親がいる環境
それからライトは忙しい日々を送った。日中は大学。夜はクロの稽古と明楽とナイトの世話に追われていた。でも、毎晩子守唄だけは忘れずにクロと歌った。
「クロ。明日、私の友達のところに行くが一緒に行く?」
「えぇ…」
クロはどこか怖がっていた。
「怖い人じゃない。優しい人だ。明楽とナイトも連れて行くが」
「じゃぁ…行く」
「おう」
当日。
「じゃぁ、行くか」
ライトは明楽を抱っこし、ナイトを肩に乗せた。
「うん」
クロの手を取り、指を鳴らし消えた。
「あれ?ここ?」
四人はケーキ屋さんについた。
「いや。手土産買って行かないとなって。友達。ここのプリン大好きでさ」
ライトはプリンを買った。
「さ、行くか」
クロの手を取り指を鳴らし消えた。
金田の家の前についた。
「ここだ」
ノックした。すると、金田が出て来た。
「いらっしゃ…」
「金田さん。元気してた?」
赤ん坊を抱っこし、男の子と手を繋いでるライトの姿に金田はどう突っ込めばいいのかわからなかった。
「えぇっと…」
「あぁ…彼は私の甥っ子のクロ」
「こんにちは…」
クロは金田に挨拶した。
「こんにちは。まぁ、とりあえず入れ」
金田はライト達を中に入れた。
「いらっしゃい」
あずさも出迎えてくれた。
「あずささん。こんにちは。これ上げる」
あずさにプリンを渡した。
「いつもごめんなさい。ありがとうございます」
あずさは喜んでいた反面、どこか疲れていた。
「とりあえず座って…ライトさん。その子は?」
明楽を指した。
「あぁ…後で言うよ」
リビングに座った。
「多分情報量が多いから、どっちから話すか?」
金田はライトに問いた。
「私も…色々とね。あ、クロ。明楽見ててくれる?」
「うん」
ライトから明楽を受け取った。ナイトもクロと一緒に明楽を見てた。
「かわいいわね…」
あずさは見惚れていた。
「じゃぁ…私から話した方がいいな」
ライトは重い口調で話した。
「まず、クロなんだけど。正式に私の子になったんだ」
「そうなのか。それはよかった。ずっと心配してたもんな」
金田は喜んでいた。
「まぁ…な。で…」
ライトは明楽とナイトを見た。
「三日月龍が全滅した」
金田とあずさは驚いた。
「おい…嘘だろ!?」
「え!?なんで!?」
ライトは肘をついた。
「谷川とレイにやられた。私の大事なシルビアも…」
あずさは驚きのあまり手で口を隠した。
「で、シルビアの形見があの子達だ。龍の方はナイト。で、赤ちゃんの方は三日月明楽。女の子だ」
「そんな…」
「あの晩。明楽の方が産まれたんだ。で、シルビアがやられた時に暴走した。レイはコテンパンにやられててさ。誰にも止められない状態だった。で、谷川が明楽を人間にして力を強制的に抑えた」
明楽はクロにあやされてご機嫌なのか笑顔だった。すると、あずさの背後からアンタレスが顔を出した。ナイトを見ると、そのままナイトに近づいた。ナイトもそれに気付き、アンタレスとおしゃべりだろうか、お互いに鳴いていた。
「ライトさん…しんどかっただろ…」
ライトは頷いた。
「あぁ。金田さんに連絡しようと思ってた。三日月龍全滅したーって。前、部下と一緒に泣いてたよ」
「…」
ライトはふとアンタレスを見た。後ろ脚が一本なかった。
「アンタレス…どうした」
その声にアンタレスは振り向いたが、あずさを見た。
「実は…襲撃にあったんです」
「怪我は!」
「私は大丈夫でした。でも、アンちゃんが私を守ってくれた時に後ろ脚を…」
あずさはアンタレスを抱きしめた。
「実は、この前あずささんが治療しに行った所で、襲撃に巻き込まれたんです。で、急遽帰ってくるって連絡来たから何かあったな思ったら…帰って来たらまだアンタレスの傷口から血が滲んでて。今は家で療養休暇でいるんだ」
金田はあずさの背中を撫でた。
「なんか、この短期間でお互い色々あるな…」
あずさは思い出したように声を上げた。
「あ!プリン!クロ君。食べる?」
クロは突然の呼びかけに驚いた。
「え…あぁ。はい」
「今持ってくるね。みんなも食べるよね?」
「あぁ…うん」
あずさはプリンを取りに行った。
「なぁ。ライトさん」
「ん?」
「私たちさ。子供…考えてたんだ」
「結婚してたら、そりゃ〜考えるわな」
金田は俯いた。
「私に異常があって、できなかったんだよね」
「え…」
ライトは驚いた。
