弐拾参
「・・・ぜぇ、はぁ・・・っはぁ、はぁ・・・・・・」
どれくらい時間が経ったかな。どれくらい登ってこれたのだろうか。
なんて時間もそんなに経ってないし、距離だってまだ4分の1くらいだろうな。
一斉スタートで始まったランニング、ピストルの音と共に全員が走り出した。
男子のペースにはついて行けないから、俺は女子に混じって走っている。昂輔も優志も一緒に行こうかと言ってくれたが、そこは断っておいた。俺のペースに合わせていたら体力作りにならないだろうし。
そんなわけで俺の何とも言えないゆっくりなペースに、周りを走っていた他の女子たちにも置いていかれた。足場の悪い山道に慣れてるはずの石階段、ゆっくりペースでも体力が奪われていく。
ーまだ半分も来ていない。
速いやつなら多分もう下りに入ってる頃だと思う。
一番初めに出会うのは誰だろうか。
「ちょ、ちょっと・・・休、憩・・・・・・」
完全に足が止まった。肩で息をして、呼吸がしづらい。
俺、ほんと体力ないな。女子より体力ないって相当だよな。
「休憩してる、場合じゃない」
「紅葉ーー!!」
「?あー優志じゃん」
声がした方向、下げていた上半身を起こしてみると何かすごい勢いで迫ってくる優志の姿を確認した。
あ、なんかやばい・・・・・・?
――ドンッ!
「おーい、大丈夫かー?」
「痛てて、避けるとかひでぇーなお前」
「だって、あのまま来られたら確実に押し倒されるじゃん。俺、男に押し倒される趣味なんてないからね」
「俺だってねぇーよ!!ってそうじゃなくて、紅葉一緒に走ろうぜ!」
「何言ってんの?俺がお前のペースについて行けるわけないじゃん、馬鹿なの?ねぇ、馬鹿なの?」
「なっ!?馬鹿に馬鹿って言われたくねぇし!」
訳の分からないことを言い始めた優志の表情はとにかく忙しい。
往復一周するのだってどれくらい時間かかるのか分からないのに一緒に走ろうとかもっと意味がわからない。




