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数学弱者の最終定理 ~異能力バトルに数学って厄介すぎるんだが~  作者: 二毛作
第三章

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28良いアシストを有効活用

 放課後になぜか部活に行くやつ、帰宅する奴ら全員が、がんばれと声をかけられてハイタッチして教室を出ていく、いやサッカーのロッカールームじゃないんだから、なんなんだその一体感、このクラス僕と明華の時の一体感というか団結力すごいぞ、これ本当に僕が作り上げた一体感なのだろうか?これは文化祭とか体育祭が楽しみになってきたまであるぞ。


 一路と晴斗に至っては何かあったら報告するようにと、連絡アプリでのグループまで作る徹底ぶり、もうクラスの流れが僕に傾いている、流れが来ているといっても過言ではない、当の明華本人にはまるっきりそれらしい行動とかは見られないが、どことなく面倒くさそうではある。まるで残業が確定したサラリーマンのような感じだ。


 放課後のクラスに残された僕と明華どちらとともなく席を立つが二人とも足取りが重い。それもそのはずお互いにこんな事になるなんて思いもしていなかった分、急に予定をぶち込まれた感覚、急遽システムエラーが発覚したプログラマーの感情ってこういう感情なのだろうか、おそらく僕よりも明華のほうが精神的疲労はあるだろう。文句の一つでも言いたくなるような顔でカバンを方にかけて僕を待っていた。


「あの、発端としては僕なので、本当に申し訳ありません」


「いや、私の悪いところが出た、思ったことを口をついてしまったのは完全に私の落ち度だ」


 珍しく明華の謝罪に似た言葉が聞こえた。明華自身もあの連絡手段の開示というのは下手を打ったと認識しているのだろう。もっとも知り合ってからの明華の言動を見るにああいった近距離での詰め寄られ方には頭でいろいろ考えるよりもすぐに思ったことが口をついて出てしまうのかもしれない。


「マリアさんの時と言い、少し対人関係の練習とかした方がいいかもね」


「ああ、今後は気を付ける、できるかわからないけどな」


 少し投げやりな言い方ではあったが、少しばかり明華なりに対人関係の練習、構築のために奮闘しているような姿勢が見て取れた。これはあの女子たちのおかげなのか、それとも失敗からの反省なのだろうか、初めてであった時よりも対人に対してのkべというものが少しながら崩れていっている気がする。


「またマリアさんのところの喫茶店でいいの?」


「マリアの喫茶店は暗黙の了解があって、そこでに無暗に武力衝突をする場合、今後情報屋からの扱い、関係性が悪化するのは確実、そこで話す分にはもってこいの場所だ、下手にこの学校に居座るよりもまだ安全性があるし、会話自体の安全性も段違いだ」


 なるほど、あそこが情報屋としても機能している分、あそこで武力衝突をしてしまえば、ストレージの売買だけでなく、情報屋とのコンタクト、信頼関係の構築が難しくなるのは明白だ、そうなるよな、そういった能力者同士の作戦会議については絶好の場所といえる。下手にファミレスなんかで話すと、どっかでその内容が効かれるとそばにブルバキのメンバーや教団のメンバーが聞き耳を立てていないとも限らない。


「それじゃあ向かいますか」


「そうだな」


 そういってお互い教室を出る。そのまま玄関のところまで誰とも会うことなく、たどり着く、その間にお互いに会話は無く、淡々と目的地に向かう準備をして校門を出た。こんなの今まで初めてじゃないだろうか?グラウンドの方からは部活動の掛け声が聞こえてくる。


 前まではこんな放課後デートのようなことになるなんて想像すらできなかった。それがどうだ、たった一つの僕の行動と、クラスの協力、そしてあとちょっとの明華の失言、それが重なってまさに予想外の展開が続いている。もはやこれがフラグなのかどうかすら判断ができない。


 どういった理由で、何が原因で今回の事になったのかはわからないが、ここはこの機会を存分に利用して、活用して、何とかして一歩でもいいから進めていきたい。それはラブコメだけでなく、僕自身が明華に宣言した言葉の実行と実現のためでもある。


「急になんで私に話しかけてきたんだよ」


 沈黙を嫌ったのか、道を歩きながら、前を向いたまま明華がそんなことを聞いてきた。


「まぁ、原因は一路と晴斗のせいってのもあるけど、まぁそろそろラブコメのフラグを立てないとまずいかなって」


「お前まだそんなこと言ってんのかよ」


 あきれた声で言う明華だが、こちらは本気なんだ。そうじゃないと灰色の青春を送ることになる。そんなの嫌だ。僕にも青い春が来てほしい。もう夏が迫っているけど。


 夏が終われば秋の文化祭だの、体育祭だので忙しくなるのは明白だ。しかも今年は2年生なんだから、修学旅行とかも控えている。


 その全てを満喫するに必要なものは何か? そう、彼女という存在だ。都市伝説だと思っていたが、一路がすでに獲得している。つまり、サンタクロースよりも現実味があるのだ。


