桜花vs悪の総帥
特別指定都市サイタマ。
その都市にはヒーロー達の組織である英雄機関と、多数の悪の組織が存在していた。日々争いは絶えず、毎日都市のどこかで戦闘が行われていた。
その郊外で2人の人間が戦っていた。
1人は悪の組織ティターンズの総帥、クロノス。もう1人は若干10歳のBクラスヒーロー。神前桜花だった。
「アァァァーッ」
「っ」
桜花が狂った様に攻撃を仕掛け続ける。しかしその拳や蹴りは、Sランクの怪人であるクロノスに、難なく捌かれてしまっていた。桜花は強力なヒーローであったが、クロノスに比べ全ての要素で劣っていた。
しかしこの様な少女に自身が育て上げた組織を、ここまで潰される事になるとは、クロノスも考えていなかった。
(その報いは受けてもらう)
桜花の攻撃のスピードは尋常ではなかったが、クロノスにとって捌ききれない速度ではない。桜花の隙をついて腹部に渾身の拳を叩き込む。
ズザァー
桜花はそのまま地面を転がり、そして動かなくなった。
「……」
なんとか桜花を倒しきったクロノスは、内心安堵していた。今回の攻撃は手応えを感じていた。たしかに致命傷を与えているはずだ。
「ヴアァァァーッ」
そう思った直後、致命傷であったはずの桜花が叫び声と共に立ち上がる。
そしてその膨れ上がる膨大な魔力量にクロノスは戦慄した。内包する魔力はクロノスを遥かに超えていたからだ。
「こう……カエ…」
少女は先ほどまでと同じ様に、何かをうわ言の様に繰り返している。
「コウタロウヲ……」
クロノスには紅太郎という名前に、一つだけ心当たりがあった。たしか先日、ティターンズの下部組織にいる怪人「ボマー」に殺された子供のヒーローだ。
元々素質はあったのだろう。その少年の死が目の前の少女を覚醒させてしまった事に、クロノスは今更ながらに気づいていた。
「ガエセーーッ」
叫び声と共に桜花は再度クロノスに向かい、獣の様な動きで突進を始める。覚醒した神前桜花を前に、クロノスは己の死を強く嗅ぎ取っていた。




