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隣の席の転校生2 雨音響く図書室

放課後。

窓の外を見る。

空は少し曇っていた。

夏休み前なら気にも留めなかった色。

でも今日は違う。

灰色が少し重く見えた。


図書室の扉を開ける。

静かな空気。

紙の匂い。

本棚。

落ち着く場所。

カウンターの向こうで本を整理していた佐内さんが顔を上げた。

「珍しい。」

俺と蓮を見て言う。

「二人揃って図書室なんて。」

「いや。」

蓮が咳払いする。

「今日は本じゃなくて。」

「相談。」

佐内さんの手が止まった。

少しだけ表情が変わる。

「相談?」

「座って話していい?」

佐内さんは小さく頷いた。

放課後の図書室。

利用者は数人。

奥の机に移動する。

俺は深呼吸した。

今日だけで二回目。

「立花さんのことなんだけど。」

佐内さんは黙って聞いている。

俺は話した。

研究所。

AI。

夏休みに知ったこと。

そして今日。

突然の欠席。

全部。


話し終わる。

静寂。

時計の針の音だけが聞こえた。

蓮が不安そうに言う。

「信じられないよな。」

その時だった。

「そう。」

佐内さんが言った。

俺と蓮が同時に顔を上げる。

「え?」

「確信はなかったけど。」

佐内さんは少し考える。

言葉を選ぶみたいに。

「そうかなって思ってた。」

蓮が固まる。

「マジ?」

「うん。」

「なんで?」

佐内さんは窓の外を見る。

曇り空。

それから静かに言った。

「上手く言えない。」

「言葉じゃなくて。」

「何となく。」

「そんな感じ。」

蓮が頭を抱えた。

「全然分かんねぇ。」

「私も。」

佐内さんは少し笑った。

本当に少しだけ。

「でも。」

佐内さんの表情が戻る。

真面目な顔。

「立花さんが休んでる理由は気になる。」

「何かあったなら。」

「力になりたい。」

その言葉に。

俺は頷いた。

同じだった。

俺も。

蓮も。

佐内さんも。

理由は違うかもしれない。

でも。

立花晴を放っておけない。

それだけは同じだった。

蓮が机を叩く。

「よし!」

図書室なのに少し大きな声だった。

佐内さんが睨む。

蓮が慌てて謝る。

「まずは立花さんの家だ。」

「住所。」

「調べる。」

「見つかったら?」

佐内さんが聞く。

蓮は当然のように答えた。

「会いに行く。」

「親御さんに。」

「それで?」

「休んでる理由を聞く。」

「俺たちにできることがあるなら。」

俺が続ける。

「力になりたい。」


外を見る。

いつの間にか雨が降り始めていた。

窓ガラスに雨粒が落ちる。

一つ。

また一つ。

夏の終わりを滲ませるみたいに。

心のキャンバスに描いた夏色へ。

薄紫。

いや。

もう少し重い色の絵の具が。

静かに塗り重ねられていく気がした。

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