 あれ? 僕は別にサンタクロース信じているわけではないんだけどな。


「ん? そうなると私に狙い定めてるじゃねぇか」


「そうですが?」


「なんで私の方がおかしいみたいな言い方できるの?」


 狙っているというかクラスの流れ的にそうなったというか、定期的にコンテンツを提供しないとユーザーが離れていくというか、とにかく今回の会話はそんな感じで始めたのだが、こんなことになったのは僕も想定外なので驚いているのが本音だ。


 まぁ、明華みたいな人とお付き合いできるならこれ以上ない僥倖なわけだけど、僕ごときがお付き合いできるわけはないので、こんな妄想は無駄なことだった。


 しかしクラスの人たちの反応を見るに明華以外を選ぶという選択肢は存在しないわけで……。


「というか、クラスの雰囲気的にもう別の人に行こうものなら、めちゃくちゃ怒られる気がしてならない」


「恐れずに行ってくれ、あの日以来私のところに誰かしらが来る」


 猫背になってうんざりとしたように息を吐きだす。そんなに人との付き合いが苦手なのかな?別にこうして話したり、マリアさんとかと話してるのを見ている限り、特段苦手だというイメージはないのだが、一体何が嫌なのだろうか?


「いいじゃん、明華もそこで友達になればいいんだよ、連絡先交換したりしてさ」


「……面倒くさい」


 当人がいないからと言ってそんな表情をしていたらダメだろ。罰ゲームを食らって「ちょっとトイレ舐めて来いよ」とか言われたような表情はさすがにダメだろ。


 断言できるが今のクラスのやつらは絶対にそんなこと言わない。むしろ明華の味方になってくれるはず、知らんけど。というよりも僕の味方であるのは先ほどの会話で十分すぎるほど分かった。


「多分だけど、あの人たちならそういう事ぶっちゃけても大丈夫なように見えたけど」


 僕がイメージしているのはあのボブカットの女子生徒、プラスで明華の席の周りにいた人たちだ。いつか名前を憶えておかないとな、もしかしたら明華とのフラグ建築に一役買ってくれるかもしれない。というか、そろそろクラスの人の名前を覚えないとやばいな、エンコン退治とかばかりして一路と晴斗とばかり話していたら今後が大変だ。


「……私はいい、そういうのは」


 その時僕は見逃さなかった。またあの目。キチンと話をしている人の目を見ようという小学校の先生の教えがここにきて効いてきた。ありがとう小学校の先生。もうそろそろ教頭とかになってるかな?


「あぁ、なんかあるんだ、悪いけど僕の前でその目はさせないよ」


 努めて軽くおちゃらけた雰囲気で言った。もうその目が僕が明華に引き付けられた原因の一つであったのは間違いないし、その目をさせる原因を取り除いてあげたいと思ったからしつこく明華に付きまとっていたところもあるし、それに対して啖呵を切ったこともある。


「今は言えなくても、それを吐き出せるくらいの関係にはなりたいとは思うね、別にそれは恋人とかじゃなくてもいいわけだし、前にも言ったけど、僕のあこがれてる主人公は、自分の周りの女の子に悲しい思いはさせない。寄り添って一緒に問題を解決していく。そういった女の子のためのちっぽけなヒーローだからさ」


 その僕の独白に似たことを明華は歩きながらこちらを見ることなく聞いていた。ちらっと明華を見ると、複雑そうな顔をしていたが、さっきのような悲壮感のある目はしていなかった。まだその理由を話してくれるような関係値ではないけど、こういう人もいるんだよって伝えるだけでも少しはいい方向に進んでくれると思ってる。


「それの第一歩ってことで明日、僕が明華の連絡先をあの……えっとボブカットのえぇと……」


「はぁ、新山か?余計なことを……」


「そうはいっても止めないんだ」


 そこで明華は何も言い返してこなかったけど代わりに肘打ちを食らった。そこまで強くない軽いツッコミのような肘打ちだった。表情もさっきよりも軽い葛藤したうえでの了承といったところだろうか。


「ほんっとイライラする」


「このままだと明華ただのボッチだからね、そりゃ心配もしますよ、というかマリアさんとユリスさんが心配するよ」


「あぁ……うぅ~……何とかごまかす」


 明華の弱点はあの二人だな?あの二人を出せば多分僕の方が優位に立てるぞ、この反応もマジでただの子供が親に悪い事してバレないようにしているような感じがする。


「さすが明華の両親、明華が悪ガキのようなこと言ってる」


「だからちげぇって、似たようなもんだって言っただけだろ」


「あの時はもはや犬だったよ、どういう関係なんだって思ったね」


 そういうと明華は少し考えるように小さくうなった。明華自身も言葉にするのが難しいのか、それともまだ僕に教えてくれるような内容ではないのかはわからなかった。


 そうこうしているうちにマリアさんの喫茶店に着いた。そのお店の窓から見える人物に僕隊は心当たりがあった。


「モカだ……」


「あ、本当だ」


 窓から見える、カウンターの席にはマリアさんと話すモカさんの姿が見えた。

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