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Legend of kiss1 〜雪の王子編〜  作者: 明智 倫礼
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ミラクル足し算

 セレニティス城へ帰るには遅い時間になってしまったリエラは、いつも通りユーリの隣の部屋で眠りについた。

 そして、目が覚めると元の世界へ戻って来ていた。



 五月十七日──亮の誕生日まで、もう二ヶ月を切っていた。

 初夏を思わせるようなさわやかな風が吹く屋上で、亮、祐、誠矢、美鈴は、ランチを楽しんでいる。一人欠けている人の名を、亮は口にして、


「ルー、遅いね」

(どうしたのかな?)


 四人しかいない輪の中で、誠矢は知らない振りをして、焼きそばパンにかじりつき、


「そのうち、来んだろ」

(心配しなくたって、来るって。

 オレたちのこと探ってるかんな。

 まぁ、どこ行ってんのかも予測つくけどな)


 亮は再びお弁当を食べようと、フライドポテトを見つめたまま、急に引っ掛かりを覚えて、


「ルーは違うのかな?」

(関係してないのかな?)


「!!」


 ボケ少女がいきなり核心をついてきたので、他の三人は驚いて、食べていた手をぴたっと止めた。亮は顔を上げて、もう一度みんなに、


「ルーは行ってないのかな?」

(あっちの世界に)


 美鈴は親友に真剣な眼差しを向け、


「どこから、その質問に辿り着いたの?」

(あんた、何か知ってんの?

 だったら、研究に協力してもらうよ)


 亮は意外な反応をされたので、目をパチパチ。


「えっ?」

(何だか、様子が違うみたいだけど……。

 どうしたの?)


 誠矢は片手をコンクリートに置いて、軽い感じで、


「何で、そう思うんだよ?」

(春日、研究行き詰まってるみてぇだかんな。

 協力してやらねぇとな)


 関係しているのは確かなのだが、ルーの情報がどうにも取れず、美鈴は頭を悩ませていた。亮らしく、能天気に、


「ルーも一緒だったら、楽しそうだよね?」

(そう思っただけだよ)


 美鈴は肩をガックリと落とした。


「そう……」

(あんたらしいね、その考え方は)


 親友の返事を聞き、亮はなぜか首を傾げ、


(え……? 地層?)


 大暴投を始めた。誠矢は珍しく突っ込まず、


(妙なんだよな、朝からよ)


 赤髪少年は、視界の端にぼんやりチョコレートケーキを食べている親友を映して、


(…………)


 祐の心を感じ取ろうとするが、誠矢は軽く息を吐いた。


(何も考えねぇで、判断してくる時もあるけどよ。

 考えなさ過ぎな気がすんだよ)


 夏へと向かい始めている、陽射しを感じながら、誠矢は未だにボケ倒している亮を見て、


(祐……こいつに言ったんだろ。

 何のためにバンドやってんのか。

 そんな気がすんぞ。

 なのに……)


 誠矢は隣りで、いつも以上に、ぼんやりしている銀髪少年をちらっと見やり、


(まだ、好きだって気づいてねぇって、どうなってんだよ?

 妙なんだよな?

 いつにもまして、ぼんやりしてる気がすんだよ、祐のやつ。

 呪いの解き方見つけた……んなわけねぇよな。

 だったら、亮に教えてんだろ。

 けどな……)


 今度は、従姉妹へ視線をやった。そこには、さっきまでの疑問をすっかり忘れている亮が。フライドポテトを嬉しそうに頬張りながら、特別校舎を見つめている。


(もう一回、図書室調べてみよう。

 早く見つけないとね。

 もうちょっとしかないから)


 呪いの解き方探しに、やる気満々な亮をうかがいながら、誠矢は珍しくため息をついて、


(何か、微妙に様子が違ぇんだよな。

 祐の放置がひどくなった気がすんだよ。

 ってことは、昨日何かあったんだろ。

 オレたちと別れたあと。

 何があったんだって?)


