競技会
「クロさま!回転上手く行ってない!」
「はい!」
初老の兵士のレッスンを受けている間、ライトは横の馬場で兵士たちと障害練習をしていた。
「…!」
障害を飛んだ。
「タイミング少し悪かったですね。もう一回」
「はい!」
また障害を飛んだ。レッスンが終わり、洗い場で馬の手入れをした。
「叔父さん。障害飛べるんだ…」
「あぁ…クロは見た事なかったか。いつも朝イチに練習だもんな」
綺麗に洗い、馬房へ戻した。
「ライトさま。クロさま。来てください」
初老の兵士が二人を呼んだ。
「明日いよいよ競技会です。で」
二人に黒いベストと白いキュロットと白いネクタイを渡した。
「馬の競技会はこれがユニフォームです。シャツは白いのありますよね?それで十分です」
「はい」
「あと、クロさまは明日朝イチにきてください。準備が必要なので教えます」
「わかりました」
「それと、明日の競技会はこの世と同じルールです。ルールはまた明日教えます」
「わかりました」
そのまま部屋に戻った。
「結構正装な服だな」
「ですね。でも、初めてだからワクワクです」
「だな」
迎えた翌日。クロは厩舎に向かった。
「おはようございます」
「おはようございます。さて、教えますね」
初老の兵士はベテルギウスの馬房に入った。
「立て髪を三つ編みして縛ります。やり方見せますね」
立て髪を綺麗にとぎ、三つ編みをした。
「やってみてください」
クロも三つ編みをしたが、上手く行かない。
「がんばれ」
「はい」
何とか三つ編みをした。
「で、これを」
三つ編みをお団子にして縛った。クロもやってみた。
「馬場馬はこれしないと駄目なんですよね。覚えてくださいね」
「普段も練習していいですか?」
「もちろんです」
そして迎えた競技会。初老の兵士が説明した。
「ルールを説明します。簡単にいえば勝ち抜き。障害競技は、一番早く棒を落とさずにゴールできるかを競います。馬場競技は美しく馬を見せ指示に従っているかをポイント制で競います。審査員は厳しく見ますので頑張ってください。それぞれの競技で上位十組が決勝へ出ますので頑張ってください」
クロが出る馬場競技の人が集められた。
「予選は経路を覚えてその通りに馬を動かしてもらいます。決勝は音楽を流して馬を動かすフリー演技です。一応全員の音楽は事前に預かっています。日頃の練習を十分に発揮してください」
「はい!」
皆が返事をした。クロを含め馬場競技は二十人だった。障害競技もライトを含めて二十人。
「クロ。頑張ろ」
「うん」
クロは渡された経路を見て覚えた。一方ライトも障害の経路を歩いた。
「狭!?」
障害と障害の間が狭い。
「二歩でいけれるから大丈夫!あ、落馬したら棄権だから注意してくださいね」
「まじかー」
ウルフと他の兵士たちが応援に来ていた。
「ライトさんとクロ。どんな感じかな〜」
競技がスタートした。
「叔父さん。行ってくる」
ヘルメットを被った。
「クロ。ネクタイ捻れてるぞ」
ライトはクロのネクタイを縛り直した。
「楽しんで行ってこい」
ベテルギウスに跨り、ウォーミングアップをし馬場へ向かった。
「…」
礼をし、経路通りにベテルギウスを進めた。
「ほう…」
初老の兵士は見守った。難しいステップも綺麗にでき、昨日指摘された回転も決まった。
「腕上げたな…」
最後の停止も綺麗に決まった。ベテルギウスに愛撫した。
「ありがとう」
そのまま退場した。
「上手でしたよ」
初老の兵士が褒めた。
「ありがとうございます」
ライトを見ると、ウォーミングアップ中だったが親指を立てた。クロも親指を立てた。ライトの障害競技がスタートした。一つ目も障害はうまく飛んだ。
「お!」
次々と障害を飛んだ。
「叔父さんうまい」
しかし、さっきの難所で馬が急停止した。
「うわぁ!」
その拍子でライトは落馬した。
「あ〜どんまい」
皆が拍手した。
「あ…はは。落ちた…」
「叔父さん大丈夫?」
馬を引き連れて戻ってきた。
「大丈夫。この子も怪我なさそうだし」
馬を愛撫した。
「手入れしてくるよ」
馬を洗い場に繋げ手入れをした。
「最後は…先生だ」
クロは予選を見た。すると、異彩放つ人馬が現れた。
「え…先生?」
初老の兵士は黒いドレッサージュコートを身に纏い黒いハット帽を被っていた。
「行くか…」
馬を進めた。
「かっこいい…」
クロは見惚れていた。ウォーミングアップを終わらせ、馬場へ向かった。ハット帽を被り直し、競技を始めた。人馬一体となっているのか、息があったパフォーマンスを見せた。
「すごい…」
「クロの先生やばいな」
ライトも一緒になって見惚れていた。競技を終え、ハット帽を外し礼をすると、皆が拍手した。
「めっちゃかっこいい」
「これは男でも惚れるわ」
初老の兵士はクロに近づいた。
「どうでしたか?」
「先生すごい!」
「ありがとうございます」
その後結果が発表された。
「クロさま。決勝出られますね」
「本当!?」
クロは結果を見た。
「やっぱ先生すごいや」
「いや。クロさまは私の次じゃないですか。いつもレッスンしてる成果がでてるんですよ。決勝、お互い頑張りましょう」
「はい!」
迎えた決勝。
「クロ…どの曲流すのかな〜」
ライトはどこか楽しみだった。
次々と兵士たちが競技を終え、クロの出番になった。
「楽しんで行ってこい」
「うん」
クロはベテルギウスを進めた。
「頑張ろう」
ベテルギウスに愛撫し、合図を出すとアカペラが流れた。ベテルギウスはテンポ良く馬場へ入場した。
「あ〜いいね〜」
馬場に入ると、エレキギターの奏でにベテルギウスは馬場を駆けた。見ている皆が手拍子した。
楽しい!
