本日のお姉様は、少しだけ軽くなりました。
「で、連れはどんな人?」
ロゼリアたちとはぐれた場所までやってくると、リオがフローラに尋ねた。
「えっと……使用人の者と、お姉様です。お姉様は淡い紫色の髪で……あ、でも光に当たると銀色に近い色で。本日は高い位置でひとつに結ばれていて、お洋服もいつもと違う、少しタイトなドレスで……それから」
次々と出てくる特徴を聞きながら、リオはフローラの顔を眺めていた。どうやら、彼女の頭の中にはお姉様の姿がはっきりと浮かんでいるらしい。
まるで、大切な人について語る恋する少女でも見ているかのようだった。
「ふーん。好きなんだな」
「はい。……え!?」
リオの言葉に、フローラは驚きのあまり声を上げてしまった。慌てて自分の口元を手で押さえる。
「ど、どうしてそのようなことを……」
「いや、今の聞いてたら誰だってそう思うって」
フローラの反応が面白かったのか、リオはくすくすと笑っている。その様子に、フローラの顔はだんだんと赤くなっていく。
「……でも、お姉様を前にすると、上手く話せないんです」
「なんで? 姉妹なんだろ」
「私、お姉様に嫌われているんです。最近は話しかけてくださるようになってくださっていましたけど……今は、きっとご迷惑だと思われています……」
フローラの言葉に、リオは少しだけ考えるように黙り込んだ。
それから、ぽつりと口を開く。
「俺は、親も兄弟も居なくて、小さい頃からじぃちゃんしかいないけど。まぁ、たまに?なんだじじぃって思うけどさ、やっぱり大切な家族には変わらないんだよな」
「お姉さんがあんたをどう思ってたとしても、あんたがお姉さんを大切に思ってるなら、それでいいんじゃん」
「……リオさん」
照れくさそうにリオは頭を掻くと、一瞬だけ視線を逸らした。そして、何かを思い出したかのように口を開く。
「あ、そういえば……」
「フローラ様!!」
リオの言葉を遮るように、聞き覚えのある声が響いた。フローラは反射的に声のしたほうへ顔を向ける。
視線の先には、息を切らしたミアンが立っていた。