 誠矢は神経を研ぎ澄まし、祐と亮の心を感じようとするが、


(チョコ、うまいな……)

(ふふ〜ん♪ フライドポテト、おいしいね)


 亮はいつも通りだが、祐の様子がおかしい。誠矢は昨日のカーバンクル城での話を思い返し、


(結婚式がリエラの誕生日になったっていうのは聞いたけどな。

 けど……それが原因じゃねぇだろ。

 恋愛対象として意識して、遠ざけてるとかじゃねぇんだよ。

 祐からそんな気持ち、ちっとも感じ取れねぇからな)


 誠矢は空を見上げ、目をそっと閉じた。


(ちょっと、怖ぇけど。

 今は、仕方がねえな。

 あいつ、いねぇのか。

 昨日、オレの直感、増幅させたやつ……?)


 しばらく、誠矢はあちらこちらに神経を傾けていたが、


(こっちじゃ、いねぇのか……?

 いや、ついてた気がすんな。

 けどよ……今はいねぇな。

 どうなってんだ?)


 今はいない。ずっとついているわけではない。祐はチョコレートケーキを食べながら、亮の後ろをぼんやりと眺めて、


(そうだな……)


 スミレ色の瞳を亮に合わせて、不機嫌王子は、突然、天然ボケ少女に、態度デカデカで命令。


「お前、聞け」

(捨て駒として使ってやる。

 ありがたく思え)


 亮は食べる手を止めて、ぽかんとし、


「え……?」

(どうしたのかな? 祐、急にそんなこと言って)


 聞き取れなくなってしまった親友の言動に、誠矢は珍しく本気でびっくりした。


(あぁっ!? 何をどう判断したんだって?

 お前、いつもよりさらに短縮してんじゃねぇか!?

 何すんーー!!)


 赤髪少年は、屋上のドアを開けて、こっちへ向かってくる金髪天使を見つけて、


(……おう、そうか。

 そいつ見て、判断したのか)


 ふんわり天使は嬉しそうに、両手を後ろで組みながら、四人に向かってくる。祐の思考回路を理解して、誠矢も亮に、


「いいから、聞けって」

(パラレルワールドになりそうになったら、ちゃんと突っ込んでやっから安心しろって)


 美鈴は少しだけ振り返り、視界の端でサファイアブルーの瞳を捉え、


「あたしたちは黙って、聞いといてあげるよ」

(彼の情報が欲しいんだよ)


「え、え……?」

(ど、どうしたの? みんなして。

 な、何を聞くの?)


 亮が三人を交互に見ていると、ミラクル天使が、ボケ少女の背後に降臨した。


「持ってきたさんっ♪」

(ふふふっ)


「えぇっっっ!?」

(ル、ルー!?)


 突然声をかけられ、びっくりして飛び上がった亮に、誠矢はゲラゲラ笑い、


「いやいや、お前、驚くところじゃねぇって」

(いい反応するじゃねぇか。

 八神の罠に引っかかった時とおんなじになってるって)


 さっきの使命を忘れて、ボケ少女、ここで一気に大暴投!


「え……?」

(踊る?

 何かを聞くんじゃなかったかな?)


 いつも通りのボケ、ツッコミをしているふたりを見ながら、ルーは亮の隣に腰を下ろした。


(亮ちゃんは、素敵さ〜ん♪)


 ミラクル天使は後ろ手に持っていたものを、さっと差し出した。


「ふふふっ、これ見て。ボクがこの間、と……take……撮ったさん♪」

(みんなに今見せたかったの、どうしても)


 ルーは途中で英語になりかけたが、何とかいつも通り話してきた。目の前に差し出された写真を見て、亮は目を輝かせ、


「わぁ、綺麗だね」

(この間、撮ったんだね)


 ボケ少女が簡単にスルーした言葉に、祐、誠矢、美鈴は同じ疑問を持った。


(『この間』……それを撮影したのは、いつ?)