途中から人馬共に楽しくなったのか、息があったパフォーマンスを見せる。
「いいね」
指摘された回転や、難しいステップも決めた。
丁寧に決めよう!
最後の停止も曲に合わせ綺麗に決めた。
「ありがとう」
ベテルギウスを愛撫し退場した。
「よかったよ!」
「めちゃ緊張した〜」
そのまま馬上で初老の兵士の演技を見た。合図をするとエレキギターが流れた。
「お?」
クロと同じロックだと皆が思ったが、馬場に入ると、どこかの国の弦楽器とエレキギターが奏でる音楽が流れた。馬は馬場を優雅に駆け出した。
「うわぁ…」
皆が演技に見惚れ言葉を失った。初老の兵士は真剣に挑んでいるが、どこか楽しく馬もその気持ちが伝わりハミを噛んで答えた。
行きますよ!
曲の醍醐味の部分。初老の兵士は馬を大きく動かした。その時、馬は一本躓いてしまった。
大丈夫。落ち着いて。君は優秀だ。
その言葉に馬は元気付けられ、最後まで馬場を駆けた。演技が終わると、皆が拍手した。初老の兵士はハット帽を外し礼をした。
「かっこいい…」
「だな。あんなカッコいいスポーツ。今まで見たことないぞ…」
初老の兵士は戻ってきた。
「いや〜少し間違てしましました」
「え!?どこが!?」
クロは驚いていた。
「いや〜素晴らしい演技。ありがとうございます」
ライトは初老の兵士を称えた。
「さて、結果がそろそろ出ると思いますよ」
結果が張り出された。
「やっぱ先生には敵わないな…」
「でも、クロさまとそんなに点数が変わらないから、クロさまも腕が上がってる証拠です。すぐに私を抜かすでしょう」
「いやいや」
楽しい競技会が終わった。
「クロの先生。今日はありがとうございました」
ライトは改めて初老の兵士と二人っきりになった。
「ライトさまも、付き合っていただきありがとうございます」
馬場を見ながら椅子に座った。
「あんな小さかったクロさまが、立派になられた」
「ですね。私も思います。この前なんて、身長抜かされたんですよ」
「本当!?」
「ほんとう」
夕日が二人を照らした。
「死んでも、人の成長を見られることに感謝です」
初老の兵士は昔を思い出していた。
「私ね。陸軍をやりながら馬場の選手もしててね。ある一頭の黒馬に出会たんです。彼と大会で優勝して世界大会まで連れてってくれてさ。すごく充実してたんです。まぁ、世界の壁は高かったのですが、それでも私はいい経験をしました」
ライトは静かに聞いていた。
「その後に戦争があってね。指揮をとりながら相手群を攻めるのに必死でした。あの時の楽しさも忘れてしまって、生きるのに必死でした。そんな中、愛馬が病気で死んだと訃報を聞いてしまってね」
「うん…」
「それでも私は職務に全うしていました。だが、部下を守った時にやられてしまってね…」
初老に兵士は手を見た。
「あの馬とまた会いたかったな…」
「好きだったんですね」
初老の兵士は頷いた。
「漆黒の騎士ってあだ名つけられてたんですよ。私と愛馬。笑えますよね」
「いや。かっこいいじゃないですか。それに、私はあなたの演技に惚れてしまいましたよ」
「本当ですか?」
ライトは深く頷いた。
「いや…照れるな。それに、褒められたの久しぶりです。ライトさま。ありがとうございます」
ライトは立ち上がった。
「クロの先生。また、競技会開くなら誘ってください。落馬したから悔しくてね」
初老の兵士は笑顔になった。
「はい。またやりましょう」
初老の兵士も立ち上がった。
「クロをよろしくお願いします」
ライトは初老に兵士に礼をした。
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
初老の兵士も礼をした。
作者「競技会のルールはあくまでフィクションです」
ライト「ですよね…」
作者「事細かに書いたら、作者の頭がパンクしてしまいますし、調べても難しすぎてよくわからなかったので…」
ライト「ちなみに、クロとクロの先生がフリーで使ってた曲って?」
作者「クロは、THE ALFEEさんの『THE AGES』ですね。昔からよく聞いてる曲です。初老の兵士は、マニアックだなって思われる方いると思いますが、『蓄勢〜GEAR UP〜』ですね。太鼓○達人で好きになりました」
ライト「最近になって考えてたよねw」
作者「クロはもう決まってたけど、初老の兵士の考えてなくて。で、旦那とプレステで太鼓○達人してたら懐かしいなって思って急遽書きました。ただ、実際だと短すぎてNGだと思うんですけどね」
ライト「あぁ…」
作者「フィクションなのでいっかwっと思い書きました」
ライト「相変わらずだなw」




