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想起
俺は暗転して広野の大地に横たわった。
視界の先には広がる空が見える。今でも目を瞑ればあの記憶が見える。切なく儚い、運のない男の記憶が。死んでもなお死にきれないのだろう。だから屍人になってもその記憶をもっているのだろう。それを俺に伝えたのだろう。
「五郎はこんなことを笑いながらしていたのか。」
遠い地に捨ててきた旧友を思い出す。屍人拾いを初めて知ったあの日、五郎は笑顔で俺に迫ってきた。屍人拾いを誘ってきた。その事実に今でも震えが止まらない。
もう今ではただの人間だ。
俺は神ではない。もうただの人間だ。だから全身が痛む。鉄の臭いが充満するこの鼻は、今やその粘膜を枯らしている。息を吸うたびに鼻が壊れそうに痛む。それはそれはひどい痛み。人外でなければ耐えられない痛み。けれど俺は人間だ。今にも気を失いかけそうだ。
再び空を見上げる。黄色い雲が西から東へ動いている。ただそれだけ。生命の息吹は感じられない。この広い広野で呼吸をしているのは俺だけ。俺以外何もいない。
しだいに飽きてきた。この現状に。何も始まらないのだ。悪い夢を見たからか。俺の頬には今も涙が伝っている。今は最悪の気分だ。
それゆえ、こんな思いが立ち上ってきた。
「あぁ、やり直したい。」
それは悪くない言葉だと、我ながら思った。




