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ふとっちょ召喚士  作者: 光晴さん
ダンジョン『英雄の試練』

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第48話 扉の向こうで




「いらっしゃいませ、『英雄の宿屋』へようこそ!」

「……」


洋二と俺は目が点になり、そっと扉を閉める。

「なあ、今宿屋がなかったか?」

「奇遇だな、俺も宿屋を見た」

「もう一度開けてみようか…」



洋二は、そっと扉を開けると

「いらっしゃいませ、幻ではありませんよ?」

「現実?」

「はい、『英雄の宿屋』へようこそ!」


「神崎君、中へ入らないの?」

「…そうですね」

洋二を先頭にみんなが扉をくぐる。



「あの、ここは宿屋ですよね?」

白いエプロンをつけ、髪をポニーテールにしている女性が

「そうです、『英雄の宿屋』といいます」


「こんなところで営業を?」

「お客さんたちは、初めてですね?

初めてのお客さんは、皆さん驚きとこんな場所での営業を驚かれますから」


「それは、ボス部屋の中で営業をしていたら…」

「ここでお泊りになれば、明日には下の階に出口が出ますから大丈夫ですよ」

「…なぜこんな宿屋があるんですか?」

俺はどうしても聞きたくて、聞いてみた。


「実は、この宿屋は最初のボス部屋に作られています。

第10階層まで来れる『探索者』は実力のある方たち。

ですが、どんなに実力があろうとダンジョンの中では休むこと、


眠ることは難しい。

そこでかつての『異世界人』が、この宿屋を作りました。

わざわざ外に出て休まなくても、ダンジョン内で休める場所をと。


でも、1階層からこの宿屋を利用されても困ります。

そこで、ある一定の実力の持ち主のみが利用できるようにと、

『探索者』の実力を、最初のボスを倒せるかどうかにして


ここで営業しているのです」


「へぇ~」

「でも、ここで営業ってことはここから下の階層では営業してないの?」

「そこは、こちらの『英雄の宿屋の鍵』をお使いください」


宿屋の女性は、洋二にガラスの鍵を渡す。

「ガラスでできたカギ?」


「そのカギはめったなことでは壊れません。

それにここから下の階層では、そのカギを壁に向かって使うと

この宿屋へつながる扉が開きます」


「なら、いつでもこの宿屋を利用できるわけか!」

「……ただ、利用可能なのはダンジョン内だけです。

しかも、このダンジョンのみ。お気をつけてご利用ください」

「わかった、じゃあさっそく利用させてもらうか」



「はい!18名様でよろしいですか?」

「ああ、楓、雪、送還するけどいいかな?」

「はい、また明日よろしくお願いします」


「了解、今日はお疲れ様、送還」

楓と雪が送還陣で送還されると、

「お姉さん、16名でお願いします」


「はい!16名様ご案内~!」

宿の入り口から5人ほどの店員が出てきて、

「「「いらっしゃいませ!」」」




店員に案内されて、カウンターに行く。

「いらっしゃいませ、部屋割りはどうされますか?」

「大部屋は何人まで泊まれますか?」

「大部屋は、20人までお泊りになれますよ」


「なら大部屋と、3人部屋をお願いします」

「畏まりました、ではこちらが『大部屋』と『3人部屋』の鍵になります」

「あの、お風呂はありますか?」


「はい、この宿は『異世界人』が作った宿ですからございます。

各部屋に備え付けてございますが、ここは1階の温泉をご利用されたよろしいかと」

「温泉!こ、混浴ですか?」


洋二が地雷を踏んだ!

女性陣の目が、凍えるような冷たさになっている。

「あの、温泉は男女別でございます。申し訳ありません」


店員が頭を下げた瞬間、洋二が消えた!

「いいえ、それが当たり前なんですから謝る必要はありませんよ」

カウンターの下で洋二がのびている。



そのあとは七瀬さんが対応していた。

「さあ、私たちは大部屋に荷物を置いて温泉に入りに行きましょう」

「「「賛成~」」」


「…俺たちは3人部屋へ行こうか?」

「……うん」

俺は気絶している洋二を担いで、ウィリアム君と一緒に部屋に向かう。


洋二がだんだんと、欲望に素直になっているような……




3人部屋に着くと、洋二をベッドに寝かし

「ウィリアム君、俺たちも温泉に行こう」

「温泉って、お風呂ですか?」

「ただのお風呂じゃないけどね」

「楽しみです!」


俺たちは1階の温泉へ、着替えを持って向かおうとすると

「……いててて」

「起きたか?洋二」

「…ああ、ここは?」


「俺たちの泊まる部屋だ」

「…その着替えは、これから温泉に?」

「その通り」


「俺も行く!」

洋二は鎧を脱ぎ、着替えを用意すると

「さあ、行こうぜ~」

意気揚々と1階の温泉へ向かった。






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