、青白い月の光が美しく降り注ぐ。
暖かい春風に運ばれてくる、土や緑の匂い。
にじむ視界の中で、命が尽きようとしている人を強く抱きしめて。
どうしようもないくらいの悲しみ。
どうしようもないくらいの絶望。
泣いている、自分は泣いている。
涙で視界がにじんでいる。
『どうして……どうして……』
胸を締めつけてくる切なさに、
『わかってくれる人なんて、お前しかいないのに……』
ぼろぼろと涙がこぼれ落ちていく。
『ただ、側にいるだけで……それだけで……それだけで……よかったんだ』
冷たくなってしまったその人を、さらに強く抱きしめ、
『胸が苦しくて、苦しくて……』
見上げた空には、綺麗な満月が輝いていた。
優しい風が、またそっと吹き抜けてゆく。
『置いて……いかないでくれ……』ーーーー
その時、今までにじんでいた視界が、急に鮮明になった。
風に波打つ真っ白な芝桜の上で、ユーリはその人の名を、苦しそうに呼んだ。
「……エラ……リエラ……っ!」
置いていかないでくれ。
ただ……ただ、側にいたかったんだ。
ただ……側にいて欲しかっただけなんだ。
ただそれだけを……願って……。
もう一度……会いたくて……。
もう生き返ることのない、リエラを抱きしめて。
叶うなら、再会したいという強い願いを持って。
ユーリはただただ、冷たくなってしまった人魚姫を抱きしめていた。




