筋違い
ある日六花は、英雄機関の廊下を歩いている時に、いきなり声をかけられた。
「あんたが神前桜花の妹?」
(何ですのいきなり?)
六花はそう思ったが、とりあえず顔には出さないで答える事にした。
「そうですけど……なにか御用ですか?」
「まったく勘弁して欲しいのよねー!あんたの姉!」
六花の目の前の女は、こちらの都合を考えずまくし立ててくる。
話を要約するとこういう事だった。神前桜花の暴走でクロノスを倒したせいで、今まではある程度秩序のあったティターンズの怪人が暴走し、サイタマは無法地帯になってしまったというわけらしい。
「あんたの姉のせいで、みんな迷惑してるわけ。わかる?倒せばいいってわけじゃないの。全く、少しばかり強いからって調子に乗ってんじゃないの?」
(ふう。この手の輩はどこにでもいますのね)
六花はそう思い小さくため息をひとつついた。
「それで?何ですの?」
「はい?」
目の前の女はキョトンとした顔でこちらを見る。
「たしかにスタンドプレーは良くないですわね。わたくしもそう思いますわ」
女は何かを言いたそうな顔をしていたが、六花は構わず話を続ける。
「ただそれをわたくしに言うのは筋違いですし、たかだかBランクの小学生のヒーロー1人。誰か止められなかったんですの?」
「え!?でもあんなの止められな……」
「それこそ同僚であり、大人のヒーローである、先輩方の役割だと思いますわ」
目の前の女は絶句していた。まさか8歳の女の子にやり込められるとは思わなかったのだろう。しかしあまりやり過ぎても、後々禍根が残るのでは困る。そう思った六花は逃げ道を用意する。
「きっと姉の暴走を知った時にはもう特攻していたのですわよね。既に止められる状態でなかった事をお察ししますわ」
「そ、そうなのよ」
「これから街の平和を取り戻していきましょう。申し遅れました。わたくし神前桜花の妹、神前六花と申します。色々ご迷惑をお掛けすると思いますが、よろしくお願いしますわ」
六花の。およそ8歳とは思えない物言いに、びっくりしたのか「こちらこそよろしく」とだけ言い、足早に行ってしまった。
組織内だけでも色々ありそうですわね。まったくいい加減にして欲しいですわ。1人そう思い六花もまた歩き出した。




