18.エミュリさん、颯爽と登場~不意打ちだけどね~
「ふう、こんなものか・・・あっけないな」
ルイスは2人から勇者の力を吸い尽したのに満足すると、再び、勇者の力がまだ残っているわたしの方に向き直った。
さっきは力を吸い付くされるのだけはなんとか避けられたけど、わたしには抵抗する力も逃げる力も残されてはいない。
もう、ダメ!?
そう思った瞬間、今度はおっきな火の玉がルイスを襲った。
ルイスは燕尾服を翻して風を起こし、火を消して対応する。
「あら残念。運よくかわしましたわね。生意気に『卑怯だなんて言わない』なんて言ってたもんだから、不意討ちの火球に焼かれて丸焦げっていう最高にブザマな最期を用意してあげましたのに」
5年生のエミュリさんだった。
さっきまではルイスに負けず劣らず嫌なやつ、と思っていたけど、今は誰でもいいからルイスを止めて欲しいっていう気持ちだ。
なんにしても、わたしとしてはこのタイミングで来てくれて本当に助かった。
とはいえエミュリさんに『おいしくいただかれちゃう』のはさすがにわたしとしては勘弁してほしい所だけれど・・・。
そして、それとほとんど同時に、セリカがわたしのところに駆けつけてくれた。
「ももちゃん、大丈夫!?」
セリカの問いにわたしはすぐに
「うん」
と答えた。
本当は、正直言うと、全然大丈夫じゃないんだけど、だけど、いまはそれよりも・・・
「セリカさん、今はとにかく、エミュリさんと協力してルイスをやっつけて!」
それだけ話すだけでもはっきりいってきつい。
今にも意識が飛んでしまいそうなくらい、息をするのもやっとと言う状態だ。
だけど、なんとかわたしの言いたいことが、ちゃんとセリカにつたわって欲しいと思って必死で声を出した。
でも、セリカはきょとんとした顔でわたしを見つめてこう言った。
「ももちゃんダメだよ。勇者の戦いはいつでも正々堂々と!わたしの憧れの勇者様も、ずっとそうだったからね」
いや、それわたしだから!
そのわたしが言ってるの。
コイツは2人がかりででもやっつけなきゃマズイって!
けど、その気持ちはセリカには伝わらない。
こんな大事な時に・・・
せめてセリカに的確なアドバイスだけでも伝えられなきゃ、わたしが他の世界を救うのを断ってまで同じ世界に転生した意味がないじゃん!虚しいよ・・・。




