本日のお姉様は、とても美しいです。
「ミアン!この髪型で変じゃないかしら?」
「とてもお似合いですよ」
ドレスに合う髪型を考えているうちに、時間はあっという間に過ぎていった。
いつにも増して嬉しそうなフローラの姿に、ミアンは思わず微笑みを浮かべる。
「――そちらも、お付けになられるのですか?」
その言葉に、フローラは胸元のペンダントへ視線を落とした。
小さな石のついた、華奢な装飾品。
《約束!》
幼い頃に出会った誰かから贈られたものだった。
相手の顔も、どんな約束を交わしたのかも思い出せない。けれど、不思議とこれは大切にしなければいけない気がして、ずっと手元に置いていたのだ。
「ええ。今日は、なぜか付けていかないといけない気がして」
虫の知らせ――というものなのだろうか。
普段は大切にしまっているそれを、今日はどうしても身につけていたかった。
「フローラ様。あまり遅れてはいけませんよ」
「ロゼリア様がお待ちですよ」
慌てて向かうと、そこにはすでに準備を終えたロゼリアの姿があった。いつもは下ろしている髪も、今日は珍しく頭の上でひとつに結ばれている。気品に溢れるその姿に、フローラは思わず目を奪われた。
(お姉様、美しい……)
「準備が終わったのなら、行くわよ」
先を歩くロゼリアの後を追うように、フローラも馬車へ乗り込む。
――ロゼリアと一緒のお出かけに、フローラの胸は高鳴っていた。
この前、人生で初めて画面越しじゃない推しを至近距離で見ました。
認知されたくない人間のせいで、見たい欲と目が合いたくない欲で戦ってました。