 ルーは可愛く首を傾げ、純粋無垢な瞳で、亮に、


「うん、春さんでしょ?」

(チョウチョさんも一緒に、う、tow tellの)


 誠矢は心の中で、密かにツッコミ。


(それは、『写ってる』な。

 だから、英語と混ぜて覚えんなって)


 亮から次々に、写真が他の三人にも行き渡っていく。その度に、みんな同じことを思い、ため息をついた。


(菜の花畑……花が咲くのは三月から四月。

 自分たちがこっちにいない間だった。

 ルーは移動してない……かも知れない)


 全員が写真を見終えたのを確認して、美鈴は親友の脇をつつき、


「亮?」

(移動してなかったとしても、おかしなところが多いからね。

 聞いてもらうよ、あんたに)


 亮は不思議そうな顔を、親友に向け、


「え……?」

(な、何?)


 ルーはそんなことはお構いなしで、純粋無垢なサファイアブルーの瞳を輝かせながら、菜の花の写真を見ていた。


(魔法さん、使えたら、嬉しいさ〜ん♪ もうすぐ、出番?)


 呪文みたいになっている、ミラクル天使の心の内は。祐は遠くを見つめたまま、ぼんやりとチョコレートケーキを頬張った。


(お前が聞いた方がいい感じがするから、俺は放置。

 ちゃんと自分で思い出せ)


 その言葉が通じたのか、亮はさっきまでの話を思い出した。


(あぁ……そうか。

 ルーも移動してるか気になってたんだった。

 聞いてみよう、側にいるから)


 声をかけようとして、すぐに口をつぐんだ。


「っ……!!」

(え、えっと……何て聞けばいいのかな?)


 誠矢は焼きそばパンを頬張りながら、金髪天使の様子をうかがった。


(ふーん。

 何も持ってきてねぇってことはーー)


 写真以外、ルーは何も持ってきていなかった。昼休みだというのに。先走りの亮は考えがまとまらないうちに、


「ねぇ、ルー?」

(と、とにかく話しかけないとね)


 ミラクル天使は、写真を宝物のように持ちながら、純粋という名の瞳を亮に向け、


「ん?」

(亮ちゃんの番?)


「聞きたいことがあるんだけど……」


 彼女は言いながら、質問する言葉を一生懸命探す。


(えーっと……ルーは誰とも会ってないんだよね?

 みんなも聞きたがってるってことは。

 って、ことは……?)


 ルーは金髪を初夏の日差しに煌めかせながら、亮の顔をのぞき込んだ。


「どうしたの?」

(亮ちゃん、困ってるさん?)


 なんとか考えをまとめた彼女は、サファイアブルーの瞳を見つめ返して、


「ルーは夢って見る?」

(夢だと思ってるかも知れないよね、誰とも会ってなかったら)


 非常に曖昧な言葉に、祐、誠矢、美鈴は盛大にため息をついた。


(それじゃ、返ってくる答え決まってる……)


 みんなが予想した通りの返事を、ルーはニコニコで、


「うん、見るよ」

(亮ちゃんは、優しいさん♪

 みんなの願いさんを聞いてあげてるんだね)


 夢は誰でも見る、ルーが関係している要素を特定できない質問。亮はそれに気づかず、首を傾げて、


(あれ? 話終わっちゃったね。

 えっと……あぁ、聞き方が間違ったのかも知れないね。

 どう聞けばいいのかな?)


 ルーは春風のような笑みで、祐たちを見渡した。


(『優しささん』と『願いさん』を足したら……わかったさん?

 だから、もっと仲良しさんっ♪ ふふふっ)


 ミラクル天使のめちゃくちゃな思考回路に、誠矢は心の中でゲラゲラ笑い出した。


(いやいや、何のたし算だって。

 しかも、答え、思いっきり疑問形になってるじゃねぇか。

 なのに、次で確定しやがって。

 何だかわからねぇじゃねぇか、それじゃ)


 誠矢はいつまでも考え込んでいる亮に視線を止め、


(これ以上待ってっと、パラレルワールドに突入しそうだかんな。

 仕方がねぇな、オレが聞いてーー)


