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愛知県バトロワ Ep.2 展開部

⚠今回は大量に死にます。


Ep.2


 空が明るくなってきた。

さっきまで、ここは戦場だった。今は――静かすぎるほど、静かだった。

血の匂いだけが、かすかに残っている。

 春日井は、ゆっくりと歩いた。倒れた小牧の前で、足を止める。

 

そこには、決闘があった「気配」だけが残っていた。


 怒りも。

 覚悟も。

 誇りも。

 すべて、ここに置き去りにされている。

春日井「……意外に、手強かったな。間違いなくお前は強者ともだ。」

 返事はない。それでも、春日井は続けた。

春日井「……だが、私の勝ちだ。」

 小牧は、薄く笑った。

小牧「そのようだな。勝手に併合してくれ。」

春日井は涙を呑む。

春日井「……私にやられるまで……生きてくれて、ありがとな。」

小牧「頑張れよ。春日井。」

 決意をにじませる小牧の小さな声が、鼓膜を震わせる。

 羽に取り込まれていく。

 もう「そこ」に小牧の姿はない。

春日井郡「本当にありがとな、小牧。」

 差し込む朝日と、欅の葉音が、それをかき消した。


「小牧市:脱落」



西尾張


 木曽三川に朝日が反射し、キラキラと輝いている。

愛西「おっはよー!」

弥富「朝からうるさいぞぉ!愛西ぃ!」

津島「もしかして、朝弱い系?弥富」

飛島「平和そうで、何より。」

蟹江「それ、フラグにしないでよ?」

津島「それもフラグにしないでよ?orz」

稲沢「おはよ。一宮はまだ大丈夫そうだよ。」

 一瞬だけ。

 空気が、わずかに張りつめる。

 でも――

愛西「ま、今は今を楽しもーぜ!」

 その一言で、また朝が戻った。

 笑い声が、川沿いに広がっていく。

 誰も知らない。

 この平和が、どれくらい持つのかを。

 もしかしたら、今、失われるかもしれない。


―――バシッ…!

