事実
白い柱が緑の大草原を貫き聳える。その数、数えしれず。雲は地を張っている。ここはいつか失われる楽園だった。
「私たちはいつもカシウスに止められてきた。そいつが私たちの居場所を奪うのだ。」
「カシウスって一体なんですか。」
「世界樹だ。大きな生きる大樹。現世にそれが生やされる、あの女によって。」
「その女ってどんなやつなんですか?レイ?さんみたいに翼を生やしていたりするのですか?」
「あの女は翼人族じゃない。あいつは鬼の一族だ。」
「あぁ、先代が恐ろしく強かったと聞いたことがある。なんせ、世界そのものを打ち砕き、世界のシナリオを自分の想いだけで破綻させたほどに。」
「ただの人間だったのにな。」
「いや、あいつはあの女の先祖、鬼の一族だ。ただその先代は自害を持って果たしたからそいつの血を継ぐものはいないがな。」
「でも鬼は遥か昔から人間ではなかったはずだが。なぜ人間の中の鬼一族と、人間でない鬼が存在するのだ。」
「強すぎる定義は時に時を超越するからだ、レイ。」
「ちょっと…全く意味がわからないのですが。」
俺は二柱の話の間に食い込んだ。レイという翼の女性もモノもこちらを振り向いた。
「詰まる所、ただの人間ではないが、人間の血を継ぐものでもあるということだ。その例の女というのは。」
「混血ということですか。」
「そういうことだよ。そしてそいつがカシウスに繋がる。」
「大樹の名前がカシウス。それを生み出した。」
「どうやって?」
「悪鬼としての能力の限界を超えて修羅にその命を渡した。それも幼い頃に。」
「あなたたちはものすごく強いんでしょう?ただの人間じゃないの?」
「その先代は、三つの世界のうちの一つを滑るすべての並行世界を含む最大の世界である現世世界そのものを破綻させた。人間だから、というのは因果がない。」
「俺がどうやってそれを打ち倒せるんですか?」
「妾たちが権能を授ける。ただの呪術師だったお前に。」
彼女はそう言った。




