↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の想像する世界  作者: 六駿


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/4

第3話 10階層ボス

ボス部屋の扉に手をかけた瞬間、手のひらから伝わる感触に、わずかな違和感を覚えた。


……あれ? なんか、安っぽいな?


夢の中の記憶が脳裏をよぎる。あの夢の始まり、俺はすでにオークジェネラルと対峙していた。だが、その前の記憶を無理やり手繰り寄せてみると、確かに扉を開けた感覚があった。その時の扉は、こんなただの頑丈な木と鉄の塊じゃなかった。もっと禍々しい彫刻が施された、見上げるほどに巨大で重厚な石の扉だった気がする。


「まぁ、五十階層のボス部屋なんて行ったことないしな。我ながらよくできた夢だわ」


鼻で笑い、くだらない雑念を振り払う。一歩、足を踏み入れた。


背後で、重い音を立てて扉が勝手に閉まる。同時に、部屋の中央の空間がぐにゃりと歪み、三つの赤黒い光の粒子が集束していった。


その光見つめる中、弾けて現れたのは――


「ギチチチッ! 」


一回り大柄な体躯に、まともな鉄の胸当てと粗末な片手小剣を構えたゴブリンリーダー。


そしてその左右に現れたのは、ボロい小盾と棍棒を握りしめた二匹のゴブリンだった。


ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、リーダーがこちらを睨みつけ、小剣を突き出してきた。


「ギャガアアッ! 」


リーダーの号令とともに、左右のゴブリンが同時に地を蹴った。


「まずは数を減らす!」


地を蹴り、一気に距離を詰める。狙うは左側の小盾持ちだ。


一気に踏み込み、鉄の剣を鋭く袈裟斬りに振り下ろす――だが、甲高い金属音が空気を引き裂く。


「チッ……! 」


俺の踏み込みに対し、小盾を強引に割り込ませて斜めに受け流してきたのだ。


火花が散る。体勢を崩しかけた俺の隙を見逃さず、右側からもう一匹のゴブリンが棍棒を振り下ろしてくる。


やむなく後ろに飛び退き、紙一重で棍棒の風圧をかわした。


そこへ間髪入れずに、中央のリーダーが距離を詰め、小剣を突きたててくる。


防具の薄さを活かした死に物狂いのステップで横に転がり、必殺の突きを間一髪でやり過ごす。


「ギャギャギャッ! 」


単なる雑魚ゴブリンとは連携の質が違う。盾で攻撃を受け流し、もう一匹が隙を突き、リーダーが仕留めにくる。息の合った前衛スリーマンセル。これだから複数戦は面倒極まりない。


だが、焦りはしなかった。


俺はオークをソロで倒した男だ。いくら不意打ちの幸運があったとはいえ、あのでかい化け物の肉を切り裂き、命を奪うだけの筋力と、剣術のキレは確かにこの身にある。


連携を乱す!


じりじりと後退しながら、部屋の隅にある崩れた石柱の残骸へと奴らを誘導する。


狭い障害物の脇を通る瞬間、狙い通り、三匹が一直線に並ばざるを得なくなった。先頭は盾を構えたゴブリンだ。


俺は反転し、全力でゴブリンの盾目掛けて剣を叩きつけた。


「おおおっ! 」


ただの打撃ではない。剣術スキルの補正を乗せた、渾身の全力唐竹割り。


強烈な衝撃がボロい小盾を直撃する。所詮は最下級ゴブリンの腕力だ。腕ごと体勢が大きく崩れ、盾が強引にこじ開けられた。


無防備に晒されたその喉笛へ、引いた刃をそのまま真っ直ぐ突き出す。


――グサリ、と確かな手応え。


「ギチッ……」


喉を貫かれた一匹目が、光の粒子となって霧散していく。


「ギャアアッ!? 」


前衛の突然の消絶に、直後にいた二匹目のゴブリンの動きが一瞬鈍った。


その隙を逃さず、俺は一歩踏み込む。ゴブリンが慌てて棍棒を振り回すが、体勢が整っていない。


その棍棒を我が鉄の剣の腹でパシィンと弾き飛ばし、そのままの軌道で、首筋を真横に一刀両断した。


「ギチッ……」と音を残し、二匹目も消える。


「残るは、お前だけだ」


一瞬にして孤立したゴブリンリーダーが、威嚇の咆哮を上げて小剣を振り回し突っ込んでくる。


だが、仲間を失った焦りからか、その攻撃はあまりにも粗く、そして遅い。


夢の中で見た、あのオークジェネラルの、空気を引き裂くような絶望的な速度に比べれば、止まって見えるほどだ。


フッ、と頭を下げて刃の軌道を見切り、紙一重で突きをかわす。


すれ違いざま、無防備に晒されたリーダーの首筋へ、鉄の剣を渾身の力で振り抜いた。


ドサリ、と重い音がしてリーダーの体躯が崩れ落ち、やがて光の粒子となって消えていく。


「ふぅ……」


剣を鞘に収め、荒くなった息を整える。


床には、モンスターが消滅した後に残された黒い結晶――魔石が三つ転がっていた。そのうちの一つは、リーダーのものだろう、少しだけサイズが大きい。


「しけてるな。リーダーの癖に小振りの魔石だけかよ。ゴブリンの世界も給料安いのか? 何か落としてけっての。まあたまにゴブリンの肉が落ちるらしいけど食えたものじゃないらしいから、それは要らないけど……」


そんな愚痴を零しつつ、落ちている魔石へと歩み寄る。


左手から一枚のカードを浮き上がらせると、床の魔石へ順番に先端を触れさせていく。


カチッ、カチッ、と小さな音が響くたび、魔石はカードに吸い込まれるようにして、光の帯となって消えていった。カードの表面には、数字が味気なく加算されていく。


よし、まずは十階層クリアだ。俺は次の階層へと続く階段へ向かって、歩みを進めた。

もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけたら、ページ下部の☆を押して評価をお願い致します!


作者の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。