 それをさえぎるように、いきなり、全ての人々をひれ伏せさせるような威圧感のある視線を感じ取った。

 

(大丈夫。

 彼女はきちんと聞いてくる。

 キミが今話す必要はない)


 サファイアブルーの瞳はさっきまでの、純粋無垢な色を失っていて、まるでどこかの皇帝のようなものに変わっていた。誠矢は豹変してしまった、ミラクル天使を前にして、口の端でにやり。


(だから、お前と祐は油断も隙もねぇんだよ)


 手元を見ていた亮はルーの変化を知らず、今度は間違った答えが返ってこないように、


「えっとね……最近、よく見るようになった夢とかない?」


 一瞬にして、元の純粋な瞳に戻ったルーは、ふんわりと、


「うん、あるよ」

(大切さん♪)


 成功したと思い、亮はミラクル天使へ身を乗り出して、


「どんな夢?」

(ルーも王子様?)


 ルーは春風のような優しい笑みで、変化球を投げた。


「木さんやお花さんとお話するの。ふふふっ。仲良しさんっ♪」


「え……?」

(木や花になってる?

 えっと……どういうことだろう?)


 大変なことに、亮の大暴投が。誠矢は黙ったまま、しっかりと従姉妹にツッコミ。


(いやいや、『話す』が抜けてんぞ。

 大暴投しねぇで、ちゃんと聞けって)


 ルーはさらに言葉を続ける。


「あとね、空を飛んだりもできるの。それから、Oh,my Enemyさんなの。ふふふっ。she mayさんでしょ?」

(わからなくなってるの、みんな)


 誠矢はミラクル天使の心の内を感じ取って、まずはしっかりツッコミ。


(いやいや、わからなくなってんのは、お前の話の方だって。

 最後は、『使命』だろ。

 ってことはよ、違ぇこと、言ってる気ぃすんぞ)


 誠矢は焼きそばパンをかじりながら、金髪天使を視界の端に映し、


(わからなくなってるのは……祐のことだろ?

 けど、妙なんだよな。

 ルー、お前、霊感なんて持ってねえだろ)


 ミラクル天使は独特な雰囲気と複雑な思考回路を持っているが、誠矢みたいに人の心を感じることはできない。矛盾が出てきたことに、赤髪少年は気づいて、


(ルーが、八神に何か言ったんだろ?

 八神は最初から知らなかったってことだ。

 何で、お前だけ、初めから知ってんだよ?)


 ルーはあっちの世界へ移動した次の日の朝、八神の部屋を訪れている。ということは、最初から何かを知っていた可能性大。誠矢はそこで、また威圧感のある瞳を感じて、金髪天使へちらっと目をやり、


ひかるには、光の事情がある)


 担任教師を、ファーストネームで呼び捨てした生徒ーールーを前にして、誠矢は口の端しで密かにニヤリ。


(……それは追求しねぇって)


 赤髪少年は、向かいの校舎ーーレースのカーテンが揺れる八神の部屋を見下ろして、


(『みんな』って?

 お前と八神以外に誰かいんのかよ?

 そんな気ぃすんな……あぁっ!?

 あいつか、あいつだろ?)


 誠矢は今はそばにはいない、王子なのに姫の人物を浮かべていた。ルーは純粋無垢な瞳で、


(ふふふっ、hook moonさん♪)


 赤髪少年は密かにツッコミ。


(それは、『含む』な。

 ーーっつうことは、他にもーー)


 ルーの空を飛ぶ夢の話を聞いた亮はとりあえず、少しだけ微笑んで、


「う……うん。素敵だね」

(空が飛べるって)


 祐はふたりの会話から、何かを判断し、


(ふーん、なるほどな)


 誠矢はさっきから一言も話さず、何も思い浮かべない親友を横目でちらり。


(あぁ? 何、納得してんだって?

 あ!! ルーの正体わかったっーー)


 それを打ち消すように、祐から心の声が、


(ルーの正体、知る必要なし。

 そうだな……あれがこうで、それがああ……?)