全員が同じ方向を向く。

そこには血を吐いている、稲沢。

そして、土煙をの中に立っている、一宮がいた。

皆が、一瞬、固まる。

でも、あまが金網から解放されたように、叫ぶ。

あま「ィ、稲沢ァァァァアアア?!」

大治「だ、大丈夫そ?」

稲沢がムクリと起き上がる。

稲沢「ま、ま、まあ、ぶうょじいだ…」

大治「ぶうょじいだ???????」

津島「ちょっと市民病院連れていきますっ!」


一宮「なんか思ってた反応じゃねぇなw」


―――こいつのこと―忘れてた。


とその場にいた連合員全員が思っただろう。

あまが再び叫ぶ。

あま「ィ、一宮ァァァァアアア?!」

いきなりのこと過ぎて放心状態だった愛西が、我に返って、怒号を発す。

愛西「一宮?!なにやってくれとるんや!」

一宮「ふん、雑魚めが。一瞬で叩き潰してやるわ。『七夕飾り・爆散ッ!』」

 一瞬だった。一宮の周りにカラフルな飾りが出たと思ったら、吹き流しが、あま、大治、津島の体にまとわりつき、文字通り、『爆散した。』

 肉片が飛び散っている。

愛西「…え?」

蟹江「ぶっとんだ…。」

稲沢「ぶ、ぶ、だんとっぶ…。」

一宮が再び叫ぶ。

一宮「残りも消すか!『尾州糸縛り!』」

飛島が目前へ躍り出た。

飛島「私が護るッ!『飛島:風力発電風車群!』」

一宮の出した糸が、風車羽に絡まって止まる。

愛西「チャンスだ!『相ノ川桜舞!』」

 一宮に一撃返した。が、すぐに立て直した一宮の眼は、前よりも、キレていた。

一宮「意外にやるなー、だがな、ここで終わりだ。『ツインアーチ138・天空崩壊』」

 影が落ちた。頭上に10mぐらいの大きさのコンクリートが落ちてくる。


――終わった、と思った瞬間。


日が、差した。


先には、肉片となった、一宮。


後ろには、犬山と、丹羽郡の、二人。


犬山「大丈夫か。間に合ってよかった。」


ほっとして、朝に色が戻った瞬間、世界が気付いたように、放送が鳴った。


「あま市、大治町、津島市、一宮市:脱落」と。



北尾張


 世界では血みどろな戦いが行われているというのに、自然は今日もきれいだ。昨日の重い雲が信じられないぐらいに、空は澄んでいる。

 春日井は落合公園のベンチに腰を下ろした。

 春日井はため息のように笑った。

春日井「はは。」

――あんなに憎かったあの小牧にここまで未練があるとは――自分でも信じられない。

 ふいに、昔の小牧の言葉が思い出される。

『――自分じゃ何もできないから周りの力に頼ってるだけのベッドタウンめが!――』

 指先でベンチの木目をなぞる。

 冷たい感触が、胸の奥に染みる。

春日井「私は……ベッドタウンだった。名古屋に頼って、自分じゃ何もできないと思っていた。だから、一人で立てた時代の、春日井郡に戻ろうと決めたの。

――でも――小牧を吸収した瞬間、それで本当にいいのか――と思ってしまったんだ。」

 その時、なにかの声が、体の中から聞こえた。耳を傾ける。

小牧?「頑張れよ…春日井…あの俺等を傀儡扱いする名古屋に一泡吹かせてやれよ…。」

 胸がキュッとなった。そして、決意がかたまった。

春日井「なまいきだね。」

 目の奥に、熱いものが溜まる。

 それを振り切るために走り出す。

 今から、行かなければならない。


 ―――名古屋へ。



東尾張


感謝。である。

名古屋を倒しに行くといった瞬間、もちろん、反発はあっただろう。

 でも、こうやってついてきてくれるのは、やっぱり友人だな、と思う。

感謝を伝えたい。

やっぱり―

日進「感謝、だな。」

豊明「うん?どしたん?」

 しまったっ、声が出てしまった。

もう天白川はもう超えたから、名古屋領だと言うのに…。

 足音が聞こえてきた。僕達はすぐに物陰に隠れた。 

天白だ。

静かな声が、物陰まで響いた。

天白区『…見えてるよ、君たち。』

驚いて顔を上げる。目が合った。

 横には丸メガネを掛けた昭和区の姿もあった。

昭和区「君たち…なにしてるの?」

東郷「い、いやぁ…名古屋さんと話しに行こうと思って。」

 丸眼鏡の奥がキラリと光る。

昭和区「君たち、嘘ついてるね。」

豊明「嘘なんてついてるわけ無いじゃん!ねぇ?」

昭和区「じゃあなんで隠れたの?君たち。」

 言葉が詰まる。

昭和区「いかせてもらうよ。『八事:強制鎮魂』」

 ――空気が、変わった。

 風が止まる。

 音が、遠のく。

 まるで、世界が一瞬だけ“黙祷”を始めたみたいだった。

 足元の地面に、淡い光の円が広がる。

 それは、ゆっくり、確実に――彼らを包んでいく。

日進「……っ、体が……!」

 膝が、勝手に落ちる。

豊明「なに…これ……重い……!」

