桜花VS怪人
人質を雪乃に任せた紅太郎は、桜花達の所に向かっていた。
もしかしたらとっくに終わっているかもな。
そう思いながら現場に急いだ紅太郎だったが、到着すると桜花は怪人と戦っている最中だった。
傍らには怪人が2人倒れていて、気絶しているのかピクリとも身体を動かさない。
他に視認できる敵は無く、今戦っているのが最後の1人のようだ。
「うぉぉーー!!」
昆虫を思わせる黒光りした巨体の男が、丸太の様な腕を桜花に対し全力で振るう。
その豪腕は桜花に当たる直前、いつの間にか添えられた掌にやさしく止められていた。
「ぐっ馬鹿なっ!!俺の拳がこんなガキにっ!?」
思わず驚愕する怪人。大して力を入れているように見えないその細腕に、太い腕がギリギリとねじり上げられていく。
「ぐっ!! 痛てぇっあぁーー」
「くはははっ!!己の無力がわかったか、この雑魚がっ!!」
相変わらず邪悪な笑みを浮かべ、怪人の腕を極めねじりあげる。この姿こそ、普段紅太郎が慣れ親しんでいた桜花の姿だった。
「折れっ折れるっ!! まさかお前史上最凶のヒーロっ」
怪人はあまりの痛みに地面をのたうちまわり、最後まで話す事が出来なかった。
「フンっ!!それがどうした」
「ギャアアァっ」
メキメキィという嫌な音と共に、怪人が絶叫した。
桜花の足元に3人の怪人が横たわっていた。
本人は変わらず犯罪者のような笑みを浮かべているが、息一つ切らしていない。
紅太郎があまりの形相に声をかけるのを躊躇していると、何かの気配を感じたのか、グルンッと首を180°C回し、その視界に紅太郎を捉えた。
紅太郎はその迫力に思わず目を背けた。
「あっ紅太郎!!こっちはいま終わったとこだよ。紅太郎は?怪我とかしてない?」
「あ……いや俺は大丈夫だ……」
あまりの桜花の変わりように、紅太郎は驚愕を隠せなかった。いや事実変装といえるレベルで顔が変わっている。
「こっちは六花も手伝ってくれたからね。あっ六花は今、応援部隊を誘導してくれてる。紅太郎はホントに大丈夫?」
桜花はポンポンと紅太郎の肩や背中を叩き、紅太郎の無事を確かめた
「こいつらダイナストの組織のやつらか?」
「うーん多分そうかな? そこの仮面の人が多分メタルマスクなんだろうけど、話す前に倒しちゃったからわからないんだよね」
おそらく一撃で倒されたのだろう。つけている仮面は右半分が粉砕されていて、その表情は恐怖のあまり引きつっていた。
「あっ! でも気になる事が1つあったんだ。こいつらなんでこんな場所を襲ったのかと思って」
ーーたしかにと紅太郎は思った。
この場所は特に研究所や重要機関があるわけではない。はっきり言えば制圧しても意味がないのだ。
しかし中には桜花と戦いたいがためにテーマパークを襲う、紅太郎達のような怪人もいる。
そのため一概には言えないがーーあるいは……
「誰かっ!! 助けて!!」
誰かの叫び声に、紅太郎の思考は中断された。




