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夜更け


「ねえ、ハイネ」

「んっ、なあに?」


 私は持ってきた食事をありがたそうに食べるハイネに話しかけます。因みにハイネが使っているのは粗末な机と椅子。なんという不憫さでしょうか、今に始まったことではないのですが。まあ、ハイネ曰く「使えたら何でも一緒!」らしいですが。


 健気ですね……。もし私がこんな状況に陥ったら神様と運命を恨み、尚且つ性格もかなり捻くれていただろうと簡単に想像できます。

 ……え?もう既に捻くれているじゃないか、ですって?うるせえんですよ、ほっといてください。


「ハイネは、その、好きな人とか、それでなくても、気になる人とかいない?(王子様とか?)」

「ゲホッゲホッ……!い、いきなりどうしたのですか?」

「え?いえ、なんとなく、いないのかなーって思いまして」


 ハイネは予想以上に動揺し、むせていました。副音声なんて聞こえてない様子ですよ、奥さん。それにしても、こんなに動揺するとは……もしかして、もしかしなくても……。



「……いるの?」


 私がボソッと呟くと、顔が赤らみ、そして青ざめたりと目まぐるしくハイネの頬の色が変化します。この反応でよっぽどお鈍ちゃん(・・・・・・)でない限り分かるでしょう。


ああ、いるんですね、と。



さあ、漸く物語は変化を起こす兆しを見せました。この物語の主人公はもちろんユーシア・ハイネ・リルアドナ、ただ一人。だれも私のハイネをシンデレラにして幸せにする計画を邪魔させたりしない……うふふ、あはははっ!







 なにやら私が悪役みたいですよね、コレ。調子に乗って(心の中で)高笑いとかしましたが……やだ、ナニコレ恥ずかしい。結局の話、私はなんやかんやでハイネに幸せになってもらえればどんな形でもいいということですよ。イイハナシデスネー。


「ク、クロエこそ!いるのですか?」

「うーん、ハイネと違って私は枯れてるし……」

「わ、私と違って、って!」

「ふふ、そんなに動揺することないですよー。どこの馬の骨かも分からなくても、私はハイネの味方ですし、応援しますから。よっぽど相手が酷くない限りの話ですけど」



 ハイネが気になるのは十中八九王子様でしょう。何故そんな確信めいた答えが出るのか……って?この為に私はかなり働いてきたんですよ?



 祭りごとやそれなりに大きい行事の時などが王子様を拝見できるチャンスですので、わざわざハイネに用事を与えて見に行かせたり、どんなに王子様が良いのか噂を吹き込んだり、刷り込ませたり、悪い虫を駆逐……一掃したりと、細かいところでそういった所でしょう。私のこれまでの苦労はいつかきっと報われると信じて突き進んできました。


 まあ、私がそんな事をするまでもなく、ハイネは王子様に好意を抱いていたに違いはないと思います。だって、私がそういった話を持ち出すとどこか嬉しそうに、まるで恋する乙女のように顔を染めていましたから。ですが一応保険というものはあるに越したことはありません。



「あ、ありがとう……?」

「ふふっ、どういたしまして」



 こうして、長くも短い夜は更けていくのでした。



久々の更新ですw遅くなってしまい申し訳ありません。しかも短くてすいません。

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