 心臓が、静かに締め付けられる感覚。

 怒りも、恐怖も、覚悟も――

 全部、薄められていく。

昭和区「安心して。」

 淡々とした声。

昭和区「これは“殺す技”じゃない。」

昭和区「――“戦う意志を鎮める”だけだよ。」

 祈るように、両手を組む。横では天白が微笑んでいる。

昭和区「……無意味な戦いは、嫌われるよ。」

 光が、さらに強まる。

東郷「く……っ、こんな……!」

 そのとき。

 足元の光が、わずかに、揺らいだ。

日進「……?」

 胸の奥で、なにかが燃える。

――感謝。

 仲間への。

 ここまで来た時間への。

 信じてくれたすべてへの。

日進「……鎮められて……たまるかよ。」

 小さく、でも確かな声。

日進「俺たちは……逃げに来たんじゃない。」

日進「名古屋に――立ち向かいに来たんだ。」

 円の光に、ヒビが走る。

昭和区「……ほう。」

 初めて、表情が動いた。スチャッと丸メガネを外した昭和区の目は、思ったよりキリッとしていた。

 横からパチパチと、乾いた拍手が鳴り、天白が微笑みながら淡々と話し始めた。

天白区「君たちの連帯感には、感心したよ。君たちの仲間に入れてくれないか?」

 ―――驚いた。まさか連帯してくれるなんて…。

 眼の前に、しろい羽がひらひらと落ちてきた。

上空で、誰かが呟いた。『愛知共通技:伊勢湾台風:絶望』と。

その瞬間、川面が波立ち、伊勢湾台風級――いや、それ以上の突風が通過した。

 さっきまで対峙していたはずの二人はどこかへ行き、代わりに上の方に羽を生やした『誰か』がいる。

豊明「だ、だれ…?」

東郷「よく見てみろ、春日井じゃないか?」

春日井郡「その通り。よくわかったね。」

 ふわりと着地し、続けた。

春日井郡「あの人たちは、君たちを陥れようとしていたんだよ。中心街に連れて行ってから、複数区でフルボッコにするつもりだったようだよ。よかったね。」

日進「…まっ…じか。」

 上の空だった豊明が反論してきた。

豊明「証拠は?証拠」

 春日井は悲しそうに目を伏せた後、続けた。

春日井郡「…へぇ、信じてくれない…と。無理もないね。君たちにしてみれば信じられないだろうね。でも、事実だ。ちなみに、心を読み取ったから、物的証拠はないよ。」

東郷「心…を。」

日進「てことは今、僕達の心も読めてるのか?」

春日井郡「人の心を読むのは疲れるし、傷つくから、いつもはしていないね。」

豊明「じゃあなんで天白と昭和の心読んでたんだ?」

春日井郡「なんか危なそうで救いたかったからだよ。」

 そのまま続けた。

春日井郡「君たち、名古屋を倒しに行くようだけど。実は、私もだ。」

日進「じゃあ一緒に行こう。」

豊明「ちょ待てよ、信用できんのか?」

日進「まずは、信じてみようよ。」

 優しい風が吹き、大きな羽が揺れた。



名古屋市内


緑区の喫茶店。モーニングの客で賑わう店内に、ドアベルの音が鳴り響いた。

昭和区「おまたせしました。」

天白区「ちょっと邪魔が入ってね…。東山の方まで飛ばされちゃったんだ…w」

中川区「(゜∇゜ ;)エッ!?」

港区「誰の仕業かい?」

中区「それ聞いちゃう?面白くねぇな〜?こういうのはアキネーターみたく訊き出すのが面白いんじゃんかぁ♡」

緑区「おまたせしましたァ。小倉トーストあんこ倍々増しですぅ〜。」

緑区があんこがたっぷり乗った一斤の食パンを運んできた。バターが垂れていてうまそうだ。

中川区「(゜∇゜ ;)エッ!?誰が頼んだん?」

昭和区「実は…僕…。」

 昭和が頬を赤らめて呟いた。

 美味しいネタを見つけたような感じで「昭和クン実は甘党男子だったwww」と、すかさず中区が反応する。

それまでアメリカンコーヒーを飲みながら黙りこくっていた熱田が言った。

熱田区「とりあえず、中区、いじるのやめなさい。何があったんだ?昭和?」

 昭和がトーストにナイフを入れながらいつもの調子で淡々と返した。

昭和区「……天白と一緒に、東山の方まで吹き飛ばされた。…あの台風級、いや、それ以上の突風だった。羽を生やした影が上空から現れて、一瞬で空気が変わったんだ。


   ……春日井、だよ。」

 天白が補足のように付け足す。

天白区「日進とかの東尾張勢も向かってきている。どうしましょうか?我が主君?」

 我が主君こと、名古屋は、(意外にも)甘そうなカフェオレを飲んでいた。

 その手を置き、中区に目配せした。

 中区は静かに頷き、手をぱちんと叩き、古い言い回しの詩を詠い始めた。

中区「金鯱之御加護ニ撚リテ今コソ立チ上ガル刻。今、御加護ヲ求ムナリ。天ニ聳ユル金ノ鯱ヨ、地ニ根ザス名古屋ノ魂ヨ。十六区ノ血脈ヲ繋ギ、闇ノ羽ヲ裂キ、絶望ノ嵐ヲ払ヘ。金鯱ヨ、目覚メヨ。御光ヲ此ノ地ニ降ルシメヨ。」

