奮戦
「グッ」
弓塚は先ほどのヘカトンケイルに使った切り札を使っていた。身体に極端に多い魔力を流す事によって、通常よりも高い身体能力を得る事ができる。その作用は神経にも作用し、瞬間的に爆発的な力を得る事ができる。
しかし身体に本来無理な動きをさせるため、その負担は凄まじいものになっていた。こうして動いている間にも骨は軋み、筋肉は断裂していく。しかし弓塚はこの動きを止めるわけにはいかない。
既に限界を超えている弓塚は、2人の怪人相手に徐々に押され始めていた。
(一撃で決めるしかない!!)
弓塚の魔力はもう身体にはほとんど残っていない。もう残っているのは自分の生命エネルギーくらいしかなかった。
「アァァァーッ」
弓塚の身体から膨大な魔力が振り絞られる。身体の所々から血が噴き出される。視界は赤く染まり全身に激痛が走る。しかし弓塚は己の生命エネルギーを使うのをやめなかった。
「こ、この女!!」
「ガッ」
怪人の1人に全力で拳を叩き込む。自分の拳が砕ける音が聞こえた。
「ガァァッ」
痛みを堪え、そのまま倒れた怪人の頭を思い切り踏み抜く。もう砕けたのが怪人の頭なのか自分の足なのか判別がつかない。
「貴様ぁ!!」
残された怪人が刃と化した腕を、弓塚の腹に叩き込む。
「ガフッ」
弓塚は大きく血を吐き出す。怪人は勝ちを確信し、2度3度突き刺そうと腕を引き抜こうとするが、弓塚の腹に刺さった刃は抜けなかった。
バギィ
そのまま腕を極めた弓塚は刃ごと腕をへし折る。
「ギヤァァッグッ」
そのまま腕を怪人の首に回した弓塚は、一息に首の骨を折り息の根を止めた。
怪人たちは倒れたまま痙攣するだけで起き上る様子はない。しかし弓塚の状態もそれと大差なかった。
腹部からは血液が流れ出し、全身の骨や筋肉は酷く損傷していた。生命エネルギーを無理に身体に流した代償は大きく、かろうじて生きている状態だった。
ザッ
(……六花ちゃんは無事に逃げられたかな…………借りは返しましたよ……千花さん)
そのままその場に弓塚は倒れこむ。近くに敵の怪人たちが近づいていたが、最後まで弓塚は気がつかなかった。




