告白
昼休み。紅太郎は桜花に告白すべく屋上にいた。
紅太郎は落ち着かないそぶりで、あたりをきょろきょろと見回しながら、桜花がやってくるのを待っていた。
「べ、別に告白何てどうってことないんだからな。振られたって別に俺はあいつのことを好きなわけじゃないんだし、別に気にする必要はないんだ。大体俺はこんな任務なんかは……」
自己弁護めいたことを紅太郎はブツブツと繰り返していたが、ガチャっと屋上のドアが開く音がしたとたん、ドアのほうを振り向いた。
そこには約束の時間どおり現れた、桜花が立っていた。
「紅太郎。どうしたの?こんなところに呼び出して?」
「いや、あのそのだな」
「?」
「じ、実はお前に言いたいことがあってな」
言った紅太郎の顔は、緊張のあまり引きつっていた。
「お、おれとつ、つきあってくれ」
「別にいいけど」
「えっ」
ドスっ
桜花の貫手が紅太郎のわき腹に突き刺さっていた。
「かはっ」
予想外の攻撃に、肺の中の空気が吐き出される。
「おまっ!何をっ!?」
古典的な事を、と続けようとするが声が出ない。
そのまま二撃、三撃と鋭い抜き手、(本人はつついてるつもりだろうが)を繰り出してくる。
「いや違うから。頼むから空気よめよ。俺と付き合えっていったの!」
桜花の手を振り払いながら、紅太郎はやけくそ気味に再度告白する。
それに対して桜花はきょとんとした顔をしながら、あっさりと返事を告げた。
「いいよ」
「えっ」
紅太郎は目を見開いていた。こ、これでミッション完了?
俺と桜花は恋人になったわけ?
ありえないだろ!?
「それでどこに出かける? やっぱり最初だし、この街の案内は必要だよね。紅太郎は昔の記憶はないんだし」
ーーいやいやいやいやいや
そうだった。こいつは色恋沙汰にはとことん疎いんだっけか。紅太郎は桜花のプロフィールを思い出していた。
「いやそういう意味じゃなくてだな」
「ん?どっか行きたいところでもあるの?」
「……」
ダメだ。このまま無理に告白しても、『私も紅太郎の事を好きだよ』とか言われて恋愛に発展しないパターンだ。
ならば、いま取れる最善の選択肢はっ!!
「いや、桜花の言う通りでこの街を案内して欲しかったんだ」
デートの約束をとることだ!!
「やっぱりね。明日は私も紅太郎も非番だから明日にしようか?」
「ああ、そうだな。時間と場所は後で連絡するよ」
「うん楽しみにしているよ」
どうやらこの後予定があるらしく、颯爽と屋上から去っていった。
これで良かったんだ。いまはこの選択肢が最善だったんだ。
自身を納得させるために1人残った紅太郎は、呟いていた。また同時にまた雪乃から「チキン野郎」と罵られることも覚悟していた。