 急な中区の変貌に、そこにいる名古屋を除く全員が驚いたことだろう。

中区「御光が差すよ。身を委ねて。」

 ウエスタン風のランプが瞬き、家具が揺れ始めた。

中川区「――っ…!」

熱田区「草薙様、我らに加護を頼みます。」


  その瞬間――強烈な光が走った。


  そこには、喫茶店も、何もなかった。


  虚空を切り裂く、九つの人影。


  彼らそれぞれから、光が伸びはじめた。


  その光は絡み合い、ぶつかり合い、


  大きな光の渦になった頃には、


 人影は一つしかなかった。



知多・西三河


西三河


 ワンボックスカーの中、皆が黙りこくっていた。

 車はまだ、駐車場に止まったままだ。

 静寂に耐えかねたようだ。碧南が口を開いた。

碧南「知多勢、意外に強いんだね。」

知立「あの西尾センパイがやられるなんてな。」

 知立もため息混じりに言う。

知立「僕達、どうすべきかな…?」

 運転席で黙って煙草をふかしていた豊田が、思わぬことを口にする。

豊田「決まってるだろ、西尾の敵を取りに行く。皆、覚悟はできてるよな?」

 助手席の岡崎も言う。

岡崎「そっちこそだ、車を早く出してくれ。」

安城「ちょ、ちょっと待ってください…!春日井さんの方は…どうなったんですか…?」

豊田「そんなんなんざどうでもいいわ。仲間が死んだんだぞ?」

岡崎「そうだな、今は知多狩りの時間だ。」

安城「知多狩りって…ふ、不謹慎な…!」

 そうやって言っている間にも、もう車は豊田ICに着きそうになっていた。

安城「…わかった。わかったから!…ただ!」


「調子に乗るなよ?」

 雷が落ちたように、車内が静まり返った。

 皆が知る安城はこんなふうではない。そんな皆の気持ちを代弁するように豊田が言う。

豊田『―――お前…誰だ?』

知多

 空は雲一つない晴天だが、なぜか海はかなり時化ていた。

大府「いやマジですごかったなwww常滑w」

東海「でもそんな挑発的にトヨタ工場前に落として良かったのかよ?」

美浜「どうなんだろうね?」

知多「…嫌な予感がする。」

阿久比「確かに…なんでここまで波が高いんだ?」

半田「『本日天気晴朗ナレドモ波高シ』か…。丁字固めでもするか?」

大府「出たよ半田の歴史ヲタがwwww」

半田「『バルチック艦隊』ならぬ『ニシミッカワ艦隊』を返り討ちにできるかもなw」


 ただ、日本海海戦と違ったのは、相手が陸から来たことだった。


 ハイブリッド車のエンジン音は奇妙に静かだ。そのせいだろう。

 