「今はあずささん海外回ってるから、もう過ぎた話なんだけど…」
すると、あずさはプリンを持って来てくれた。
「何の話?」
「あぁ…いや。明楽ちゃん見てたら…子供って可愛いなって…」
金田は本音をこぼした。ライトも重い口調で言った。
「実は、今の環境。明楽とナイトには悪いなって思ってるんだ。金田さんはわかると思うが、あの世界は特殊だ。あの子達には、もっといろんな景色や風景を見てほしい。そして、優しい両親が揃った家庭で育ってほしいって思ってたんだ」
あずさはクロに近づいた。
「クロ君。明楽ちゃん抱っこしていい?」
「うん」
クロは明楽をあずさに渡した。
「可愛いね」
明楽はあずさにも笑顔だった。
「なぁ。ライトさん」
ライトは何となく察した。
「私とあずささんで、明楽ちゃんとナイトを育ててもいいか?」
あずさも頷いた。
「実は、しばらくはここら辺で活動をしようと思ってるんです。アンちゃんの事もあるし。何より、光ちゃんとしばらく過ごしたいと思ってたんですよね」
ライトは考えた。
「でも、この子たちは闇の帝王の血が入っている。今は幼いが、成長するとどうなるかわからない。でも、私はこの子達が成長して行くところを見届けたい。シルビアの形見だから」
でも、金田夫婦なら明楽とナイトを大切にしてくれるとライトは思った。
「金田さん。あずささん」
ライトは二人を見た。
「シルビアの形見を託していいかい?」
二人は深く頷いた。
「守ってみせる」
「こんな可愛い子。絶対に大切に育てる」
ライトはクロを見た。
「クロ。私の友達が、明楽とナイトの親になるって」
クロは驚いた。
「もう会えないの?」
どこか寂しそうだった。
「何言ってる。いつでも会えるよ。な?」
ライトは二人を見た。
「そうよ。クロ君。いつでも遊びに来て」
あずさは笑顔でクロに話した。
「でも…」
ライトはクロを抱きしめた。
「そうだよな。君は私と一緒の境遇で親から酷いことされて来たもんな。でも、大丈夫だ。私の友達は優しいし、怖いことは絶対にしないから。もし、明楽達に酷いことしてたらすぐに迎えに行くから大丈夫だ」
「うん」
クロは頷いた。
「金田さん。あずささん。一つお願いがある」
「何だ?」
「前にアラブで子守唄を歌っただろ?」
「あぁ…」
金田は怪しかったが、あずさは鮮明に覚えていた。
「はい」
「実は、毎晩クロと一緒に子守唄を歌っててね。明楽とナイトがまだお腹にいる時から聞かせてたんだ。その子守唄を毎日歌ってほしい。明楽とナイトはその子守唄が大好きでさ。すぐ寝るんだ」
「そうなんだ…」
「それに…この子達の力の制御になれればいいかなって歌ってたんだが、いいか?」
二人は頷いた。
「もちろん!」
ライトはメモを取り出し何かを書いた。
「最近の明楽とナイトが食べたものだ。正直龍だから何与えればいいかわからなかったが、ナイトが全て教してくれた。もし、わからなければナイトに聞いてみて」
メモをあずさは受け取った。
「わかった」
「よし。じゃ、帰って稽古しようか」
「うん!」
ライトとクロは玄関に来た。
「いつでも遊びに来てね。ライトさん。クロ君」
すると、忘れてたようにライトはアッと声を上げた。
「これも託すよ」
ライトは一本の刀を金田に託した。
「これは?」
「シルビアが、子供達に託してほしいって言われてな。あの子達が大きくなった時に、私がお母さんだって教えてあげたいから託してほしいって言われてね」
金田は大切そうに刀を持った。
「わかった。ちゃんと保管しておくよ」
クロは元気よく手を振った。
「じゃ、帰ろうか。クロ。帰りは頼んでいいか?」
「うん!明楽ちゃん。ナイト。また会いに来るね!」
そう言うと、クロは指を鳴らしライトと消えた。
「あの子…すごいわね」
「あぁ。ライトさんに似て強い子になりそうだな。さ、明楽ちゃんとナイトと遊ぶか」
二人は家に入った。
作者「あずささんのプリンシーン。作者がプリン好きなので入れてます」
ライト「ほう」
作者「引っ越して家から遠くなったんですが、行きつけのケーキ屋があるんです。そこのプリンが好きで、あずささんをプリン好きに設定しました」
ライト「たしかに、こういうのってケーキとか多いよな」
作者「てか、この物語自体。作者の得意不得意とか、体験談も入れてるので、読んでみてください」