 誠矢はそれを感じ取って、珍しくため息をついた。


(お前、わざとやってんだろ?

 だから、指示語で考えんなって。

 ……仕方がねぇな。

 待ってるやつがいるかんな、オレが話進めてやんぞ)


 昼休みだけでは追求できないほどの、複雑化した世界観。誠矢は焼きそばパンを一口かじり、


「ルー、お前、弁当どうしたんだよ?」

(八神んとこ、戻んだろ?

 だから、わざと持ってこなかったんだろ?)


 ルーはふんわり微笑んで、


「光先生のところに置いてきちゃったの」

(誠矢クンは優しいさん♪)


 赤髪少年は何かを確認するように、わざと聞き返した。


「八神?」

(今日は、呪いの解き方教える気はねぇってことか?)


 ルーはゆっくりと立ち上がって、


「ボク、と〜りに行ってcoolさ〜ん♪」


 サファイアブルーの純粋無垢な瞳で、祐と亮を幸せそうに見つめ、


(『わかったさん』と『大丈夫さん』を足して、仲良しさんっ♪

 ふふふっ)


 ルーはスキップをしながら、屋上から出ていった。誠矢はその後ろ姿を見送りつつ、ゲラゲラ笑いそうになる。


(いやいや、突っ込みどころ満載だっつうの!

 180超してる身長で、スキップすんなって。

 それと、おかしなたし算して、去ってくなよ)


 誠矢は美鈴へ視線を向け、


「…………」

(おう、春日、今ので何かわかったか?)


 ミラクル天使は非常に複雑な思考回路を持っていて、その上、性格に二面性があり、混在する時も。しかも、無意識下でやっている。どうにもならない強敵。


 天才少女は残念そうに、首を横に振った。


「…………」

(わからないね。

 人魚と人以外の人種がいるって話聞いたこともないし、そんな文献も読んだことないからね)


 誠矢は綺麗に晴れ渡った空を見上げ、


(そう……か。

 ルーは八神と違って、嘘ついてこねぇからな。

 ってことは、今言ったの、事実ってことだろ。

 けどよ……価値観が独特すぎて何言ってんのか、全然わかんねぇんだよ。

 まぁ、とにかく……待つしかねぇーー)


「ーー飛び魚か!?」

(よし、これでどうだ?)


 さっきまでぼんやりしていた祐が、突然大きな声で言った。誠矢は素早くツッコミ。


「いやいや、サイズ小さ過ぎだって」

(ルー、人だろ、けどよ……。

 やっぱ、こういう時こそ笑い取らねぇとな)


「……難しいな」


 祐はぽつりとつぶやいて、再び考え出した。


(飛ぶ……んー?)


 亮はウキウキで、フライドポテトを口に運ぶ。


(ふふ〜ん♪ おいしいね。

 やっぱり……ルーは行ってないんだね。

 本当の夢の話なんだね。

 ルーって、見る夢もかわいいんだなぁ)


 美鈴はお茶を飲みながら、情報を整理。


(ルーは何を調べていったんだろうね?

 あたしたちが関係してることは知ってる。

 あたしたちがルーの正体を調べようとしてるのも知ってる。

 このふたつのことを、優雅な彼も知ってる。

 それなのに、知らせにいった。

 しかも、前から知ってる情報なわけだから、今日わざわざ探りに来る必要はない。

 そうなると……何か別の問題が起こってる……ってことになるね)


 天才少女はおかかおにぎりを一口食べて、さっきのルーの言動を詳細にIQ二百の頭脳に並べて、


(聞いてないことまで話してた。

 誰かにわざと情報を与えてる……。

 誰かから情報を引き出そうとしてる……?)


 未だに笑いを取ることを考えている祐が視界に入り、美鈴はあきれたようにため息をついた。


(もしかしたら……何も考えなんてないのかも知れないんだよね。

 白石と一緒で。

 ルーは、不思議な思考回路してるからね。

 ある意味、優雅な彼より手強いんだよ)


 策略家とミラクル天使のタッグは、あまりにも強すぎた。

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