 真後ろに既に来ていたことがわからなかった。


豊田「お前らよくも俺等の同士を殺ってくれたな…?覚悟はできてるようで?」

南知多「ひいっ!豊田…?…ナニユエ?」

豊田「技術力をご覧に入れようか。『カローラ・インパクト!』」

 ――ジャボン!、と誰かが海に落ちた音がした。

美浜「武豊…?武豊…?!」

 しかしその声は激しい波に呑まれてすぐに砕け散る。

岡崎「油断するな?『石礫:円錐状石積!』」

  ――ジャボン!、と礫玉がそのまま美浜を海に叩き落とした。

半田「俺たちもやられてるまんまじゃ駄目だ!『彼岸狐!』」

 半田の体から狐が現れ、岡崎の体をかすめた。

岡崎「くっ…ヤリィ…ッ」

半田「まだまだ!『三ッ環黒蔵!』」

 辺りが闇に包まれた。

半田「皆、丁字固めの刻だ。」

 知多の生存8自治体が一列に並んだ。

 【半島包囲】

 それぞれから攻撃が繰り出された。

 西三河は逃げ惑っている。

 その時、 後ろから声。

 灯台の上に人影が見える。

豊田「安城、何する気だ…?」

安城「みんな死んじまえ」

 足元が緑に包まれた。

安城「この土地はな…人間が作り替えてきた土地なんだよ」

 そして地面が一気に変わる。

 火の海に。


___________________________________


 無線はすでに響いていた。

 知多連合が空に逃げた常滑以外…死んだこと。

 そして、俺らの仲間…が…全員…死んだこと。

 終末感がなみだとともに込み上げてくる。

「岡崎…タイマン…するんじゃなかったのか…?」

 そんな声も焦げた草に吸収されてしまう。

「安城…あいつ…どうしちまったんだよ…クソッ…」

 涙をどれだけ出しても、心に空いた穴に生暖かくただれた風が容赦なく通りすぎていく。

 この風には覚えがあった。


___________________________________


低く、唸るような音。


――ドオオオオオオ……


空を裂く重たい落下音。


誰かが叫んだ。「伏せろ!」と。


次の瞬間、世界が白く弾けた。

1945年8月14日。

翌15日に終戦を控えたその日、

「南瓜」が落ちてきた。

パンプキン爆弾、と呼ばれるものだった。

 変わり果ててしまった挙母工場を見たとき、今回のような終末感に包まれた。

そんなときも、いつも良いライバルだったお前はそばにいてくれた。

岡崎「機械設備は残ってるんだし、防空壕にほとんどの人が避難してたから大丈夫だ。な?もう戦争は…終わったんだ。」

 ついさっき、玉音を聞いた。

『国体ノ精華ヲ発揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ』

 これからは、俺等が国の発展に尽力していかなければならない。欧米諸国と肩を並べるほどの工業大国に…していかなければならないと決意させてくれた、岡崎。


岡崎はもうそこにはいない。舞い上がる灰の、どこかにいるのだろう。


泣いている場合ではない。


安城はどこだ…?!


いや…。怒りに駆られてはならない。まずは…。



名古屋に、いかなければ。



東三河


 もう既に日は地平線に回帰し、昏くなった吉田城。

豊橋「岡崎が脱落…。すごいことになってきたなぁ。」

 テイクアウトした温かいカレーうどんを食べながら、これからどうすべきか考える。

豊橋「岡崎死んじまって豊田はどうすんだろな…」

 向かいのベンチで田原といっしょに稲荷寿司を囓っていた豊川が言う。

豊川「幸田によると名古屋に各自治体が向かっているそうだ。」

豊橋「俺等だけ遅れてるってことか…。」

 ――ピシュッ。

 鉛玉が後ろの石垣に鋭い音を立ててぶつかった。

豊橋「動きが遅すぎる。見えているぞ、新城。」

新城「くっ…」

豊橋「片田舎3人衆倒しただけで調子乗ってんじゃねぇクソ田舎野郎が…」

田原「豊橋さんに挑むなんて…100年早いわw」

豊橋「『終焉黒鉄』」

 吉田城が、動いた。ような気がした。

 次の瞬間には、新城は消えていた。

 ついさっきまで蛍の光が流れていた防災無線が鳴った。

 この音も聞き馴染んでしまった。

「新城市:脱落」

 スマホが鳴った。

差出人:蒲郡 久しぶり〜☆これからどうする?ボクとこうたんは名古屋に行くよ?

 こうたんとは幸田のことだ。あの幸田がまだ殺されてないとは…というか俺等も…

豊橋「豊川、田原…。俺等も、名古屋に行くぞ」



昏い部屋


 締め切ったカーテンから漏れる燃えるようなオレンジ色も消え、明かりは再びこのPCのみになった。

 物事はうまく進んでいる。

 人を操ることにも成功した。


 安城。あいつは操りやすかったな、とふと思う。

 あれが豊田だったらことは違ったかもしれない。


 豊田が岡崎との戦いで衰弱することを避けるための策だった。

 名古屋と対等に戦えるのは、豊田しかいない。

 春日井では、勝てない。


 安城はもう用済みだ。

 ちょうどいい。ついでに消すか。


 半日かかったプログラム。

 これを実行する時が来た。

 野望を実現するために不要な雑魚は…

 ―今…ここで消す。


 ―バチン!と、Enterキーを押す音がした。。


___________________________________

 

「ウウウゥゥゥゥ――――」


 各地の防災無線が鋭く響いた。

 空には無数の火球。


 数秒後、各地で火柱が上がった。


___________________________________

 

「――愛西市、安城市、稲沢市、蟹江町、東郷町、飛島村、豊明市、弥富市:脱落――」






             Ep.2:完


次回、決戦。

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