弐拾肆
「主語を言いなよ、優ちゃん」
「こ、昂輔!」
急に聞こえた声に驚いた声を出しながら振り向いた優志。
昂輔は文化系のくせに体力はあるし基本何でも出来る、さすがはハイスペック。
「もう追いついてきたのかよ、早ぇーよ」
「そんなことないだろう。それより早めに説明しないと時間なくなっちゃうよ?」
二人で競争でもしていたのだろうか、そんな話をしている。そして昂輔の言う説明とは何なのか。
「俺ら二人で話してたんだけどよ、俺十二周、昂輔とお前は十周だろ?んで俺も昂輔も体力には自信がある。だから早めに終わらせてお前と走らねぇかってことになった!」
「”なった”ってことは優志の中では既に決定事項なんだ?じゃあそれでいいいよ・・・・・・」
「ごめんね。優ちゃんったら言いだしたら聞かなくって」
「もう慣れた。むしろ俺のためを思っての事なんでしょ?だったら嬉しく思わなきゃでしょ!」
「おう!感謝しろ感謝しろー!というわけだから俺は先に行ってるわ!!」
言いたいことだけ言ってランニングを再開し走り去った優志の後ろ姿に苦笑いを浮かべた俺と昂輔。
「本当優志はいつでも元気だなー」
「ははは、そうだね。それが優ちゃんの取り柄でもあるし、元気のない姿はあまり想像できないよね。まぁそういうことだから、僕たちが終わるまではなんとか頑張ってよ」
「うん、決心したばかりだから、いつまでも止まってられないよ」
「紅葉・・・・・・」
何も言わなくていい。俺の言葉だけで昂輔はちゃんと意図を読み取ってくれたはずだから、俺は精一杯の笑みを浮かべた。
「ほら、昂輔もそろそろ行きなよ」
「そうだね。じゃあまた後でね」
「うん」
そう言って下っていく昂輔を見送った後、俺は上を、とりあえず一周目指してランニングを再開した。




