休日
約束の日の日曜日。
紅太郎は桜花たちとの待ち合わせのため、駅前で待っていた。
……どうも落ち着かないな。
紅太郎はフラフラとあたりを見回しながら、昨日雪乃に言われたことを思い出していた。
「いいですか。神前桜花は待ち合わせの10分前には必ずいます。
『まった?』『いや、今来たところ』『キャハハ』『ウフフ』をやりたければ30分前には待ち合わせ場所にいてください」
「えっ。べつに俺時間ぴったりでいいよ。大体その『ウフフ』って何? お前の言ってることよくわからないんだけど……」
「い・い・か・ら・早く行ってください」
迫る雪乃から、有無を言わさないほどの圧力を感じ、紅太郎は反論することをあきらめた。最近の雪乃は妙に迫力があるような気がする。
「わ、わかった。30分前にはいるようにするよ」
「わかれば良いです。あとは服装です。私服のダサい男はもてませんから、私が用意した服を着て行ってください」
「いや、そこまでする必要はないだ……いえわかりました。指示に従います」
「わかりましたね」
「あ、ああよろしく頼む」
ーー
時刻は午後1時半。
約束の時刻の三十分前だ。
『桜花は待ち合わせの三十分前にいる』という、雪乃の言葉を思い返して、紅太郎はあたりを見回した。
すると雪乃の情報通り、駅の改札をでたばかりの桜花を見つけることができた。
桜花も紅太郎の姿に気付いたようで、手を振り、小走りで紅太郎のそばにやってくる。
「ごめん、待った?」
「い、いや今来たところだ。」
正に予定通りの会話であったが、紅太郎の頭は困惑していた。
桜花の服装は当然英雄機関の制服ではなく、涼しげな白いワンピースを着ていた。全体的に白を基調とした涼しげな服装が、桜花の長い黒髪を映えさせていた。桜花の私服姿などナインライブズ時代にめ何度も見ていたが、あらためて見ると……
「何か変だろうか?」
紅太郎が注視しすぎたため、桜花は困惑顔で自らの姿を見回していた。
「い、いやなんでもない……その……私服も似合ってるな」
紅太郎はあさっての方向を見ながら、つぶやいた。
「そ、そう?ありがとう」
面と向かって言われたのが恥ずかしかったのか、桜花は顔を少し赤くして答えた。
(なにこれ。超恥ずかしいんだけど。早くだれか来いよ)
紅太郎と桜花は互いに言葉をかけることなく、互いに赤面していた。
沈黙すること三分。ついに状況に耐えきれなくなった紅太郎が口を開いた。
「あ、あのさ……今日はどこに行くん……」
「おまたせしましたっ!!」
六花がものすごい勢いで、紅太郎と桜花の間に無理やり割り込む。
話しかけようとしていた紅太郎は反射的に口を閉ざした。
「早かったね、桜花」
「お姉さまをお待たせするなんて、私とした事が大変失礼いたしました。ところで……なんでお二人とも顔を赤くしているんですの?」
「い、いやなんでもない。な?」
「そ、そうだ私たちは普通だぞ。変な六花だな」
六花は「ふーん」と言いながら、紅太郎と桜花を訝しげに交互に見ていた。
「そ、それはそうと、六花はなんでその服を着てるんだい?」
六花の服装は動きやすい普通の洋服に見えるが、耐熱、耐衝撃、防弾、防刃機能を備えている防御服を着用していた。知らない人が見ても気づくようなものではないが、英雄機関特製の防護服であり、普段着用するものではない。
「これには訳がありますの。お姉さまたちは気にしないでくださいまし。目的地に行く間に説明致しますわ」




